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還暦おやじの洋楽日記

相続登記を自力でやってみた、の記

昨秋に家内の父親が亡くなり、死後の諸々の手続きを手伝った。その中のひとつに自宅の家と土地の相続登記があり、これを見よう見まねで自力でやってみたので、その手順をおぼえがきとして整理してみた。今年4月から相続登記が義務化され、途方に暮れている方もいらっしゃると思うので、参考になれば幸いです。

先に結論を書いてしまうと、相続登記は面倒ではあるが決して難解な作業ではない。7年ほど前に自分の父親が亡くなったときは勝手がわからず司法書士に依頼し、登録免許税等の実費を除くと10万円ぐらいを手数料として払った記憶があるが、実際に自分でやってみたら、とてもそんな金額の対価を払うような作業ではなかった。パソコンを所有していて地道な書類作成作業を厭わない人であれば誰にでも簡単にできる。

登記申請手続きとは「必要な書類を収集して」「登記申請書等の書類を作成し」「管轄の法務局に提出する」というものだが、このうち「必要な書類」とは
1)新たな所有者が、故人(被相続人)が所有していた不動産の相続人であることを証明する情報
2)登記対象となる不動産の情報
3)新たな所有者の情報

に大別される。
収集が面倒なのは1)であるが、これらの情報は相続税申告や故人の金融資産の引出し手続きでどのみち必要になるものばかり。だから今回、相続登記のためだけに収集したものは殆どなかった。

<収集が必要な書類とその手順>
揃える必要がある書類は以下の通り。
1)新たな所有者が、故人(被相続人)が所有していた不動産の相続人であることを証明する情報として
a. 故人の出生から死亡までの改正原戸籍・戸籍謄本・除籍謄本
b. 遺産分割協議書および全相続人の印鑑証明書
c. 全相続人の戸籍謄本または抄本
2)登記対象となる不動産の情報として
a. 対象となる不動産の登記簿謄本
b. 対象となる不動産の固定資産評価証明書または公課証明書
c. 故人の住民票除票または戸籍附票(不動産登記簿上の所有者の住所が本籍地と異なる場合)
3)新たな所有者の情報として
a. 新たな所有者の住民票
以下、順番に収集手順を記す。

1)-a. 故人の出生から死亡までの改製原戸籍・戸籍謄本・除籍謄本
目的は他に法定相続人がいないかを確認するためであろうが、これがいちばん時間がかかるし面倒で、亡くなった時点の除籍謄本から過去に遡って本籍地のある市町村に申請して収集しなければならない。結婚すれば戸籍は新設されるし、途中で戸籍の改製もされているから、今回は比較的シンプルなケースだったと思うが、それでも合計6通の取り寄せが必要だった。
1)-b. 遺産分割協議書および全相続人の印鑑証明書
遺言書があれば別だが、なければ遺産分割協議書を作成することになる。従ってこの書類だけは収集ではなく、全相続人が署名捺印して新たに作成するもの。捺印は実印になるため印鑑証明書とセットで効力を持つ。書式はネットの色んなサイトにサンプルがあるのでそれを参考に作成すれば良い。
尚、相続登記で使用することを想定して、後述する不動産登記簿謄本を先に取得し、所在・地番・家屋番号・面積といった情報を記載しておくと対象物件との照合がしやすくスムーズに手続きができると思われる。また、遺産分割協議書は金融機関の引出し手続きでも使用するので、同様の理由で金融機関名(支店名含む)・口座番号・死亡日時点の残高といった照合の手掛かりとなる情報も記載したほうが良いと思う。
1)-c. 全相続人の戸籍謄本または抄本
これも1)-a.と同じく各人の本籍地のある市町村に申請するが、故人と同じ戸籍に入っていた場合は重複して収集する必要はない。
2)-a. 対象となる不動産の登記簿謄本
管轄の法務局に申請して取得するが、申請する際の所在地(地番や家屋番号)は住居表示上のものと必ずしも同じではないので、事前に法務局に電話して登記簿上の地番を確認すると良い。
2)-b. 対象となる不動産の固定資産評価証明書または公課証明書
対象となる不動産がある市町村に申請して取得する。ここでも登記簿上の地番や家屋番号が必要になる。
2)-c. 故人の住民票除票または戸籍附票
故人の最終住所または本籍地の市町村に申請することになるが、不動産登記簿上の所有者の住所が本籍地と異なる場合にのみ必要とのことで今回は不要だった。
3)-a. 新たな所有者の住民票
新たな所有者が住んでいる市町村に申請して取得。

<作成が必要な書類とその手順>
4) 相続関係図
5) 登記申請書
これらは法務局のHPに原図とサンプルが添付されているので、それをベースに作成した。
法務局:不動産登記の申請書様式について

登記申請書の記載項目のうち
・不動産の表示:不動産登記簿謄本より転記する。
・課税価格:固定資産評価証明書または公課証明書より転記する。
・登録免許税:相続登記の場合は課税価格の0.4%が基本で、計算には端数の切り捨て処理もあるので詳細は法務局のHPを参照されたい。
法務局:登録免許税の計算方法

以上の要領で必要書類を揃えて法務局に赴いて提出。書類に不備があれば連絡が来るとのことで内心ビクビクしながら過ごしたが、提出から二週間ちょっとで無事に登記完了し、「登記識別情報通知証」を受け取ることができた。

<作業を終えての総括>
自分の親の死後の手続きでは、収集した戸籍を見て我が家のルーツとか、遺産の内訳を見て親の頑張りとかに思いを馳せて感慨深かった。今回は家内の実家であるがやっぱり同様のことを感じた。そういう意味でもこういう作業は自分でやったほうが実りがあると思うな。思いを馳せること自体が故人の供養にもなるんじゃないかと。前述のように一連の作業は難解ではなかったが面倒であることは間違いなく、そのような愉しみを見出さないとやってられないかも知れない。
今年4月の相続登記義務化に合わせてオンライン申請を簡便化するとの報道があったが、面倒なのは申請手続きそのものよりも必要な書類の収集のほうなので、行政手続き全体のデジタル化がもっと進まない限り、効果は限定的ではなかろうか。少なくとも今騒がれているマイナ保険証の強制みたいな不合理なことを強引に進めているようでは当分期待できないだろうが。

(かみ)
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