ソムタム学級通信 ★さちえのタイ生活★

2010年6月より青年海外協力隊、養護隊員としてタイへ。バンコクより北へ450キロ東北部のコンケンで日々試行錯誤の記録。

花火と 浴衣と 花畑

2011年12月15日 23時07分12秒 | コンケン 第9特別教育センター



お祭りで 夜空に花火を見た。
月食の日だった。   (→ 過去ブログ 「皆既月食」
タイでは初めて見た夜空の花火。
日本と同じ、漆黒の夜空にきらきら輝く美しい花火だった。
    


子どもたちも、大人も、「今日は花火が上がるのよ。」とその日を楽しみにしている。
それを見て、じゃあ、子どもたちに花火を作らせてあげられないかだろうか、
と、考えてみる。

日本だったら、夏の風物詩、花火。
タイの人たちは日本に興味を持っていて、着物や寿司などに
とても親しみを持っている。
それらを取り入れた活動をやりたいと考える。


花火と、それを見上げる子どもたちとお母さんおじいちゃんおばあちゃん、
そうだな、着物を着たらどうだろう、足下には花。
このあいだ、切り紙をやったばかりだから、覚えている間に
練習をかねて切り紙でお花も作ろう。  (→ 過去ブログ 「切り紙」
だんだん、想像が膨らんできて、楽しくなってくる。


今日は木曜日、聴覚障害クラスに行く日。
ちなみに、曜日の色はオレンジで、センター長からもらったオレンジのアロハシャツを着る。


朝からサオ先生に相談して、聴覚障害クラスで
「日本の夏の風景」を作りたいとお願いする。
快くOKをもらう。


着物、花火、花、それを貼り付けて1つの絵にするという
たくさんの作業がある。
順番に能率よくやっていかないと。
今日の作業の流れを描いて、子どもたちにも分かるようにする。
 

     


今日の流れを描いた4枚の絵をつかって、身振り手振りで説明する。
それをじっと見る子どもたち。
大人でもなかなか顔を見て話を聞かないタイなので、
これだけ子どもたちがじっと食い入るように見ているのは
すばらしいことなのだ。
えらい、えらい!
      







①着物を作る。
しかし、着物を折り紙で作るのは子どもたちにはちょっと難しいので、
子どもたちがおやつを食べている時間を利用して、
保護者にやってもらう。


お母さんたちも、顔を寄せ合って、真剣に折り紙。
     


ところどころ折り間違えちゃうときもあり、
そのたびにお母さんたちは
「マイペン・・・」(できない)
と自信なさそうにするんだけど、
「ペンレーオ!」(できてる!!)
と励ましながらやる。
     


みなさんに教えている時に私も折り間違えちゃって、
「コートーナカ!パップピッ!」(ご、ごめんなさい!間違えました!)
最初からやり直し。
みんなみんなお互い様。
   



子ども抜きの大人の折り紙の時間。
お母さん同士でとても楽しそう。
     


あるおじいちゃんが、上手に着物を折ったので驚いた。
日本人のように誰でも鶴が折れるという国はきっと世界でもまれで、
タイ人は線に沿って折る、角と角をあわせる、指を入れて紙を起こす、など
ものすごく苦手。
だけど、このおじいちゃんは見事にやってのけた。
年齢的にもこの年まで折り紙をやってこなかったら、ふつうは、
そうそうできない難しいことだと思うのに。
すごく器用で頭のやわらかい人なのだ。
なんだか、ちょっと感動してしまう。
     


「着物がきてみたい」「着て写真を撮りたい。」というので
浴衣をタイに持って来ているから、今度撮影会をしようと約束する。
お母さんたちがわあわあ言って喜ぶ。
     








②花火を作る。
色紙を線に沿って切る。
はみ出しても、きれいに切れなくても、短すぎても長すぎても、OK。
どんなふうに切っても、ぜったいにきれいな花火に仕上げてあげられるのだ。

この黒い紙と色紙の組み合わせは、それだけでとてもきれいで、
この秘密兵器さえあれば絶対にきれいな花火ができるのだ。
     


保護者と二人三脚でがんばって、がんばって。
     

がんばれ がんばれ
   










③お花を作る。
すでに、覚えているお母さんが、うれしそうに
「クーサーイ。こうでしょう?」
と切ってみせる。
「すごい、すごい!覚えてる!すごい!」
とほめると、うれしそうで、お母さんはその時から切り紙の先生に変身。
一緒に他のお母さんたちに教えてくれる。
    


ある、おばあちゃんはすぐにコツを理解し、いろんな花を作って見せてくれた。
切り紙のいいところは、どんな風に切ってもよいところで、
同じものは二度と出来ないところ。
「クーサーイの作った花はどうやって切るの?」
と、私の花の切り方に関心をもって、私の花を見ながら、
線を自分で描いてまで切っていた。
         
着物を上手に折ったおじいちゃんと夫婦で、
おじいちゃんとおばあちゃん2人で孫に付き添ってセンターに来るのだが
二人とも、向上心があって好奇心が旺盛で、頭が柔らかい人たちだ。
またもや、感動してしまう。
        


みんなきれいな花を続々作る。
飽きっぽいタイ人なのに、お昼ごはんの時間になってもまだやっている。
すごくおもしろがってくれている。
どの花も本当に素敵で、
すごい! きれい! 上手! すてき!
とほめまくっていたら、かならずできあがるたびに
「クーサーイ」と呼んで見せてくれる。
大人だって、ほめられるとすごくうれしいのだ、そうだ、当たり前だけど
そうだなあと改めて思う。
     


あるお母さんが工夫して、折り目をつけて
蓮の花を作った。
「クーサーイ ドークブア」(さちえ先生、蓮の花よ。)
こ、これには心底びっくりした。
すごい!!!!!!!
子どもは天才だなと思う時がよくあるけれど、大人だってなめてもらっちゃこまる!
いくらだって豊かになれるのだ。
    




ジェオ先生ができたそばから切り紙の花を貼っていってくれる。
レイアウトがすごく上手で、花々のふわふわ感や
色の重なりがとてもきれい。
ジェオ先生はいつもセンスがいい。
     








④貼り付けて できあがり!
お昼ごはんの後、貼り付け作業。
昨日の水族館のように、一人でやるのを覚悟していたけれど、
ジェウ先生やサオ先生が手伝ってくれる。
お母さんたちも一緒に手伝ってくれる。
     


うれしい。
そうだ、着物と一緒に顔写真をつけようと思っていたけど、
子どもたちだけでなく、お母さんたちも一緒がいい!
思い立って、お母さんたちの写真を撮る。
お昼を食べにいって教室にいないお母さんも探して回って写真を撮る。
「顔の写真を撮らせて!」とお願いしたら、こんなポーズで。
そして、数人のお母さんたちが「きゃあ!ねえ、きれいかしら?」
と騒ぎ、化粧直ししながら順番をまつ。
かわいらしいお母さんたち。
     


写真を編集して、さてプリントアウトしようとするが、
プリンターがインク切れ。
他の教室を回ってプリンターを探すが、どの教室も見事に
「こわれてるの。」「昨日から動かないの。」「インクがないのよ。」
と、どこも使えない。
探して探して歩き回る。
なんでこんなにどこもかしこも壊れているんだろうと思うけど、
だいたい、いつもこんな調子で、機械系の不具合はしょっちゅう。


やっとのことで、写真をプリントアウトし、ラミネートし、
着物にはりつけて・・・・
できたー!!
 

  
お母さんたちも、先生達も、「スワイ!スワイ!」(きれいきれい!)
と喜んでくれた。
うん、スワイ!
ほんとうに、スワイ!!
ほら、花火もとってもスワイ!
   




廊下に貼り、写真を撮るジェオ先生。
    

 
これ、私、 これ、ボク!
日本の夏が今、
タイの、コンケン第9特別教育センターの
聴覚クラスの前に、
きれいに咲いていますよ。
     

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