近江フィールドワーク

琵琶湖の淡水魚を中心とした、下手の横好き素人ブログ。内容を信ずるなかれ!

「アメリカカブトエビ」 古代生物?生きた化石?

2007年06月22日 17時42分04秒 | 滋賀県の甲殻類紹介
 滋賀県で捕れる水生生物の紹介、今日の1匹はカブトエビ。最近見なくなったカブトエビ、その実態を余り知らないので、少しだけ調べてみました。因みに”アメリカカブトエビ”と書いたのは、滋賀県では、一部の地域以外で繁殖が確認されているのは”アメリカカブトエビ”だけらしいとう曖昧な根拠からです。
<データ>
名前:アメリカカブトエビ
分布:滋賀県内で点在
体長:30~40mmくらい 
棲息:田圃(池や沼にもいるかも知れませんが、見た事がないので)。
    
特徴:
 漢字で「亜米利加兜蝦」と書く水田の甲殻類。体型は団扇型、名前の通り兜に似た甲羅(背甲)に、長い尾を持っています。体色は黄褐色から灰褐色の中間くらいですね(甲羅は半透明)。日本には、3種類のカブトエビがいるようですが、全て外来種とのことです。このうちのヨーロッパカブトエビは山形県の一部でのみ生息しているらしい(県指定の天然記念物)。もう1種のアジアカブトエビは関西に分布していて、やや大柄の個体らしいです(滋賀県でもごく一部で生息するらしい)。繁殖期は春から夏頃(田植えが終わり~中干しまで)で、産卵は♂♀で行う場合と♀のみが行う場合があるとか。どちらの場合も泥底に1~2cm程度の穴を掘り産卵するらしいです。若い個体はエビ同様、脱皮をして成長します。 
 ホウネンエビと同じく、日本の田圃と密接したライフサイクルを持っています。田植えの頃に姿を現し、姿を消す1ヶ月程度の間に、休眠卵を生みます(休眠卵は、翌年の田植えまで土の中で休眠)。成体は雑食性ですが、日本で繁殖している個体は植物性に傾いていて、田圃の雑草の新芽などを食べているそうです(また、底を掻き混ぜ微生物を捕食するので新芽の定着を妨げる)。そのため、「田の草取り虫」とも呼ばれ重宝されているようです。
参考・引用文献
私見:
 分布が不思議で、同じ地域でも生息している水田が限られていたりします。
捕獲:
 底層を泳いでいるので、茶漉しや飼育ネットで掬う。それほど動きが速くは無いので、手でも掬えます。
飼育:
 ①容器:30cm水槽に成体飼育数は5、6匹
 ②底床:田圃などの土
 ③濾過:濾過したらダメ!
 ④設備:ヒーター△、エアーポンプ×、ファンorクラー×
 ⑤水草:不要
 ⑥餌 :人工飼料可?
 ⑦混泳:小型のドジョウくらいなら可能かも
 ⑧置物:不要
 ⑨繁殖:可能

 底に薄く泥(藁屑でも可)を敷いたように水を浅く(10cm前後)張ります。水温低下に弱いので日光が当たる場所に容器を置きます(ただし、水温が上がり過ぎないこと!40度等では死にます)。餌は、微生物や水草(雑草の新芽)を与えます。寿命は長くても1ヶ月程度だと思います。死ぬ前に泥に産卵しますので、生態の死後は容器の水をカラカラに乾燥させて下さい。そして、また水を入れて高水温を保つと、卵が孵化するかも知れません。
動画:
上から動画はこちらへ
裏から倍速動画はこちらへ
画像:
         
    上から見た状態。右端の小さい塊はカイエビです。
         
 側面から見た画像。見え難いですが、この腹部の鰓脚で歩き(泳ぎ)ます。
         
  ひっくり返した写真。ややグロテスクな姿をしていますね。
         
 こちらは正面画像。この向きですと、確かに”兜”っぽいですね。画像はで目玉が2つ見えますが、本当の目は、その間にある単眼で、ノープリウス眼と呼ばれているらしい。
         


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16 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
エビ? (らっきーぽこ)
2007-06-22 20:16:59
電車通勤ご苦労さまです。予備校に行ってたころかばんを持って毎日電車に乗っていた頃を思い出しました。

カブトエビって移入種なんですね。勉強になります。ホウネンエビ同様最近はみてないなぁ。カブトエビの顔はなんだかロボコンに似てますね。
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カブトエビ (きつね)
2007-06-22 22:01:28
天然で見た覚えがないので、いつか。。と思っています。捕まえずに飼育キットで育てるのは、なんかつまらないですよね。
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カブト (パチパチハゲ)
2007-06-23 00:51:58
カブトエビにも種類があるんですか!?
知らなかったです(o_o)
しかも、天然記念物に指定されているとこもあるなんて・・・
カブトエビ観察も面白そうです♪
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電車 (ryu-oumi)
2007-06-23 15:43:12
>らっきーぽこさん
 私も大学、会社勤めと電車通勤でしたが、久し振りの通勤 + 重量かばんが堪えました・・・

カブトエビは、ホウネンエビ以上に見かけなくなりました。結局今年は、4つの田圃で見つけたのみです。農薬の影響なのでしょうかねー
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飼育 (ryu-oumi)
2007-06-23 15:50:15
>きつねさん
 採取よりも、田圃の土から育ててみるのも面白いかも知れませんね。一昨年に、分けて頂いた田圃のを水槽に入れて、ヒーターで水温を上げて見ましたがミジンコしか涌きませんでした。
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観察 (ryu-oumi)
2007-06-23 15:53:11
>パチパチハゲさん
 >カブトエビ観察も面白そうです♪
実は殆ど餌にしたので、余り観察できていません!グリーンウォーターで1週間は確認できましたが、現在は行方不明・・・食べられたのか?
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超古代 (懐畔泥鰌)
2007-06-23 20:24:54
間違いなくこんな生き物が大小取り混ぜ、様々な形態で生存していたのでしょうね。
日本原産種はいないようですが、実態は農薬で絶滅させてしまった感じがします。
何億年も前なら、日本はアジア大陸と陸続きですものね。
素堀の水路に行けていません。
もう、いないだろうな…(涙)
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珍しい (BALTAN(バルタン))
2007-06-24 06:42:17
天然っていうか?
自然に採取したことがないから・・・

琵琶湖周辺は、こんなに綺麗で、沢山の動植物が採取できるところなんですね?

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孵化 (ryu-oumi)
2007-06-25 07:58:06
>懐畔泥鰌さん
 >もう、いないだろうな…(涙)
 今なら間に合うかも知れませんが、そろそろシーズンOFFですね。土を頂き孵化させますか?またブリーディング種が増えてしまいますが・・・
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減少 (ryu-oumi)
2007-06-25 08:01:39
>バルタンさん
 >自然に採取したことがないから・・・
 私が小さい頃には、田圃に”うようよ”といましたが、此処最近では探しても中々見つかりません。この個体も偶々お客様の家の前にいたので発見できましたが、移入種ですが姿を消しつつあります。
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