閲覧有難う御座います。滋賀県で捕れる日本淡水魚の紹介、今日の1匹はハリヨ。フィールド紹介35、第2回ガサガサツアーでも紹介したように、滋賀県内でハリヨを数匹捕まえることが出来ました。2007年の3月から「ふるさと滋賀の野生動植物との共生に関する条例」が施行されるため、今後は捕獲には許可必要になっています(事実上、一般人による捕獲は不可)。
<データ>
名前:ハリヨ
分布:滋賀県の一部地域で確認
全長:50mm~70mm程度
生息:湧水池やそこから流れ出た小川で水草の繁ったところ
特徴:
漢字で書くと「針魚」ですが、別名でも針魚(ハリウオ)と言います。形状は平べったい木葉型の体に鋭い棘を持ちます(背中に3本、腹部に2本、胸部に1本)。鱗板という硬く大きな鱗(トゲウオ特有)を数枚持つ意外には、体は鱗で覆われていません。体色は光沢のある黄褐色に少し青味があり、婚姻色の出た雄の腹部は橙色になります。繁殖期は3~5月ですが、湧水池などでは通年で繁殖活動が行われているようです(私は9月に婚姻色を出した個体を見たことがありあます)。繁殖期の雄は砂地に巣穴を掘り、枯れ草等を粘液で固めた巣を作ります。そこへ雌を誘い込んで産卵させ、孵化まで雄が保護します。1年で成熟し寿命も1年ですが、滋賀県産の♀個体には2年以上生きるものもいるそうです。
滋賀県では、昭和50年代くらいまで、滋賀県南部(草津・守山)にも自然分布していましたが、湧水の枯渇などで現在は北東部の方に棲息するのみです(守山市の一部で放流されていますが・・・)。
岐阜県では、県の天然記念物に指定されているので採取できません!
滋賀県でも、平成19年3月29日以降は採取できません!
参考・引用文献
私見:
醒ヶ井のハリヨがイトヨになっていた(交雑していた)と言うショッキングな事件も・・・
希少種だろうがなんだろうが、安易な放流は危険だ・・・
採取:
水草の辺りを網で掬う。
飼育:
飼って分からることがある!希少種ですが、持ち帰って飼育を開始しました。
水槽に砂(田砂などの目の細かいもの)を敷き、水草をレイアウトする。夏場の水温を15℃以下にする工夫が必要です(水槽クーラーが必須)。最低でも強めのエアレーションを行いましょう。攻撃性が強い為、大きめの水槽が必要です。水槽サイズが小さく場合は、水草を多くレイアウトします。餌は生餌を好む為、出来るだけ生餌を与えます。ミズムシ、ヨコエビ、稚エビ、アカムシ等を食べますが、特にミズムシの食付きが非常に良い。小さい魚は、底物でも攻撃されます(場合によっては捕食されます。)
(参考までに私の飼育方法)
①稚魚誕生:
水槽内は、自然界と異なり微生物が少ないので、親魚に任せていても成長できないのでは?と思い、親から隔離しました(小型飼育ネットや大きなスポイドを用いた)。この時、隔離先としてグッピー用の産卵箱は不可。やり方が悪いのかも知れませんが、死亡率が高いです。20cm~30cmの水槽に外掛けフィルターをセットし、水流を弱めたものでは生存率が高かったです。エアレーションはエアーポンプを用いずに、水槽の水位少し下げることで、外掛けフィルターからの流出水により補充。底床は大礒砂の中目を用いていましたが、恐らく砂の方が良いのではないかと思います。水草は、カワゴケとノチドメ(意味はない)。混泳相手として、ミナミヌマエビの稚エビ30匹とミズムシ10匹、ヨコエビ少々。※水槽は、稚魚誕生数ヶ月前に立ち上げておく!
②稚魚飼育:
上記の環境で飼育を行い、餌は水田にてミジンコ類(カイミジンコは不可)を採取して与えます(※農薬注意!)。田植が始まっていない場合は、水路の水草やゴミから微生物を採取(緊急ならば、外部フィルターの古水からミズミミズ採取でも可)。野外採取ができない場合は、ブラインシュリンプを涌かす。有る程度の大きさになるまで死亡率が高いので、早く大きくするために餌は毎日欠かさずに!ミジンコ類だけで3cm位まで成長します。
③稚魚移動:
夏の暑さ対策に、外部フィルター&水槽クラーの設備された60cm水槽に移動(若魚辺りまで集団生活をしていますので、比較的過密でも大丈夫でした)。底床は粗めの砂、水草はアナカリスとマツモ、エビモなど。混泳相手にミナミヌマエビ多数と小型のカマツカ(餌掃除係)。餌にはイトミミズや冷凍赤虫を用いはじめます。自然採取では、相変わらずのミジンコとミズムシ、稚エビなど(イトミミズや赤虫も採取しました)。水温は、結露が酷いので20度くらいに設定していました(結局、結露は酷い)。さらに、冷却&結露対策に冷却ファンも用いました。エアレーションは、大型のエアーポンプを用いて強めのにしました(気化による熱放出促進)。
④成魚飼育:
成魚は飼育数にもよりますが、かなりの餌が必要です。冷凍赤虫と活赤虫、スジエビ小、ミナミヌマエビ、ホウネンエビ、カブトエビ、ミズムシ、ヨコエビ、稚ザリガニ、浮仔サイズの魚などを与えていました。成長率にバラつきが出ましたので、水草を多く配置することで争いを避けます。
⑤成魚移動:
60cm水槽で雄が婚姻色を出し始める前に、120cm水槽に移動します。縄張り意識が出始めると争いが絶えず、怪我する個体も・・・(酷い時には死にます)。120cmへの移動前に巣作りを始めた雄がいたので、この雄と雌2匹を60cm水槽残して他の個体は移動しましたが失敗。巣営が完了するまで、雄は雌を襲います。60cmでは水草を多く配置しても死亡率が高いです。雄が落ち着くまで雌を入れない方が無難です(60cm水槽だけで繁殖させるのは難しい?)。移動の際には、掃除係(ドジョウ類やカマツカ・ツチフキ等)を連れていかない!巣営時に巣を壊すなど邪魔をする事があります。
⑥繁殖:
雄が赤く色付き出すと水槽の角辺りに、アナカリス等の水草で囲った握り拳程度のスペースをつくる(これを何箇所かつくる)。そして、ホソホウオウゴケ、ホウオウゴケ、カワゴケ、枯葉の茎、マツモの破片、カワモズク、ウィローモス等を入れる。砂が粗いと底床が掘れないので巣作りできません。事前に細かい砂を入れて置きます(ハリヨが口に入れて吐ける粒径の砂にする)。60cm水槽では先に雄を入れて巣作りさせ、雌を入れるタイミングを見計らう。120cm水槽ですと争いが少なく(ゼロでは無い)、雄による雌殺しを回避できまし、複数飼育もできます。
動画:
画像:
上から見下ろせばこんな感じです。棘が赤いですね~。
体側が青味掛かって鮮やかな婚姻色が出ています。
恐らくは♀の個体。もしかしたら抱卵しているのかも
採取直後のハリヨの♂と♀。
07.10.25追加画像。ハリヨの産卵行動。
07.10.25追加画像。孵化したハリヨの稚魚達。
(参考までに)
「ふるさと滋賀の野生動植物との共生に関する条例」
「指定希少野生動植物種」および「指定外来種」
よろしければこちらにもお越し下さい。
<データ>
名前:ハリヨ
分布:滋賀県の一部地域で確認
全長:50mm~70mm程度
生息:湧水池やそこから流れ出た小川で水草の繁ったところ
特徴:
漢字で書くと「針魚」ですが、別名でも針魚(ハリウオ)と言います。形状は平べったい木葉型の体に鋭い棘を持ちます(背中に3本、腹部に2本、胸部に1本)。鱗板という硬く大きな鱗(トゲウオ特有)を数枚持つ意外には、体は鱗で覆われていません。体色は光沢のある黄褐色に少し青味があり、婚姻色の出た雄の腹部は橙色になります。繁殖期は3~5月ですが、湧水池などでは通年で繁殖活動が行われているようです(私は9月に婚姻色を出した個体を見たことがありあます)。繁殖期の雄は砂地に巣穴を掘り、枯れ草等を粘液で固めた巣を作ります。そこへ雌を誘い込んで産卵させ、孵化まで雄が保護します。1年で成熟し寿命も1年ですが、滋賀県産の♀個体には2年以上生きるものもいるそうです。
滋賀県では、昭和50年代くらいまで、滋賀県南部(草津・守山)にも自然分布していましたが、湧水の枯渇などで現在は北東部の方に棲息するのみです(守山市の一部で放流されていますが・・・)。
岐阜県では、県の天然記念物に指定されているので採取できません!
滋賀県でも、平成19年3月29日以降は採取できません!
参考・引用文献
私見:
醒ヶ井のハリヨがイトヨになっていた(交雑していた)と言うショッキングな事件も・・・
希少種だろうがなんだろうが、安易な放流は危険だ・・・
採取:
水草の辺りを網で掬う。
飼育:
飼って分からることがある!希少種ですが、持ち帰って飼育を開始しました。
水槽に砂(田砂などの目の細かいもの)を敷き、水草をレイアウトする。夏場の水温を15℃以下にする工夫が必要です(水槽クーラーが必須)。最低でも強めのエアレーションを行いましょう。攻撃性が強い為、大きめの水槽が必要です。水槽サイズが小さく場合は、水草を多くレイアウトします。餌は生餌を好む為、出来るだけ生餌を与えます。ミズムシ、ヨコエビ、稚エビ、アカムシ等を食べますが、特にミズムシの食付きが非常に良い。小さい魚は、底物でも攻撃されます(場合によっては捕食されます。)
(参考までに私の飼育方法)
①稚魚誕生:
水槽内は、自然界と異なり微生物が少ないので、親魚に任せていても成長できないのでは?と思い、親から隔離しました(小型飼育ネットや大きなスポイドを用いた)。この時、隔離先としてグッピー用の産卵箱は不可。やり方が悪いのかも知れませんが、死亡率が高いです。20cm~30cmの水槽に外掛けフィルターをセットし、水流を弱めたものでは生存率が高かったです。エアレーションはエアーポンプを用いずに、水槽の水位少し下げることで、外掛けフィルターからの流出水により補充。底床は大礒砂の中目を用いていましたが、恐らく砂の方が良いのではないかと思います。水草は、カワゴケとノチドメ(意味はない)。混泳相手として、ミナミヌマエビの稚エビ30匹とミズムシ10匹、ヨコエビ少々。※水槽は、稚魚誕生数ヶ月前に立ち上げておく!
②稚魚飼育:
上記の環境で飼育を行い、餌は水田にてミジンコ類(カイミジンコは不可)を採取して与えます(※農薬注意!)。田植が始まっていない場合は、水路の水草やゴミから微生物を採取(緊急ならば、外部フィルターの古水からミズミミズ採取でも可)。野外採取ができない場合は、ブラインシュリンプを涌かす。有る程度の大きさになるまで死亡率が高いので、早く大きくするために餌は毎日欠かさずに!ミジンコ類だけで3cm位まで成長します。
③稚魚移動:
夏の暑さ対策に、外部フィルター&水槽クラーの設備された60cm水槽に移動(若魚辺りまで集団生活をしていますので、比較的過密でも大丈夫でした)。底床は粗めの砂、水草はアナカリスとマツモ、エビモなど。混泳相手にミナミヌマエビ多数と小型のカマツカ(餌掃除係)。餌にはイトミミズや冷凍赤虫を用いはじめます。自然採取では、相変わらずのミジンコとミズムシ、稚エビなど(イトミミズや赤虫も採取しました)。水温は、結露が酷いので20度くらいに設定していました(結局、結露は酷い)。さらに、冷却&結露対策に冷却ファンも用いました。エアレーションは、大型のエアーポンプを用いて強めのにしました(気化による熱放出促進)。
④成魚飼育:
成魚は飼育数にもよりますが、かなりの餌が必要です。冷凍赤虫と活赤虫、スジエビ小、ミナミヌマエビ、ホウネンエビ、カブトエビ、ミズムシ、ヨコエビ、稚ザリガニ、浮仔サイズの魚などを与えていました。成長率にバラつきが出ましたので、水草を多く配置することで争いを避けます。
⑤成魚移動:
60cm水槽で雄が婚姻色を出し始める前に、120cm水槽に移動します。縄張り意識が出始めると争いが絶えず、怪我する個体も・・・(酷い時には死にます)。120cmへの移動前に巣作りを始めた雄がいたので、この雄と雌2匹を60cm水槽残して他の個体は移動しましたが失敗。巣営が完了するまで、雄は雌を襲います。60cmでは水草を多く配置しても死亡率が高いです。雄が落ち着くまで雌を入れない方が無難です(60cm水槽だけで繁殖させるのは難しい?)。移動の際には、掃除係(ドジョウ類やカマツカ・ツチフキ等)を連れていかない!巣営時に巣を壊すなど邪魔をする事があります。
⑥繁殖:
雄が赤く色付き出すと水槽の角辺りに、アナカリス等の水草で囲った握り拳程度のスペースをつくる(これを何箇所かつくる)。そして、ホソホウオウゴケ、ホウオウゴケ、カワゴケ、枯葉の茎、マツモの破片、カワモズク、ウィローモス等を入れる。砂が粗いと底床が掘れないので巣作りできません。事前に細かい砂を入れて置きます(ハリヨが口に入れて吐ける粒径の砂にする)。60cm水槽では先に雄を入れて巣作りさせ、雌を入れるタイミングを見計らう。120cm水槽ですと争いが少なく(ゼロでは無い)、雄による雌殺しを回避できまし、複数飼育もできます。
動画:
画像:
上から見下ろせばこんな感じです。棘が赤いですね~。
体側が青味掛かって鮮やかな婚姻色が出ています。
恐らくは♀の個体。もしかしたら抱卵しているのかも
採取直後のハリヨの♂と♀。
07.10.25追加画像。ハリヨの産卵行動。
07.10.25追加画像。孵化したハリヨの稚魚達。
(参考までに)
「ふるさと滋賀の野生動植物との共生に関する条例」
「指定希少野生動植物種」および「指定外来種」
よろしければこちらにもお越し下さい。
巣を作り、雄が稚魚を保護する優しさと攻撃性を持ち合わせています。
飼育してみて解ることって本当に貴重だと思います。
情報は大切な資源ですが、自分の体験はなによりも貴重です。
ハリヨの今後を楽しみにしています。
アクア・トトではありますがね。
淡水魚館でね、、
昨日、私も長良川に入りました。
水生生物調査の日だったからね。
年々汚れていく長良川・・どうなることやら・・・
ハリヨが色々な方の所で捕まえられると、棲息地もまだまだあるんだと嬉しくなります。保護環境が整えられていないのに捕ったらダメ!というのは気に入りませんが(学術調査のみで、私や懐畔泥鰌さんが発見したポイントを見つける事が出来るのだろうか?)、これ以上、私のような者が捕まえないようにする為に、多少は効果はあるかもしれませんね。
>バルタンさん
調査活動ご苦労様です。長良川、そんなに汚れていましたか。昆虫類は捕れたようですが、今後のことを考えると心配ですよね。
子供たちに美しい川を!と思ってみても、まだまだ皆さん関心が薄いですしね・・・
自然が元の状態に戻らなければ、いずれにしても時間の問題。あとは、「トリコ」に生息場所を見つけられないように注意したいですね。
その反面、私が見つけた棲息地もそうですが、棲息していることに気が付かず、ゴミを捨てる、工事をする、水路清掃で水草をねこぞぎ撤去するなど、棲息地の破壊が知らぬ間に進むのでは?と心配しています。