世界の中心で吉熊が叫ぶ

体長15センチの「吉熊くん」と同居する独身OLの日常生活

「おくりびと」

2008年09月14日 11時27分41秒 | Weblog
今まで観た映画の中でかなりのお気に入りにランクインすると思われる映画に遭遇した。

「おくりびと」

生と死。
日常に忙しく生きているとふと忘れる死という存在。
人間はみんな死という病のキャリアであり、いつかは死ぬ。でも、明日も明後日も日常に自分がいることを疑う人は少ないと思う。
私もそうだ。

今年の春、私は祖母を亡くした。
通夜・告別式のあの二日間は、非日常的な時空だったと思う。
多くの親戚、父の涙、花に囲まれた祖母の遺体、火葬場に送られるときの機械的な音…そういうものは日常生活とは切り離されているもので、あまり目にするものではない。


今回の映画は納棺師の話。
東京の楽団でチェロを弾いていた大悟(本木雅弘)は、楽団が解散されて無職になる。妻(広末涼子)と一緒に故郷の山形に帰ることに決めた。
実家といっても、母は他界し、父は30年前に愛人と家を出ていってそれっきり。

そこでチラシの求人募集にあった「NKエージェント」という会社に目星をつける。
「旅のお手伝い」→旅行代理店かな?
そう思っていたんだが…。
さっそく面接を受けに行き、この仕事が納棺師だということを知る。
初めは戸惑っていた大悟だったが、佐々木社長(山崎努)に言われるがまま引き受けてしまい、納棺師の仕事にのめり込んでいく。

死後2週間が経過した孤独死の老人、
美人だと思っていたらニューハーフだった青年、
ヤンキーの女子高校生、
幼い娘を残して亡くなった母親、
ルーズソックスを履くことに憧れたおばあちゃん、
キスマークで送り出される大往生のおじいちゃん、
クリスチャンの青年、
たくさんの人たちを送り出す。

死の旅支度をする本木雅弘の所作の美しさは見惚れてしまうものがあった。
遺体に死に装束を着させる衣擦れの音が非常に心地よく、あのシーンだけでも見る価値がある。
遺体が生きていたときの各々のストーリーは見えなくても、本木雅弘と山崎努によって優しく送り出される様子を見るだけで、涙が止まらなかった。

そして、終盤、30年前に生き別れになった父を大悟が涙を流しながら送るシーンは愛に満ち溢れていて、心が揺さぶられた。


山崎努も良かったが、脇役の吉行和子と笹野高史の静かな恋も良かった。

笑いあり涙あり。
ストーリーもしっかりしているし、映像もきれい。
言うことなしの映画だった。モントリオール世界映画祭でグランプリを取ったのも頷ける秀逸な作品だった。

あと、舞台の庄内平野の四季のうつろいに寄り添うように流れる音楽の素晴らしさといったら!
見終えてから知ったんだが、音楽は久石譲だった。やはりね。
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2 コメント

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Unknown (みな)
2008-09-16 19:16:32
ヒロスエとモックンのやつでしょ??
みなも見たいと思っているのよ!!

一人映画デビュー、しようかな・・・
できるかしら・・・
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おススメです (亮子&吉熊)
2008-09-16 22:23:13
みな殿

>ヒロスエとモックンのやつでしょ??
みなも見たいと思っているのよ!!

そうです。
広末涼子は好きではなく、スルーでした。密かに濡れ場シーンがありましたが、「ふ~ん」って感じでした。
菅野美穂でいくね?と思っちゃいました。

モックンははまり役。

>一人映画デビュー、しようかな・・・
できるかしら・・・

できますって!
けっこう老人率が高い映画でした。
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