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グロ-バリズムとナショナリズム

2016-12-31 10:28:09 | 建築
今は大晦日のAM10:30・・・つい先日、いよいよ12月だな・・・
・・・などと言っていたのに。
午後は、奥様の作る「おせち」のお手伝い。午前は私の時間。

さて、手元に建築雑誌があり、「編集部が選ぶ今年の10大建築人」という特集
記事があります。年末ブログには、いささかお堅いとも言えるのですが、
今年から来年に掛けての、建築界の重要な流れを整理するには興味深い内容
なので、自分のためにもまとめて置きましょう。

1.隈研吾(東京大学教授・設計事務所主宰)
  :「失われた10年」を原動力に次代の建築家像を模索
  :新国立競技場、渋谷駅再開発、そして品川駅。東京大開発を象徴するビック
   プロジェクトを3つ手掛ける。多忙の中、国立代々木競技場を世界遺産にする
   活動でも“顔役”を務める。バブル崩壊後の「失われた10年」が自身を
   変えたと語る。
  :海外建築家の時代が過ぎ、日本的な美学を世界に発信できる人が社会的に
   求められており、その中で、特に「木」の時代の渡来を唱える。

2.五十田博(京都大学生存圏研究所教授)
  :木造被害の調査に奔走、設計者の意識改革を促す。
  :日本建築学会による木造住宅の被害と原因調査でリーダーシップを発揮。
   熊本地震以降、木造研究者として情報発信の必要性を強く感じ、
   住宅実務者に熊本地震の教訓と対策を伝える講演活動にも尽力している。
  :新耐震基準で建てられた建物が倒壊したことに衝撃を覚え、これからは、
   消費者が住宅性能を選ぶ時代となることを唱える。

3.久原英司(熊本工務店ネットワーク会長・エバーフィールド代表)
  :ゼロ・エネルギー・ハウス仕様の木造仮設で地域工務店の活路を開く。
  :熊本地震の仮設住宅563戸を木造で建設。それもゼロ・エネルギー・ハウス
   に近い仕様で。地域密着の手法も注目され全国から講演の依頼が相次ぐ。
  :1000万円でゼロ・エネルギー・ハウス仕様を提供する住宅モデルを提案。

4.澤田秀雄(エイチ・アイ・エス会長・社長・CEO)
  :省人化ホテルの急先鋒、「90点で前に進め」
  :ハウステンボス(長崎県佐世保市)内で「変なホテル」を運営する。
   フロントの接客ロボットは英語・中国語・韓国語の対応できるまで進化。
   訪日4000万人時代に向けて、省人化を極めたホテルの研究を一段と進める。
  :人手不足の地方用にサービス向けロボットを開発、9割ロボット、1割人間が
   当面の目標。

5.島田洋平(らいおん建築事務所代表、リノベリング代表など)
  :リノベーションで課題を解決、地域開発にも挑む。
  :民間自立型のエリア再生「リノベーションまちずくり」を主導。
   その推進力となる「リノベーションスクール」全国展開を引き受けてきた。
   30都市で計70回以上の開催という実績の立役者だ。
  :地方の街に実在する遊休不動産の再生案を、事業計画まで含めた企画に
   まとめて不動産オーナーにプレゼンし、公民連携でエリア価値を高める。

6.田根剛(ドレル・ゴットメ・田根/アーキテクト共同主宰)
  :10年がかりの事業が終結、「日本も海外」と捉え世界へ
  :2006年に国際コンペで勝ったエストニア国立博物館が今秋オープン。
   10年がかりのビックプロジェクトを終え、新たなスタートラインに立つ。
   日本の仕事は多いが、今後もパリを拠点に視線を世界に向ける。
  :今はグローバルな時代なので、色々な国で、色々な人と出会い、機会を
   つかんで行きたい。世界でまだ見たことがない何かに挑戦していくには
   この時代は好機だと思う。

7.中島浩一郎(銘建工業社長)
  :国内初のCLT(木造直交集成板)専用工場で、アジアの市場も見据える。
  :CLTに可能性を見出し、国内初の専用工場を建設。初年の生産量はフル
   稼働時の10分の1にとどまるが、今後の需要を確信。国内の旗振り役に
   とどまらず、アジアのマーケットにも注目する。
  :ヨーロッパでは森林資源の8割を活用、日本は2割強の状態。今後2時間耐火や
   耐震性能や断熱性の高さなどを活用し、中層建物にも活路を見出したい。

8.BUS(坂東幸輔、伊藤暁、須磨一清、徳島県神山町で活動するチーム)
  :徳島という場のうねりが3人の「最高」を引き出す。
  :第15回ベネチア・ビエンナーレ国際建築展で、審査員特別表彰を受けた
   日本館。BUSの3人は、徳島県神山町で設計した建築群の映像を出展し、
   話題を呼んだ。
   東京でそれぞれ設計事務所を構える3人は、神山町で劇場の改修に取り組む。
  :神山町は人口6000人の小さな町だが、全国から移住者が集まり、IT系企業
   がオフィスを開くなどの活性化が進み、地方創生のモデルとして全国から
   視察が絶えない。

9.星野桂路(星野リゾート代表)
  :インバウンドに甘んじず、地方の観光資源を刷新。
  :観光業界はインバウンドや東京五輪などに頼り過ぎてはいけない。
   そう危機感を募らせる星野リゾートの星野代表は、将来を見据え、東京都心
   や海外に新規出店を進める一方で、既存施設の改修にも力を入れる。
  :目標は、日本旅館のサービスを1つのカテゴリーとして確立させ、海外でも
   通用するものにする。これから大切なのは日本人にも外国人にも通用する、
   日本の博多・金沢・函館のような地方の文化拠点観光。

10.山名義之(東京理科大学建築学科教授)
  :国際的な視点と交渉力で世界遺産登録を後押し。
  :第15回ベネチア・ビエンナーレ国際建築展で日本館を特別表彰に導き、
   国立西洋美術館の世界遺産登録に当たっては、15年がかりで交渉や対話を
   重ね、新たに、国立代々木競技場の世界遺産登録に向けて始動した。
  :建築文化の国際的なコミュニケーターで、建築のまわりに出来上がる
   コミュニティーの意識を醸成するのが役割。

・・・建築界にもグローバリズムとナショナリズムの波が同時に押し寄せ、
   それぞれにバランス良く満たされて行くことが求められていることが良く
   分かりますね。
・・・一人ひとりの小さな仕事の中にも、この課題が必ず含まれているはず。

・・・さてさて、来年もまた宜しくお願い致します。  


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