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OUR STORY

2016-10-29 16:10:22 | 一般
昨日、自転車で外を走ったら、向かう風がすっかり冷気。
10月ももうすぐ終わり、11月には恒例の信州の大自然の中のリンゴ狩り。
昨夜は、去年のおせち料理が話題に上り、今年は材料を何処の何にするか
など、話題が少しずつ年末っぽくなって来ました。

今日は、先日亡くなった叔母の、身内だけの「しのぶ会」。
長男が、これを機に、我らの家系探査の旅に出かけ、
私自身も今まで知らなかった「OUR ST0RY」に、みな我を忘れた3時間でした。

近衛憲兵だった祖父と9歳年下の祖母の、写真一枚での見合い話し。
博愛に満ちた、仲むつまじい夫婦。
日清・日露戦争後の戦勝気分の中での陸軍入隊。
日本の割譲時代の台湾憲兵隊編入。
「シベリア出兵」時代のウラジオストーク。
帰国後の旭川、秋田、青森、東京と転勤していく中での、
我が母(次女3番目)を含めた6人の子供達の出生地とのこと。
色あせたこの頃の一家の写真が発見されたのでした。

昭和に入り、新婚早々の戦地で無念の死を遂げた夫、残された妻の再婚。
最近テレビで紹介される ANOTHER STORY の正に我が身内バージョン。

今ここにいる一人ひとりの背景にも、いかに多くの隠された物語が
詰まっていることか。
この3時間にも及ぶ身内話しに、何も言わずにニコニコ付き合っていた
2名の伴侶たちに感謝。









ワイズスペンディング

2016-10-01 07:59:51 | 建築
いま、都庁で注目を集めているフレーズ・・・
wise spending (ワイズスペンディング/賢い支出)。

我々、巷の建築設計家に与えられている職業的使命は、正にこの「フレーズ」。
設計対象になる建物が商業建築である場合には、これに・・・
「ワイズメイキングマネー」・・・というフレーズも付加されます。

設計当初では、出来るだけ建築主の理想に近いものを作図するようにしています。
手間は掛かるのですが・・・。
何故かというと、最初から「お金」ばかりを打ち出すと、互いに湧き上がる
イメージが「貧困」なものになってしまいます。
よほど理想と予算が、かけ離れていると思われる場合は、別ですけれど・・・。

さて、いずれの場合と言っても良いくらいに、当初出来あがった「図面内容」で
見積もりを取得すると、予算をオーバーするものです。

さてさて、問題はここからで、当初の設計内容から、いかにスリム化して
「本質的部分」のみを浮かび上がらせる事ができるか。
そこまで来て初めて見えてくる「贅肉」と定義出来るものを抽出できるか。
まさに、建築家としての野心、建築主としての欲望、を抑制する最も苦しい
「禁欲的作業」でもあります。

この過程を、建築主さんにもリアルタイムで共有して貰うことが、設計工程の中で、
最も大切な期間かもしれません。
それは・・・この時期が、建築主さん自身の「今までの暮らしに対する思い」への
「再確認作業」であったり、「スリム化・徹底化的作業」でもあるからです。

コストカットはしても「設計の筋は通す」。
建築主のギリギリの理想を、自分の持っている見識をフル活動させて実現する。
専門家としての腕前の見せどころ、我々にとって最も重要な時期でもあります。

「ワイススペンディング」というフレーズ。
私だけではなく、ちまた全般、いままでいかに多くの「ドラマ」があった事でしょう。