サッカールーの何でもござれ

サッカーとオーストラリアに関するサッカールーのエッセイです

最低賃金

2009-09-02 20:14:19 | Weblog
今晩のNHKのクローズアップ現代で民主党の経済政策、特に最低賃金を取り上げていた。民主党のマニフェストでは最低賃金1000円を目指すとしている。これに対して経済界からはそれでは中小企業を中心に倒産が相次ぎ非現実的と批判を受けている。

民主党のビジョンはヨーロッパ諸国並みの賃金をもらい、国際競争力のある経済を目指すというものだ。日本の最低賃金は地域により違うが、たしか630円とかそんなものである。ベトナムあたりと比較すればまだ高いほうだろうが、1000円以上の西ヨーロッパ諸国と比べるとたしかに安いし、一般論として日本は労働者の犠牲のうえに無理して企業が利益をやっとこさ生んでいるという状態だろう。

さてオーストラリアの場合、職種、年齢にも左右されるが、2009年の連邦政府が設定している平均最低賃金は約1100円である。日本とオーストラリアでは産業構造が極端に違うので比較することに無理があるが、人口2千万人のオーストラリアは財政赤字もないし、決して貧乏な国ではない。

昔と比べれば暮らしにくくなりつつあるが、日本のように派遣切りされたら、即ホームレス、自殺なんてことはそうない。失業保険などのセーフテイネットもあるし、医療保険は貧困層は保険料免除だから、貧乏人でも少なくとも公立病院にいけば一般治療は無料である。

よくこちらで質問されることは、「日本のような裕福な国からどうしてわざわざオーストラリアに来たのか」ということだ。筆者はいつもこう答えている。「日本は国と会社は裕福でも一般国民は貧乏なんだ」と。

民主党の主張はヨーロッパなど他の国でできていることがどうして日本だけできないのかということだ。つまり日本のように国民の犠牲のうえに企業ばかりが利益をためこんで、それを労働者に還元しない社会では意味がないということだ。

もっと大きなビジョンで表現すれば、経済成長を目指すのではなく人々の暮らしを底上げしていく社会を目指すということだろう。至極まっとうな考え方だと思う。実現できるかどうかは別問題だが。

国が裕福でなくても国民の暮らしが向上する社会が当たり前のオーストラリアのような国(別にオーストラリアが特別な国だとは思わないが)に日本もなって欲しいと思う。

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