好事家の世迷言。

調べたがり屋の生存報告。シティーハンターとADV全般の話題が主。※只今、家族の介護問題が発生中です。あしからず。

『ラスト・ビジネス』第1話「冒険の始まり(スタートライン)」

2018-02-07 | ゲームブック二次創作
「ヴァイス!」

町外れの森で、狩りをしている最中だった。
呼ばれた俺は、アジュアの指差す空を見上げた。
白い鳥が羽をバタつかせて、ふらふらと飛んでいる。
その後を、黒い鳥が追っていた。
白い鳥をいたぶるようにつつき回っている。
俺はどうにも気に入らず、拾った石を黒い鳥へと投げつけた。
ヒットとは行かなかったが、追い払うには充分だったようだ。
黒い鳥は飛び去り、代わりに白い鳥は力つきたように落ちてきた。
俺たちはすぐに駆けつけ、アジュアが鳥の様子を確かめた。

「息があります。すぐに手当てを……あれ?」

鳥の片足に、何かが結びつけられている。
広げてみると、それは手紙だった。
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アイグレーへ
セーブルが「皇帝」の秘密を解き明かしました。
聖なる泉・カシュオーンの伝説は真実です。
例のペンダントは持っていますか?
あれが、わたくし達の切り札です。
エリュテイアより

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「確か、アイグレーって……」
「この前、運び込まれたエルフですよね」

自ら「皇帝」を名乗り、不気味な魔法で、この中央大陸を支配しようと
狙っているエルフの魔法使い「マティウス」を知らない人はいない。
アイグレーって人は、そのマティウスから、ここ辺境の町アルテアまで、
命からがら逃げてきたって話だ。

俺たちは顔を見合わせた。
冒険者を目指して故郷を飛び出したばかりの俺たちに、細かい事はよく分からない。
けど、きっと大事(おおごと)に違いないんだ。

「届けてやろうぜ」