好事家の世迷言。

調べたがり屋の生存報告。シティーハンターとADV全般の話題が主。※只今、家族の介護問題が発生中です。あしからず。

「私」の見ている世界は実在するのか。

2017-05-25 | その他ミステリ
『メドゥサ、鏡をごらん』(by井上夢人)、読了。

困った。具体的な感想の書きようがない。
井上夢人作品の最初にコレを選んだのは失敗だったかもしれない。
もっと語りやすい作品にすれば良かった。
「99人の最終列車」でお世話になったから、いけると思ったのだが。

内容が悪いと言うつもりはない。
むしろ逆で、夢中になって一気に読んだ。
自分の尊敬する作家の遺作を探す主人公の気持ちに染まっていた。

だから中盤、“あの”切り返しに呆然となる。
私が今まで信じていた世界が、まさに霧散して消えてしまう。
どういう意味なのか興味持った方はとにかく読んでほしい、
としかココでは言えない。勿体ないから。
他の方のレビューで見かけた表現だが、
『クラインの壷』(by岡嶋二人)の発展型と呼ぶべきかもしれない。

たた、読んでて気になったのが、やはり情報技術の進み具合。
発表当時(1995・96年)で最先端だったパソコン通信は、とうに過去の物。
これならいっそ、例えば郵便レベルのローテクノロジーで描いた方が、
普遍的な作品になったかもしれない。

最後に忠告。私にとってはコレ、なかなかの「イヤミス」でした。
気分が沈んでる時に読まずに良かった。

それでは。また次回。