ブナの中庭で

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GNH(国民総幸福度)

2008年05月11日 | いろいろ
「ブータンに魅せられて」(今枝由郎著)岩波新書1120 2008年3月発行
入院中に読んだ本より紹介Part3です。(なにせ6日間入院したのでよく本が読めました)


著者の今枝氏はチベット仏教研究者として長くブータンにかかわり、1981~1990年の10年間、ブータン国立図書館顧問として現地に居住した方です。

ブータン、GNH(国民総幸福 Gross National Happiness)を提唱する国として確かな存在感を放っています。GNHに関して、第4代国王が即位演説中で提唱したのが、実に1972年というから驚き。GNP(国民総生産 Gross National Product)をすべての価値基準とする世界に対して、GNHの向上こそがブータンの目指すところと明言しました。

ちなみにレイチェスター大学(英)はGNHによる「世界幸福地図」を発表しています(2006年)。これは100以上の統計調査に基づき、各国の人生充足度を総合判断したもので、1位はデンマーク、以下2位オーストリア、3位スイスと続き、ブータンは8位でアジア最高位でした。
さて日本は何位でしょう? 残念ながら、実に90位。

ブータンは、ヒマラヤの豊かな森林を守り、水量豊富な川での水力発電(ただしダム式ではなく自然と調和した水路式)が最大の輸出産業。環境の点から大変興味深いですね!

またブータンには7000m級の未踏峰が数多く存在しますが、古来の信仰により雪山は神々の座とする考え方があり、「永久登山禁止条例」が発令されています。現在、ほとんどが未踏峰のままになっているとか。
隣国のネパールが観光・登山産業に経済的に大きく依存しているのとは、全く対照的です!

ブータン、豊かな仏教文化に基づき国民がゆったりとした時間のもと心静かに暮らす国。
この本を読むと、いつか必ず訪れたくなります。(ホント、すぐに影響を受けてしまうなぁ  )
そして日本がなぜ幸福度世界90位なのか、外から考え直してみたいです。

(ブータンはブルーポピーが有名。トップの写真はブータンではなく中国四川省黒水県で撮影したもの。すみません)

2 コメント

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マザー・テレサ (チャイカ)
2008-05-14 15:10:02
ブータンは本当に素晴らしい国だと思います。しかし最近まで鎖国のような感じだったので、テレビやインターネットが普及しだして、どうなっていくか心配ですが・・・
でも、人間としての核の部分がしっかりしている気がします。4代国王が昭和天皇の大喪の礼に出席された時、各国の首脳が経済支援のため日本の政府高官と会合をしましたが、この国王は弔意を示しに来たのであって、お金をもらいに来たのでないと会いませんでした。その印象が強かったです。(もちろん民族衣装も覚えています)
日本の90位については、なぜかマザー・テレサが日本に来たとき、「豊かな国の心の貧しさを見た」という言葉を思い出しました。
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ますますブータン、ブータン。  (Repu)
2008-05-14 21:42:58
第4代国王は大変素晴らしい人格の方で国民の尊敬を集めていたそうですね。チャイカさん紹介のエピソードを読んで、さらに感激しました。この前国王の目には日本と日本人はどう写ったのかな‥‥。
それから90位。手厚い公共事業に対して医療、福祉と教育分野の手薄さがひとつの原因なのではないかなぁ。
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