Kakuma News Reflector 日本語版

カクマ難民キャンプの難民によるフリープレス
翻訳:難民自立支援ネットワークREN
著作権:REN(無断引用転載禁)

2022年12月号 KANERE記者のドイツ体験記

2023年08月23日 | 第三国定住
by トロッサ・アスラト / KANERE ボランティア記者

南スーダン、コンゴ民主共和国(DRC)、ソマリアからの難民が、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の再定住プログラムを通じてドイツに第三国定住した。


【写真】KANEREの元編集メンバーのバルル・ウォル・カクアクは、ドイツに居ながら
KANERE チームと積極的に関わり続けている。
――バルル・ウォル提供写真 /KANERE

ドイツは、2020年にフランク・ヴァルター・シュタインマイヤー大統領がカクマを訪問したのをきっかけに、カクマ難民キャンプの難民を受け入れるようになった。10年以上カクマキャンプに住んでいる南スーダン、コンゴ民主共和国、ソマリア出身の難民を受け入れているのだ。オックスフォードの難民研究センターによると、ドイツは2015年から2016年にかけて起きたヨーロッパ難民危機の際に100万人の難民を受け入れ、世界の難民制度を根本的に見直す必要があるのではないかという議論を巻き起こした。

この危機的な時期に、ドイツはアンゲラ・メルケル首相のリーダーシップの下、ドイツ語で「私たちにはできる」を意味する「ヴィル・シャッフェン・ダス」の原則のもと、シリアから逃れてきた100万人の難民を受け入れた。メルケル首相は「我が国は強いのでうまく対処します。大量の難民が来ても対応できます」と述べた。

2018年12月17日に国連総会で採択された難民に関するグローバル・コンパクトをUNHCR事務局も決議したが、それを受けて、ドイツを含むヨーロッパ諸国は、UNHCRの保護任務に基づいて避難民や難民を支援する市民社会主導のプログラムを立ち上げることを約束した。

2019年5月以来、ドイツ連邦政府は、弱い立場にある難民に追加の第三国定住の機会を提供するだけでなく、ドイツ到着時に経済的・社会的支援を提供することを目的として、難民向けのコミュニティ・スポンサーシップ・プログラムを試験的に実施している。

カクマ難民キャンプと新しいカロベイエイ入植地からの難民の一部は、文字通り「やり直すためのチーム」を意味する「ノイスタート・イン・チーム」(NesT)と呼ばれるコミュニティ・プログラムを通じてドイツに再定住した。

KANERE の 12 人のチームメンバーのうち 4 人が、ドイツに再定住する機会を得た。 そのうちの3人に話を聞いた。彼らはUNHCRとNesTによる第三国定住計画の恩恵を受けたが、ここキャンプにいる間はジャーナリストとして働いていたKANEREの元スタッフである。ドイツで一番驚いたのは何かと聞くと、ビールとパンだという。

1歳の頃からカクマに住んでいた南スーダン難民のバクウ・ウォル・マクワハさんは、NesTとUNHCRの紹介システムを通じてドイツに再定住する機会を得た。

彼は、カクマでの教師のストライキを取材中に逮捕されたKANERE記者の一人で、ドイツに到着してからずっと幸せだと、次のように話した。「ここは自由そのもので、ヨーロッパ諸国の『国』を問題なく自由に歩くことができます」

しかし問題もある。「法律でドイツ語の B1 取得が義務付けられているため、言葉の壁があり、ジャーナリズムの仕事を続けることができないのです」という。

コンゴ出身の難民でKANEREの元メンバーであるリサラ・アルフォンスさんは、カクマ難民キャンプに10年間滞在していた。彼女も同じ人道プログラムを通じて 2022 年にドイツに再定住した。リサラさんは「雪を初めて見た」と驚いていた。

ドイツに到着して彼女が最も驚いたのは、ドイツ人は「言語、文化、規則に加え、時間管理を重視しているのです。アフリカとは何もかも違います」と言う。リサラさんは肌の色が原因で、シリア、アフガニスタン、イラン、トルコからの難民との付き合いが難しいそうだ。

「これで、ヨーロッパのすべての国に自由に行くことができます」 10年以上カクマ難民キャンプに住んでいたソマリア出身の難民、アブディナシル・バレさんは、同じ人道プログラムの恩恵を受けてドイツに渡った。KANEREのメンバーの一人でもあった。

ドイツには、世界中で難民支援をしてきた長い歴史がある。たとえば教育に関しては、ケニアでアルバート・アインシュタイン・ドイツ学術難民イニシアティブ(DAFIという)奨学金プログラムを通じて過去30年間にケニアの難民コミュニティを支援しており、世界中から集まった21,500人を超える難民学生に奨学金を授与してきた。

2019年以来、UNHCRケニアは難民のドイツへの再定住を支援し、ケニアに住むさまざまな難民を再定住させてきた。2022年8月のUNHCRケニア月次統計によると、シュタインマイヤー大統領のカクマキャンプへの最初の訪問以来、ソマリア、コンゴ民主共和国、南スーダンからの1,000人以上の難民が支援を受けてドイツに再定住している。

現在、UNHCRに対する援助で、ドイツは世界第二位だ。またドイツは、 難民に関するグローバル・コンパクト以来、ケニアに住む難民の最大の目的地となっている。

2022年11月、UNHCR長官は、ドイツの9,400万ユーロの寄付に感謝の意を表した。この寄付は、「アフリカの角での紛争と干ばつによって故郷を追われたシリア難民と人々」の支援に使われる。


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