真保裕一 作
これを読んだすぐあとから読み始めている本に
「読書経験を積めば積むほど、本に対してすれてくるし
感動も鈍ってくる。時間を忘れてむさぼるように本を読む幸福、
そういう喜びを知ってはいるけれど、なかなか体験できない」
というセリフが出てきたんだけど
そういう意味では自分も少しミステリー小説に対して「すれてきた」ような気もするし
「感じる」より「評価」しがちになっているかも、と思った。
この小説も、ページをめくっていくワクワク感はとてもあるのに
主人公の推理がピタピタはまりすぎることとか
味のある脇役が何人かいるのに最後のほうはほったらかしだったとか
そういうことが気になって「むさぼるように」とはいかなかった。
でも、きっと出会えると思う。
なかなか出会えないからまた次の本を読む。
「おはなし」は面白い。活字も、人が話す「おはなし」も。
これも今読んでいる本から。
「暖かい家の中で、テーブルを囲み、見知らぬ物語の粗筋をきいている。
この、遥かなる記憶を呼び覚まされるような感覚。
おそらく、大昔から世界中で、なされてきた行為。
やはり人間というのはフィクションを必要とする動物なんだな。
まさに、この一点だけが人間と他の獣を隔てるものなのかもしれない。」
これと関係あるのかどうか。
2度の出産を経験したが、
2度とも、その前後1年くらいは「小説」を全く読む気になれなかった。
一番「獣」に近かった時なのか・・。