山王アニマルクリニック

日々の診療、いろんな本や音楽などについて思い巡らしながら、潤いと温もりのバランスを取ってゆこうと思います。

マムシ咬傷

2022-04-25 23:40:11 | 診療よもやま

「散歩中、突然、蛇に咬まれた!」とラブちゃんが来院しました。

少し出血があり、直後だというのに咬まれた左側だけ腫脹しています。

写真ではわかりにくいのですが、出血部位をよく見ると穴が2つあいています。

これは2つの牙を持つ毒蛇――マムシに咬まれたことを意味します。

そもそも毒のない蛇であったなら出血はしても、直後にここまで腫れあがることはないでしょう。

この子は何年か前のマムシ被害にあったワンちゃんですが、

右側を咬まれたのに次の日には左右も下も腫脹し…

 

左肘や胸部付近まで腫れてしまいました。

 

 

治療して3日後にはだいぶ腫れが引いてきています。

 

 

これも上と同じ日の写真です――だいぶ腫れが引きましたね。

 

これはマムシに咬まれてから12日後の写真です。

腫れは完全に引いていますが、2つの毒牙の傷跡がはっきりと残っています。

犬がマムシに咬まれて亡くなることは、まれであり、ちょっとした治療で治っていくことが多いのですが、小型犬では死亡してしまうこともあるようです。

(当院では死亡例はなく、中型犬での発生が多いです。大型犬であるラブラドールの例では食欲が落ちず、中型犬の例では一週間くらい食欲が落ちてしまったので、体重当たりの毒の注入量によって重症度が変わるのでしょう)。

マムシは、カエルやトカゲ、ネズミ、鳥などを食べています。

最近、当院の駐車場でもアマガエルがぴょこぴょこ跳ねていましたし、田んぼではカエルたちの大合唱が響いていますからね。

獲物となる生き物が潜む所には、マムシも潜んでいる可能性があります――水田や畑、草むらなどを散歩するときは気をつけましょう!

当院では、田んぼなどの草むらに顔を突っ込んだ時に顔周囲を咬まれるケースが一番多く、次いで前肢での発生が多いです。

3日後の写真では、2つの毒牙の跡がはっきりと確認できますが、腫れは引いてきています。

この子を咬んだマムシは、なんと草むらを通る道の真ん中でとぐろを巻いていたそうです。

(二匹で散歩中、もう一匹のワンちゃんに気を取られているうちに咬まれてしまったとのこと)

咬まれた周囲は腫れがひいたのに、顎の下から首にかけては浮腫を起こしています。

マムシ咬傷は5月くらいからみられ始め(上のラブちゃんは4月下旬)、8~9月の発生が一番多い(マムシの繁殖&出産シーズンなので活発化との説あり/もう一匹のワンちゃんは8月上旬でした)ようなので、これからの季節は特に気をつけて下さい!!

コメント
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