しるべの記し

教会音楽家でクリスチャン・エッセイストのしるべです。
イエスさまの十字架を「道しるべ」として歩んでいます。

善き力にわれ囲まれ

2020年04月23日 | 教会音楽家 クリスチャン・エッセイスト

新生讃美歌73番「善き力にわれ囲まれ」はドイツの神学者、ボンヘッファーの詩の引用からできた賛美歌です。彼はヒットラー軍率いるナチ政権を批判したため、国家反逆罪でとらえられ、絞首刑となります。その獄中で刑に処せられる4ヶ月前の1944年クリスマスに、婚約者に宛てて書かれた手紙、その中の詩をもとに出来たのがこの賛美歌だと言われています。
また彼は、死を目前にして、次のような最期の言葉を遺しました。
「これが最期です、(しかし)わたしにとっては生命の始まりです」
なぜ死を前にして彼はこのような希望を持つことができたのでしょうか。なぜこのように「善き力に囲まれている」という確信を持つことができたのでしょうか。それは目に見えるものではありませんでしたが、しかし彼は自分のまわりに神の力が働いている、それを見たのです。

「信仰とは、望んでいる事柄を確信し、見えない事実を確認することです。」
(ヘブライ人への手紙11:1)

今わたしたちは新型コロナウイルス感染の恐怖の中で、「どうしてこのような敵に取り囲まれるのだろうか」という疑問を持ちます。取り囲まれているのはウイルスであり、それがいったいどこに存在しているのかは、はっきりしません。目に見えない敵を前に、途方にくれているわたしたち人間が今の姿です。目に見えない正体不明の敵は、わたしたちを混乱におとしいれますが、目に見えない神の霊は、わたしたちを平安に導いてくださいます。ボンヘッファーが命の終わりを目の前にした時、「これが始まりです」と言わしめた神への確信とは、それはまさに「信仰」そのものであり、永遠の命へと続く道を見たから断言できたのです。


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