魂の
端っこを買い物籠に入れ レジ台に置けば
小数点の数字が 並べられる
叩き売りの バナナ
捨て去られる
置き去られる
「わたし」の
ひとつひとつは
再生されず
解体されず
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眠り姫の 眠り
どのように眠る 眠り姫
眠るように 眠る
眠り姫の 眠り
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2
もう
おかーちゃんなんか いらんおとーちゃんなんか いらん
それから おとーとも いらん
どーせ あたしは
ひとりぼっちなんやから
・・・・
なあ おかあちゃん
あめだまあげるし
ないても ええ?
1
2
曲線が 果てしなく続く
海のような広い河を
ぼくは 描くことができない
鳥よりも
月よりも
星よりも 高い空に
誕生したはずの ぼくたちを
夢の中に そっと
置き去りにして しまったから
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車の横腹の文字が「トァイガーマスク」と 読めたので
わたしは 車に飛び蹴りをかませた
なかなかやるなと われながら思って
顔がほころぶ
助手席の男がきょとんとした顔を
こちらに向けている
プロレスラーなら堂々と戦おうではないか
そう 見栄を切ろうとしたのだが
とても静かな街が わたしの頭蓋に住みつき
声が出ない
車から あの男が降り
唄った
「アクァイクツ ファ~イテタ オンヌァノコ~
イィ~ジンサンヌィ .......」
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わたしは子供を消しました消しゴムで消しました
唇や
瞳や
耳を
消しました
背後から
消しゴムで襲いました
だから いま
わたしの 背中や
右脚や
左の腕が
消えていきます
静に 消えていきます
子供の消しゴムで
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