かたむく暗箱

空想の暗室

これはリンゴよ

2005-08-31 21:06:35 | 写真と虚言

これはリンゴよ
ほんとうだリンゴだ
これはミカンです
まあまあそれはミカンだったよね

あなたは わたし

まったくまったく
あなたが
わたしであったためしはなく
わたしの 空飛ぶ暗さを
あなたには掴むことができない

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8月30日のほう

2005-08-30 22:29:56 | あんしつ
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ぼくは誰かを尾行していた

2005-08-29 22:32:07 | 写真と虚言

ぼくは誰かを尾行していた。

どんよりとした雲に覆われた細い道をすすむ
右に曲がり
左に曲がり
また
右に左に曲がっても
道の向こうの、ずうっと向こうの
正面の風景は同じだ。

同じ風景だと意識したとたん
そいつが立ち止まる。
「君だと分からなかったけれど
誰かが尾行しているのは気付いていたさ」

ぼくは少年雑誌の付録
子供だとは気付かれない=
「紙縁のサングラス」と
「紙の付け髭」を外した。

「ぼくはね、あなたでなくてもよかったんだ
誰だってね 
こんな立派な髭をはやしているんだもの
ぼくがぼくを尾行し
ぼくがぼくの気配を感じ取れても
サングラスと髭のあるぼくを
他の誰でもなくぼくであると
ぼくは
ぼくを見抜けないはずだ
ぼくはたしかにそう思っている」

半ズボンのポケットから、探偵手帳を取り出し
ゆっくりと開けた空白に
ぼくの中のぼくの中のぼくの中の
.....................
いつ果てるのだろう 
ちびった鉛筆が書き込んでゆく。



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洗濯機を買ってきたぼくは

2005-08-28 19:51:01 | 写真と虚言

 洗濯機を買ってきたぼくは、部屋の中央に据え付け
床板に円い穴を開け、排水パイプを突っ込んだ。

「ナニシテルノ?」
妻のかすれた声に顔を向けると
ぼやっとした身体が、暗い暗い部屋に傾いている。

もはや真夜中なのだと気付き
大急ぎで電源を入れ、洗剤を入れ
スイッチを入れる。

回転する大きな音。

「ナニヲアラッテイルノ?」 
あらゆるものを

どぅぉー
さらに大きな音が排水パイプから流れ
泡状の音が徐々に重なり重なり
部屋を満たす。

いくつも
ぼやっとした妻の身体が
泡状の音に映し出され
その映像と音を包みこみ
ぼくは 眠る


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8月27日のほう

2005-08-27 21:57:37 | あんしつ

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「つまり君は何なのだ?」

2005-08-26 21:52:42 | 写真と虚言
 「つまり君は何なのだ?」とAが言う。
空っぽの白。白は、白い地面を頼りな気に立つ。

「何かしなければならない」が幽霊のように
路地から飛び出てぶつかり、大した力でもないのに、
ふらふらとよろける。

仕方なく白いスコップを手にし、地面の白を掘る。
掘り出され積み上げられた白に、
保護色の白い眠りを侵入させる。

眠りの頭上を
白いものが通り過ぎていったようなのだが、
はたしてそのものに影があったのかどうか
白いぼくには思い出せない。


 
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実験室でぼくとぼくとぼくとぼくが

2005-08-25 21:47:57 | 写真と虚言
 実験室でぼくとぼくとぼくとぼくが顔を寄せ合い、
小さなビーカーを透過する淡い色を含んだ光を眺める。

ぼくは「赤」だと言い
ぼくは「青」だと言い
ぼくは「黄」だと言い
ぼくが「言葉をもたない色だ」と叫んだ

ぼくらの貧しい、七色の空想実験。

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ドアーを叩く音がせわしない

2005-08-24 17:48:26 | 写真と虚言

 ドアーを叩く音がせわしない。開けてみると見知らぬ男が立っている。
最初は気づかなかったのだが、その男は沈黙のまま棒のように突っ
立ているわけではなかった。小刻みに止むことなく開閉し続ける唇。
 狼男。

 狼男が音のない歌を唱っている  
「涙が止まらないのです」 そう唱っているように想える。
たしかに涙が流れている。 涙を流しながら狼男はぼくをのみ込む。
バリバリと粉砕される音を聞きながら、ぼくは胃袋へ運ばれる。

 「涙が止まらないのです」 声帯の微かな微かな振動が、ぼくの皮膚に、
遠い遠い風のように伝わってくる。

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