はぐれそうな天使の備忘録

日々の覚書きですが、山口馬木也さんについて書くことが多いです。

時の流れに逆らい義を貫くもの(真田十勇士 感想)

2013-09-21 | 山口馬木也さん
色々ネタバレしてますので、知りたくない方はスルーして下さい

馬木也さん観たさに3回も観劇した、この作品。
(10数回観た方もいるので、3回「も」って言うのはおこがましいかも )
出演者の方々それぞれは凄く良かったと思うんですが、
ストーリーとしてはものすごく感動したとか、なかったんですよね。
馬木也さんを観るのを優先していた+睡眠不足が重なっていて
元々大したことない思考回路が更に働いていなかったので、
脚本の言わんとするところを理解しきれなかったのかもしれませんが…

私だけがそう思うのかもしれないけど、連日のスタオベは
ストーリーに感動してというよりは、大勢入り乱れての
大掛かりな殺陣シーンとかを演じきった役者さん達への
お疲れ様の意味でのスタオベではなかったかと…。
少なくとも私はそうでした。
TV放送、DVD発売されてから観直したら、また違ってくるかも。
(早く出ないかなぁ~)

秀吉の優秀な家臣だった父親から、これからの世は徳川の時代だから、
真田の名を残す為に長男には家康、次男には豊臣の意地を見せるために
豊臣側にと言い残していったからといって、その言いつけを守って
滅びて行くであろう豊臣側につくことになる幸村って、損な役回りだなと思いました。
そんな言いつけ、私だったらやーだねで済ませちゃうけどなぁ。
おまけに名将と言われた父親と何かと比較されてもグッと我慢してるところなんか、
俺は俺だー!ぐらいのこと言えばいいのに、とかね。
家康についていれば、自分を慕ってついてきてくれた十勇士達を
一気に失うことはなかっただろうにとか。
今の時代もまだその傾向はあるけど、長男絶対主義の時代だったから
次男坊、三男坊は冷遇されても仕方ないんだろうけどさ。
幸村のお兄さんがどんな人だったのかわからないので、武将として
どちらが優れていたのかわからないからなんとも言えないけど、
生まれた順じゃなくて能力で甲乙をつけるのが妥当なんじゃない?って思いました。

開幕前の里見さんでインタビューで言っていた
ラストの「壮大な嘘」につなげる為には佐助とハナのエピソードを
作る必要があったんだろうけど、後半は2人の話がメインになった感じで
それってどうなんだろうとか思いました。
個人的には恋愛話よりは、男同士の友情とか、主従間の絆とかを
もっと描いて欲しかったです。
黒船の名前の由来よりは、鎌之助が佐助の名付け理由を言ったときの方が
上手い!って思いました。

面白いと思ったのは、才蔵、甚八、小介がまんまと半蔵を騙すところ。
「命隠しの術」、使えるものなら使ってみたいかも
半蔵もあそこで脈とか流血の量だけで死んだものと思わないで、
念には念を入れてトドメをさしておけば、って思ったりもするけど、
そうすると話が続かなくなるから詰めの甘い半蔵、ということになったのかな。
忍びの頭領としてのメンツ丸潰れなのは気の毒です

ラスト幸村1人で大勢の敵と戦っていて、四方八方から槍で刺されるシーンの時
苦悶の表情のあとに一瞬笑みを浮かべるシーンがあったけど、
あの笑みの意味は、肉体的には討たれてしまって負けるけど、
佐助を逃がすことができ、豊臣の血を根絶やしにすると言っていた家康の
思い通りにさせなかったことの満足感を表しているのかなと思いました。
それとも、これしきのことじゃ俺は死なん!って笑みなのかな…。

今回の「真田十勇士」だけでなく、「十三人の刺客」、「里見八犬伝」を観て
共通して物足りないなぁと思ったことがあります。
それは殺陣シーンで刀がぶつかり合う音、人が斬られる・刺される音の効果音がないこと。
TVや映画で効果音つきのものを観ているので、模造刀同士がぶつかる
カチャカチャ音が聞こえると、盛り上がった気持ちが萎えてしまうんです。
一発勝負の舞台で音を合わせるのは難しくてやらないのかもしれないけど、
役者さんそれぞれが迫力ある殺陣を観せてくれているんだから、
大きな音のBGMでカチャカチャ音を消すよりは、合わせるのが難しいかもしれないけど
効果音を付けてくれないかなぁって思いました。

感心したこともいくつか。
まずは、上川さんの台詞を言う際の口の動き。
舞台の上川さんは初めてで、声の通り、滑舌がよく、
聞き取りやすいなぁと思いつつ観ていたんだけど口元を観ると、
「あ、え、い、う、え、お、あ、お」みたいな発声練習をしている時の
大きく口を開けてハッキリと言う、あの口の開け方そのものだったので、
その口の開け方でスラスラ台詞が言えるなんて凄いな~と。

次に、望月六郎演じる植本潤さんが敵にやられそうになっている誰か
(三好兄弟の小さい方だったかな)を助ける為に扇子を投げるシーン。
結構距離があったと思うんだけど、開いたままの扇子がまっすぐ飛んでいったのは
お見事でした
開いた扇子を水平に飛ばすのって難しいんだよね。
(投扇興の心得があるのかな)

それから、筧十蔵役の三津谷亮くんの一輪車の乗りこなしは凄かったです。
劇中の観客の拍手が多かったのは一輪車のシーンかも。
一輪車世界一の人にとっては大したことなかったのかもしれないけど、
観てる側としてはあの勾配のある舞台で一輪車をなんなく乗りこなせるのは
凄いな~と感心しきりでした。

注文もつけましたけど、もし再演があって馬木也さんが出演していたら
また観に行きたいと思ってます。
でも、出来れば馬木也さんは悪役の半蔵じゃなく、十勇士の誰かを演じて欲しいなぁ。
(じゃあ誰役?って言われても今回のキャストはそれぞれ良かったので、選べないのですが…)
半蔵を演じている馬木也さんはカッコよかったし、殺陣の上手さや佇まい、侍の所作が
身についているところとかも考えたら、適役だったとは思うんだけど、
「(人を)始末しました」って台詞を言うようなダークな役はやっぱり嬉しくないんだな…。
エンディングの幸村+十勇士が「時の流れに逆らい義を貫くもの~!!」と言いつつ
超カッコいいフォーメーションをする十勇士の一員になって欲しいなと、
舞台のバックにもあった満月をここ2,3日の夜空に見る度に思います。


余談ですが...
観劇中にコンビニの袋をガサガサするのはやめて下さいね
  →千秋楽で私の隣の隣ぐらいに座っていたおばちゃん2人組
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