天丼(上) 1000円
満る善(閉店) 東京都江東区森下1-18-1
江東区の西部、旧深川区の地域には江戸時代に掘削された水路が網の目のようにあって、その多くは水運が斜陽となった昭和時代に埋め立てられてしまった。
そのひとつである旧五間堀と清澄通りが交わるあたりに古びた長屋があって、その一角に満る善はある。
五間堀の埋め立てが昭和30年というので、長屋はその数年後に建てられたとしても、おおよそ50年以上になるわけだ。
昭和の末期、月島でのらんち王修業時代から店の存在は認識していたが、いまだにそのままの姿で変わっていないのは奇跡的といってもいい。
カウンターの目の前で天ぷらを揚げる年配のご主人、昼から酒をあおる年配の男性、そしてテレビは高校野球の東東京大会の決勝戦だ。
関東一高の劣勢に、しきりにぼやく年配の男性。帝京よりは江戸川区の関一を応援したいのだろう。それはまったく同感だ。
横目で高校野球を見ながら注文の上天丼を待った。
海老天二本の古式ゆかしい正しい天丼の上代1000円は良心的だ。
知る人ぞ知る、昭和の庶民派天ぷらの店です。