計算気象予報士の「知のテーパ」

旧名の「こんなの解けるかーっ!?」から改名しました。

謎が謎を呼んでくる

2008年10月26日 | 何気ない?日常
 熱エネルギーシステムの研究に従事するようになって2ヶ月が過ぎようとしています。相変わらず、工業熱力学の基礎理論から出発して解析モデルを構築しようと奮闘しています。

 既に実在するシステムに関する解析と言う事もあり、技術資料やパンフレットなどのデータや仕様を基に、解析モデルを組み立てていく訳ですが、これらの資料がまた複雑で分かりにくいのです。実際のシステムが複雑なので仕方ないのですが、まさに推理小説のような?「謎解き」の連続です。

 この解析モデルというものは、(非常に複雑な)実物の構造や機能の特徴を抽出して組み立てることで、簡潔に分かりやすく単純化して表現するものです。最初は極めて単純かつ基本的なモデルから出発して、段階的に様々な機能を追加してきましたが、いよいよ解析モデルの全体像が見えてきました。

 解析モデルは実際の構造を簡潔に分かりやすく表現したものですが、実情に沿った条件やパラメータを設定して計算して得られた結果が、実際の値と適合しなければなりません。漸く全体的な計算を試みた所で、新たな問題が浮上してきました・・・。謎が謎を呼ぶ状態です。最近はもう計算気象予報士ではなく、工業熱力学の解析技術者に染まりきっています。

・・・あ!!もうすぐ10月も終わり!?仙台の気象学会まで、もう1ヶ月も無い!!こんな調子で学会は大丈夫なんだろうか・・・さすがにそろそろ焦らないといけません。
コメント (3)
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未婚の分際で「子育て観」を語る羽目に・・・

2008年10月11日 | オピニオン・コメント
 最近、近くの大学の公開講座を受講し始めました。平日の夜に開講されているので、会場となるキャンパスも薄暗く閑散としています。ちなみに、こちらの大学は勤務先の大学ではありません。

 今回受講したのは(よりによって)「ジェンダー論」に関する内容です。今週は第一回目の講義が行われました。「ジェンダー」と言う概念は、要は「社会における男女平等の在り方を考える」ものですが、そのための基本的な用語や概念、主な歴史背景についてのお話を伺いました。その後で、講師と受講生のディスカッションの場がもたれました。当初は日頃感じているジェンダーに関する問題意識や疑問、体験談をフリートークで語り合おうとしたのですが、どなたの発言も無く・・・

 講師の方の一人が徐に、自分は子供が居ないので皆さんに質問したいが、御自身の子育ての際にどのような事を考えながら子供に向き合ってきたか、と言う問いかけをされました。要は「男の子だから」「女の子だから」かくあるべきという価値観を押し付けたりした事はあったか、もしくはジェンダーフリーで育てたのか、と言う観点から各自の「子育て観」を問うものでした。

(おぃおぃ、未婚の分際で何を言えるんだよぉ・・・)

 各自が思い思いの経験を話し始めたのですが・・・皆さん、面白いように脱線し、いつしか質問に対する回答も何処へやら・・・。気が付いたら予定時間も大幅に超過していました。それにしても日頃から色々な事に疑問を感じている方も多く、多様な意見を聞けた事は貴重な経験だったと思います。ただ、いつの間にか「質問に対する回答」が有耶無耶になっていたのが、どうにもこうにも気になって仕方が無く・・・。

 そして、最後から2番目に私の番が来ました。開口一番、質問された講師の方に、そもそもの御質問は子育て観に関するもので宜しいか、と確認した上で、時間が押しているので、質問への回答を簡潔に行いますが、未婚のためあくまで「想像」で回答する事を御了承下さい、と前置きしそのままの勢いで・・・

 男の子だから・・・、女の子だから・・・という形で本人の可能性を制限するような事はしたくない。むしろ、得意分野を見出し、それを伸ばしていけるようサポートできれば良い。人として守るべき基本的な道徳や社会のルールと言った規律・規範は当然教えるべきと思うが、さらにこれからの時代は「自主・自律の精神」、精神的自立と経済的自立の「二重の自立」が重要。少子高齢化社会が進む以上、これまで以上に「一人一人が貴重な人材(人財)となる」のは必至であるから、その基礎として何らかの専門性を身につけられるようになれば良い、と言う具合に、宣言どおり「簡潔に」締めくくりました。

 これ以上は、さすがに主題の「ジェンダー論」を飛び越えそうになったので・・・というよりも、ぶっちゃけ翌日は早朝出勤(始発の電車に乗らなくてはならない!)なので、早く帰りたかったのです。先の発言の内容は、特にジェンダー論を意識した発言ではなく、日頃からこの場で述べている事をそのまま直球で述べたに過ぎない事は、皆さんも御案内の事と思います。

 様々な現場において、わざわざ旧的な体質を維持する余裕はもう無くなるのではないか、と私は感じています。男性だから、女性だから、そのような体質「以前」に「能力のある人材にはどんどん活躍してもらう」と言う考え方に、否応なしにシフトせざるを得ないのではないかと感じています。このような考え方は「成果主義」や「実力主義」または「グローバリゼーション」や「ボーダレス」と呼ばれるかもしれませんが、そのような議論云々「以前」に「少子高齢化」が加速している我が国においては国民一人一人が我が国の「資源」もしくは「アドバンテージ」という位置付けが以前にも増して強くなるのではないかと思うのです。

 ビジネス本でも「企業は人なり」と説く本は少なくないですが、国家もまた「人なり」。そう考えれば、一人一人がその能力を伸ばし、活躍し、より良い社会の実現に向けて頑張れる事は一つの「国家の理想像」ではないでしょうか。資源も乏しく、食料自給率も低い日本の国際的なアドバンテージは何か、と考えた時に「やはり知的資源だ」と言う答えに辿りつくまでに時間は掛からないでしょう。高度経済成長を果たし、経済大国にまで押し上げた原動力も色々あるでしょうが、科学技術がその重要な柱の一つである事は疑いの余地は無いでしょう。それだけに、ノーベル物理学賞や化学賞のニュースには、我が国の秘めたる底力を感じました!科学技術立国・日本、万歳!!

 これからは色々な専門家が活躍する時代と思います。この記事での専門家とは何も「○○学の学者さん」に留まりません。誰しも何某かの自分の得意分野を持っているのではないでしょうか。その知識や経験をどのような場面や現場で役立てられるのか、という視点から見つめ直す事で、新しいチャンスであったり、新たな方向性を見出す事が出来るのではないでしょうか。そこから社会とのつながりを広げる事ができれば、それがやがて「自己実現」に発展するかも知れません誰しも可能性を秘めている・・・しかし、その可能性を具現化できるかどうかは、本人の努力次第なのだろうと思います。

 現在の世界そして日本を取り巻く・・・いや、もっと身近な地域社会を見渡しても色々な問題や課題が山積しています。だからこそ色々な専門家の方々にその能力や手腕を発揮してもらい、これら一つ一つを解決に導いてもらう事が必要ではないでしょうか。これ程までに社会や価値観が複雑かつ多様化した昨今において、様々な分野に精通する専門家が求められる時代は無いのではないでしょうか。そしてそれは、誰しもが共に視野・見識を広げ、自分の専門性を高め、色々な課題にアプローチする事で、活躍するチャンスがあると言う事とは考えられないでしょうか。

 どこかの政党が「老・壮・青のバランス」という言葉を用いた事がありましたが、言わば「老・壮・青」の各段階で果たすべき、もしくはその段階だからこそ分かる、見える、出来る役割や使命があるのではないかと思います。また、男性だから、女性だから、こそ分かる、見える、出来る役割や使命もあるのではないかと思います。ただ、それがいかなるものか(What)を提示する力が、今の私にはありません。現在においては、生命科学のみならず、社会科学をも巻きこんだ大きな議論になるでしょう。

 ただ、どのようにして(How)それを成し得るかの一つの指針として、自分の専門性を掲げる事はできるかもしれません。それが全てと言うつもりはありません。だからこそ、こうやってわざわざ異分野の講義を受講してまで視野・見聞を広げようと思うのです。老若男女問わず、自分のオリジナリティであったり、専門分野を持っている方は色々な意味で「面白い」方が多いです。私は、このような「面白い」方々との出会いを求めているのかも知れません。

 そんな思いを込めての咄嗟のアドリブ発言だったわけですが・・・この講義はあと4回予定されています。毎回の講義でディスカッションをやるらしいので、今度は何を言わされるのか・・・今から戦々恐々です。
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手計算でもかなりの事が出来るんですよ・・・

2008年10月06日 | 何気ない?日常
 大学通いが始まって早1ヶ月が経ちました。大学での研究テーマは、一種の熱エネルギーシステムに関するCAE解析ですので、専用のCAEソフトも使用する予定です。現在も学生さんがインストールを頑張ってくれています。

 その一方で、私は工業熱力学の理論を基に、関数電卓片手に手計算を進めています。幾つかの簡単化する条件・仮定を与えれば、ソフトを使用しなくても、ある程度の結果を計算する事ができるのです。要は専用CAEソフトと手計算の2つの計算結果を比較して検討するわけです。

 「物性値を一定にするなどの仮定を与えれば、手計算でもかなりの事が出来るんですよ。」とは勤務先の先生の言葉です。昔はそれこそ手計算で色々な機械を設計していたわけですから、その事を考えると納得です。CADが無かった頃は機械製図も手描きだったわけですし、材料力学、工業熱力学、流体力学、機械力学、機構学等の基礎理論を基に一つ一つ人の手で計算していたわけです。

 設計の道具は時代と共に変わっていきますが、基礎・基本はそれでも不変です。理論的な考察が無ければ、CAE解析ソフトでの問題設定、つまり使用すべきモデルの選定や境界条件を始めとする諸条件の設定が出来ないでしょうし、また、基礎理論を理解していなければ、ソフトが弾き出した結果を理解・考察する事ができないでしょう。これらの事を踏まえれば、なるほど手計算は重要なんですね・・・。解析すべき現象について、予め手計算で問題の本質を抉り出す事で、CAEで解析すべき対象が明確になってくるでしょう。

 基礎理論から出発して自分で簡易モデルを組み立てて理論的な考察を試みた後で、実際にCAE解析を行うのが、本来の望ましい形なんですね。

 気象は3次元なので、数値解析も3次元に固執しがちですが、簡単な条件や仮定を付加して2次元で手計算してみる事で新たな発見があるのかもしれない・・・そんな事を感じています。来月の19~21日は仙台で学会です。学会発表の準備も少しずつ進めています。私の発表は19日、CAMJ東北支部の拡大サイエンスカフェが21日です。真ん中の20日は・・・仙台観光かな?
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