山と葉っぱと猫が好き

ヘタレなりに独学で女性単独登山を楽しんでます。
悩んでくじけて、いつも一人で起き上がる。
山がわたしを育ててくれる。

明神ヶ岳~金時山 ヘトヘト縦走(後編)

2007年03月13日 | ◇山 登 り(コースガイド)

[2011年11月再編集]

←前編【明神ヶ岳編】はこちらから

【金時山編】

明神ヶ岳から金時山へ続く縦走コースは、同じ山域とは思えないほど樹林や草木の様子が変化します。
3メートルはありそうな背の高い笹のアーチの下をくぐり、岩場を越え、照葉樹の森に囲まれたと思えば落葉樹の雑木林になり、また開けた笹の道に出る。長い道のりなのに、次はどんな感じになるのかと楽しみになって、登りの苦しみも気にならず、爽やかな気持ちでいっぱいです。

▼縦走路の笹のトンネル



笹もここまで背が高いのははじめてです。このまま成長したら竹林になっちゃうのかな?

●ようやく水を忘れてきたことに気づく

今日は春のようにポカポカ暖かいせいか、登り始めてからずっと汗タラタラです。

あぁ喉が渇く…ゴクゴク
あぁ暑い…ゴクゴク
ゴクゴク…ゴクゴク……  
 
今日は水の減りが早いから、早めにザックのポケットに替えを用意しておこう。と思ってガサゴソ、必死に荷物をガサゴソ。

し、しまったぁ!
車の中に水を忘れてきちゃったーっ!!
たった500mlの水一本で来てしまったのか…それもあと少しで飲み干してしまう。
まだ先は長いのに。水場はない…うぅ…こうなったら金時山の山小屋で補給できるまで、我慢だ。

鼻炎薬の副作用がきつくて、喉の渇きがおさまりません。そして何度も繰り返しやってくる、厳しいアップダウンの道。
さっきまで爽やかな気分で楽しかったけど、水不足のせいか段々きつくなって来ました。

金時山はまだ、あんなに遠い…

▼金時山


富士山は、金時山に近づくほどにどんどん隠れていきます。

照葉樹たちが涼しげな木陰を作ってくれてほっとする…

この時のプカプカは完全にバテていて、写真を撮るのがやっと。あんまり山を楽しめていませんでした。余裕のない山行になってしまった。今見返すともったいなかったなぁ…いい道だったのに。

アップダウンは多いけど、段差やでこぼこのないフラットな道なので、余計な労力がいらず、疲れてぼてぼて歩きになっても安全に進むことができました。

▼金時山の肩からちらっと富士山


針葉樹の森を通り抜けると、登山道が遠くまで見渡せました。富士山ちっこい。
あとはずっと笹原が続くんだ。すごく爽快な景色だけど…金時山があんなに遠い
ま…まだ登らなくちゃいけないのね…。しかし道は、どんどん深く下り坂です。あ、あの~…登りたいんですけど…

 14:20 矢倉沢峠(867m)
背の高い笹に深く囲まれた矢倉沢峠は、それほど眺めはよくありません。山小屋は営業してませんでした。
ありがたいことにベンチとテーブルがあります。
でも今のペースでここで休んだら日が暮れてしまうおそれがあるので、辛くても苦しくてもひたすら歩き続けました 
喉が渇いて死にそう…。残った水はさっきからチビチビ飲んで、ついに残りわずか。

疲労も激しく水不足とあっては、もう金時山は諦めるしかないか…

●金時山の山頂、行くのやめようか

 14:53金時神社分岐
やがて金時神社の駐車場へ下れる分岐に辿り着きました。ここで分岐を上に行けば、金時山の山頂です。
悩む事10数分…(恒例の“わたし会議”)
「今から山頂に着いて、休まず下山したとして、車に着く頃には16時半をまわっているだろうなぁ…」
「また次回、金時だけ登りに来るって手もあるよ」
「あ~だけど、明神ヶ岳から金時山まで縦走するコースでメインの金時山をやめてしまったら、なんだか冴えない気が…」
「冴える冴えないより自分の身を守るんじゃ」

…会議してる間にも日が暮れちゃいます。
悩んでるヒマがあったら登りましょうという話で決着がついたので、ヘトヘトな足にムチ打つように金時山を目指してゆっくり登り始めました。
水は全部飲み干し、あとはスッカラカン。喉カラカラ。

金時山に登り始めると山の雰囲気はこれまでと変わりました。木段で整備されたり、土や根っこの張り出した、眺めのない急坂の樹林帯が続いています。

空はどんどん曇り始めて、薄暗くなってきていたけど、喉の渇きと疲労であまり天気を気にする余裕もありませんでした。
「最後の最後で富士山が雲に隠れて全く見えない、なんてオチがありそうな予感…」

 はぁ…はぁ…み…水をくれ…みじゅ~…
 ヘッロヘロになりながら、なんとか山頂に到着しました。


●たどり着いた挙句のオチ

 15:25 金時山山頂【休憩8分】★2010年11月よりバイオトイレ(有料)供用開始
山小屋(茶店)は一軒だけ開いていたので、とにかく真っ先に水を買ってゴクゴクゴクゴク
プッハァ~ ああ、水ってほんとにありがたい。命の水だよこりゃほんとに

そして、山頂からの富士山の眺めは…

あははははは
笑っちゃうくらい予想的中。
なーんにも見えなかった…

金時山の山頂まで登ってる時間があったら車に戻って忘れてきた水を飲めた。なんて思いがちらっと脳裏をかすめたものの。とりあえずスケジュールをこなしたような心持ちで、早々に下山しました。

 15:49金時神社分岐

下ると道はどんどん樹林帯になっていき、ヒノキの立ち並ぶ薄暗い森になりました。苦手…
曇りがちで日差しのない薄暗い道を下って行きます。(暗くて怖かったので写真なし)
膝の痛みもないし、足場はそんなに悪くないので、思ってたより早く下山できました。

●日暮れ前に下山できたけど

暗くて心細い道をせっせ、せっせと下ってなんとか無事に駐車場に到着。プカプカの車一台しか停まっていませんでした。
 16:28 金時神社駐車場 下山完了
自分のペースを考えて計画した通りに着いたのはいいけど、最初はもう少し早く下山できる予定でした。16時半はこの季節の日没時間を考えたら非常に遅すぎる。ひとり反省会。

一日中歩きっぱなしのようなもので、座ってゆっくり休んだのは明神ヶ岳だけでした。
歩くのが遅すぎて、休むヒマがなかったのです。プカプカのようなヘタレはこの縦走コースに不適格でした。

あんまり疲れたので帰りの運転は一般道はやめて、久し振りに高速道路を使ってしまいました。

明神ヶ岳と金時山の感想

明神ヶ岳と金時山は全然違いますね。金時山は有名でとても人気のある山ですが、登山道の楽しさも山頂からの景色も明神ヶ岳の方がずっと好きです。なんてったって富士山を見ながら登れる笹原の登山道は魅力的でした
笹原の道や山梨の竜ヶ岳が好きな方には、金時山より明神ヶ岳がおすすめです。

金時山は登山道から富士山が見えません。登ってはじめて拝めます。けれどやっぱり、駐車場がある点で入山しやすいし、名前も面白いし、山の形の独特な姿など、人気が高いのもわかるなー



楽しかったなぁ
水さえ忘れなかったらもっと快適だったろうに。モーレツ反省。

【所要時間合計:8時間13分(内休憩38分←少な過ぎる)】

←前編【明神ヶ岳編】はこちらから






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31 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
私は常に2L以上持っています (まるふく)
2007-03-14 02:33:17
こんにちは。

私も数年前奥高尾縦走の際、似たようなことがありました。(私の場合は忘れたのではなく、茶屋が軒並み営業してなかったためですが)

それからはかなり楽な低山でもだいたい2L、行動時間が長そうならだいたい3Lは持っています。(500mlペットが基本なので4~6本くらい)

金時山は大きく裾野を拡げた富士が見れるのが人気の理由だと思いますが、私は麓の開発痕が痛々しくてあまり好きではありません。

明神からだと開発痕がちょうど金時山に隠されていて、いい感じに見えるので眺めとしてもこちらがいいと思います。

あと金時山は植林部分がかなり多いのも私にはマイナスです。(明神も北側のコースは植林だらけですが)

もしまた金時山に登ることがあったら、金時から長尾山までの区間は(短いですが)なかなか気持ちのいい道なのでここを通った方がいいと思います。



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リンクしました (toru0298)
2007-03-14 06:07:29
 面白そうなのでリンクしました。アドレスは、http://toru0298.blog.ocn.ne.jp/です。
 ちなみに、私が逆コースを取ったのは、海の平から金時山付近までは、正面に富士山を見ながら歩けるからだったんですよ。実際には曇っていて見えないほうが多かったかもしれませんが。半周は富士山を目の前に、残りの半周は富士山を背にする計画でした。
 何度来てもいいと思えるところでした。個人的には、金時山も良かったです。霧氷が満開の桜の木のようで綺麗でした。それぞれの美しさがありますね。
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み、みず~・・・ (dalfour)
2007-03-14 11:39:09
山砂漠にハマっちゃいましたね。
そうなのです。山は砂漠と同じなのです

8時間を500mlの水で歩くのは辛かったですね。
何事も経験ですから、歩き切ったことで後々笑えればOKという感じに思うのですが・・・・本人にしてみれば笑えませんね
縦走はいいですね。
ここは富士さん好きなプカプカさんならではのコースですね。
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Unknown (のんすけ)
2007-03-14 17:53:15

私も塔の岳の初単独行で
水筒を落として味わいました。水のない辛さ

こういうアクシデントは今後の教訓となるし、
長い距離の山行を完歩できたことは
自信になりますよね

成長したプカプカさんの
今後の動向が見逃せません
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おつかれさま (あき)
2007-03-14 22:01:02
箱根周辺はよくドライブに行っていました 乙女トンネルを抜けると眼前に広がる富士山の景色が好きでした 昼夜問わず何度も見に行きましたよ 金時山からの富士山も同じような感じなのかな‥ 歩いてみたいけど私のところからはちょっと遠いです ロングコースお疲れ様でした 
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「わたし会議」 (現地レポ)
2007-03-14 22:37:37
こんばんは

山小屋開いていて本当によかったです。
あまりにリアルなレポにハラハラ、ドキドキ、擬似体験させてもらいました。

それにしても、山はいつも新たな試練を私たちに与えますね(もし楽だったら、多分登らないのかも知れません)
だから、私も「わたし会議」・・・よく開催します。議題は、「プチ休憩とその後のペースについて」です。
「下山後の温泉プランについて」なんかも・・・
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Unknown (現地レポ)
2007-03-14 22:48:42
「車の中に飲み物一本忘れてきてるーっ!!ガビビーーン」

因みに、私、登山用の靴下を忘れてしまったこともあります(家にですが・・・)
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こんばんわ (oyatsu300)
2007-03-15 00:09:39
8時間で休憩30分ってのはハードですね。
しかもこの陽気で水なしとは・・・

こういう経験すると山小屋のありがたみがわかりますね。当たり前のように買い物してますけど、昔はこんなに便利じゃなかったでしょうしね(^^;

お題の山での忘れ物(笑)
家にカメラ忘れて、そのまま登らずに帰ろうかと考えた事があります
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おつかれさまでした。 (ぽてと。)
2007-03-15 16:40:48
こんにちは。後編レポもドキドキしながら読みましたよ。

金時山と明神ケ岳の位置関係(縦走路)がわからず・・・
図書館で本借りてきて、コース確認しましたよ\(^ ◇ ^)♪♭/
私もとって~も行ってみたくなりましたよ。
#今、体怠けとるから、縦走なんてムリですな。(¬_¬)
いつも詳しいレポ、ありがとうございます。
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プカプカより (◆まるふくさんへ◆)
2007-03-16 00:24:29
山小屋ってシーズンオフや平日は必ず開いてるとは限らない事がありますよね。まるふくさんも大変でしたね!そういう経験を一度すると水の確保は何にも頼らず自身でしっかりと、ということが身に着きますね。私もこれからはしっかり怠らないようにできたらいいなー。
 でもすごいですねまるふくさん、2~3リットルなんて…私にはとても背負えません真夏でも1リットルがいいところですね…(もちろんギリギリです)

麓の開発痕?金時山頂ではろくに休まず山小屋の人とお話していたので(つかまってしまい)見れませんでした。そうですね、明神から見ると間に金時がありますね。でもやっぱり私もまるふくさんと一緒で、金時のあの薄暗い植林の道はマイナスでした。明神も北側は植林なんですね。参考になります。避けよう…
長尾山区間も機会があったらいつか行ってみます。いつもありがとうございますまるふくさん
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