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1回のほめ言葉で全国優勝=元ハンドボール日本代表チーム総監督・蒲生さん

2009年06月27日 | スクラップ



■元ハンドボール日本代表チーム総監督・蒲生晴明さん


 高校時代(中央大付属高校)が一番印象に残っています。入学時に183センチあった身長を生かしたスポーツをしようと、いろいろなクラブを見学しました。最初に誘ってくれたのは、体力測定で私のハンドボール投げを見たハンドボール部顧問の川上整司先生(現・日本ハンドボール協会特任副会長)でした。

 数日後、通学のため満員電車に乗り込むと目の前に川上先生がいたのです。3分に1本くらいの間隔で電車がくる路線でバッタリですから驚きました。あいさつもせず「決めました」と言うと、先生が「何を決めた」と言うから、「ハンドボールに決めました」と思わず言ってしまった。もしバレーボール部の先生がいたら、バレーボールをやっていたかもしれません。人との出会いが人生を決めるのですね。

 入部したのはいいのですが、単純な道のりではありませんでした。実は体が弱かったのです。というのも、中学3年間で身長が27センチも急に伸びたので、循環器系の成長がついてこなかったのでしょう。貧血で倒れ、医者に止められて4カ月練習できなくなりました。3年生が引退し、私たち2年生がチームの主軸となった時の部員はたった5人。試合出場すら危ぶまれる時期もありました。

 それでも好きだから練習しました。先生はスパルタで絶対ほめなかったのが、1回だけほめてくれました。3年生でインターハイ出場のため、山形県東根市へ行った時のことです。あぜ道を歩いている時でした。「お前は絶好調だ」と。

 ずっと「まだだめだ」と言われ、「チキショウ」と反発して練習してきました。私の性格を見抜いていたのでしょう。ほめられて頑張れる子、まだまだといわれて頑張れる子、いろいろいますから。その1回のほめ言葉で勇気付けられ、とうとう全国優勝しました。

 日本のスポーツは学校中心。入った学校にどんな指導者がいるかで選べる競技が決まる。自分の素質に気づかず終わってしまう子も多いのです。自分は幸運にも良き指導者に出会えましたが、今度は私がそういう子を見つけ、育て、世界と渡り合える環境を作りたいですね。【聞き手・高橋恵子】


 

 ■人物略歴
 ◇がもう・せいめい
 1954年東京都生まれ。モントリオールとロサンゼルス五輪に出場。日本代表監督を2度務め、総監督も務めた。現在、中部大(愛知県春日井市)のハンドボール部長。


 

 

毎日新聞 2009年6月27日 東京朝刊

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