ぽんしゅう座

優柔不断が理想の無主義主義。遊び相手は映画だけ

■ 家族はつらいよ2 (2017)

2017年06月11日 | ■銀幕酔談・感想篇「今宵もほろ酔い」
下流老人の最期を、こんなにも軽くもてあそんでも顰蹙を買わないなんて、そんじょそこらの若造に出来る芸当ではない。ただの通俗喜劇にみえて、創作という代替行為を笑うことで、現実の深刻さを嗤うという老映画作家の達観に積み重ねた年季の意図せざる凄味を感じた。

どうでもいいことかもしれないが、丘陵地を造成したような急峻な住宅地で、駅から徒歩で20分以上かかり、子供たちが野球の多摩地区の決勝大会に出場し、横浜市の救急車が駆けつけ、警視庁の捜査員が訪れる平田家って、いったいどこの町にあるのだろうか。伝統的な大船の家族ものしかり、過去の山田洋二作品でも生活の立地場所は、物語の重要なファクターとして特定されていたと思うのだが。

その点、三男の嫁・憲子(蒼井ゆう)の母と祖母が暮らす街が、柴又だと示唆されるシーンには思わず頬が緩む。

あと、「エッツ、これってソール・バス?」な、横尾忠則デザインのクレジット・タイトルの“モダン”に、1950~60年代映画の郷愁を見た。

(6月10日/TOHOシネマズ)

★★★

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