6月7日(土)フランチェスコ・トリスターノ(Pf) ![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/kirakira.gif)
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三鷹市芸術文化センター・風のホール
【曲目】
1.トリスターノ/ハロー
2. バッハ/フランス組曲第2番ハ短調BWV813
3. バッハ/エミール・ナウモフ編/コラール「おお人よ、汝の大いなる罪を嘆け」BWV622
4.バッハ/フランス組曲第4番変ホ長調BWV815
5. バッハ/トッカータ ホ短調BWV817
6.バッハ/フランス組曲第6番ホ長調BWV817
1.バッハ/フランス組曲第1番ニ短調BWV812
【アンコール】
トリスターノ/バルセロナ・トリスト
去年12月の王子ホールでのリサイタルに続いて、今日は三鷹の風のホールでトリスターノを聴いた。曲目は前回全曲演奏で聴いたフランス組曲を中心としたバッハの作品に、トリスターノの自作曲を前後に配したプログラム。今日も緻密でかつ躍動感溢れるトリスターノならではの演奏を堪能した。
トリスターノの持ち味の一つはノリノリのリズム感とジャジーな即興性。自作の音楽はもちろん生き生きと弾いて聴かせるが、聴き慣れたバッハの音楽からも、今まで聴いたことがないリズムのパターンが浮かび上がり、それに乗った旋律線がシンコペーションを思わせる変則的なアクセントを施され、新鮮に聴覚を刺激する。とりわけテンポの速い曲でトリスターノの気分がどんどん乗ってくると、バッハの書いた譜面から離れて、ジャズのインプロビゼーションの世界へ突入してしまいそう。
ただしトリスターノは、ごく自然にしゃれた装飾音を加えることはあっても、楽譜を勝手に変更することはないし、テンポや全体のディナミークを恣意的に変化させたりもしない。楽譜には忠実に演奏しつつ、そこに当てる光をちょっと変えるだけで、影のでき方が変わって、それまで気づかなかった姿が見えてくるという感じ。どの方向からどんな明るさの光を当てれば曲がどう見えるか、という明快なイメージを持ち、そのために感性を研ぎ澄ませ、明晰な頭脳をフル稼動してそのイメージを実現させているように見える。それは凛とした美しさがあり、生命力がみなぎっている。
今日は6つのフランス組曲から4つが選ばれ、それぞれにトリスターノの自作曲か、バッハの別の小品がくっついてセットになり、曲間を空けることなく続けて演奏された。カップリングされた両者は調性も同じで、プログラムの組み立てからしてトリスターノの緻密な意図が感じられる、演奏も緻密で精巧で隙がない。しかし、その演奏からは息苦しさは微塵も感じられず、どの曲も初めて聴くような新鮮で自由な空気を運んでくるところは、トリスターノの持ち味である即興的な感性の成せる技のおかげだろう。何度でも聴きたくなり、聴くたびに発見のあるピアニストだ。
フランチェスコ・トリスターノ ~バッハ「フランス組曲」を弾く~2013.12.3 王子ホール
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三鷹市芸術文化センター・風のホール
【曲目】
1.トリスターノ/ハロー
2. バッハ/フランス組曲第2番ハ短調BWV813
3. バッハ/エミール・ナウモフ編/コラール「おお人よ、汝の大いなる罪を嘆け」BWV622
4.バッハ/フランス組曲第4番変ホ長調BWV815
5. バッハ/トッカータ ホ短調BWV817
6.バッハ/フランス組曲第6番ホ長調BWV817
1.バッハ/フランス組曲第1番ニ短調BWV812
【アンコール】
トリスターノ/バルセロナ・トリスト
去年12月の王子ホールでのリサイタルに続いて、今日は三鷹の風のホールでトリスターノを聴いた。曲目は前回全曲演奏で聴いたフランス組曲を中心としたバッハの作品に、トリスターノの自作曲を前後に配したプログラム。今日も緻密でかつ躍動感溢れるトリスターノならではの演奏を堪能した。
トリスターノの持ち味の一つはノリノリのリズム感とジャジーな即興性。自作の音楽はもちろん生き生きと弾いて聴かせるが、聴き慣れたバッハの音楽からも、今まで聴いたことがないリズムのパターンが浮かび上がり、それに乗った旋律線がシンコペーションを思わせる変則的なアクセントを施され、新鮮に聴覚を刺激する。とりわけテンポの速い曲でトリスターノの気分がどんどん乗ってくると、バッハの書いた譜面から離れて、ジャズのインプロビゼーションの世界へ突入してしまいそう。
ただしトリスターノは、ごく自然にしゃれた装飾音を加えることはあっても、楽譜を勝手に変更することはないし、テンポや全体のディナミークを恣意的に変化させたりもしない。楽譜には忠実に演奏しつつ、そこに当てる光をちょっと変えるだけで、影のでき方が変わって、それまで気づかなかった姿が見えてくるという感じ。どの方向からどんな明るさの光を当てれば曲がどう見えるか、という明快なイメージを持ち、そのために感性を研ぎ澄ませ、明晰な頭脳をフル稼動してそのイメージを実現させているように見える。それは凛とした美しさがあり、生命力がみなぎっている。
今日は6つのフランス組曲から4つが選ばれ、それぞれにトリスターノの自作曲か、バッハの別の小品がくっついてセットになり、曲間を空けることなく続けて演奏された。カップリングされた両者は調性も同じで、プログラムの組み立てからしてトリスターノの緻密な意図が感じられる、演奏も緻密で精巧で隙がない。しかし、その演奏からは息苦しさは微塵も感じられず、どの曲も初めて聴くような新鮮で自由な空気を運んでくるところは、トリスターノの持ち味である即興的な感性の成せる技のおかげだろう。何度でも聴きたくなり、聴くたびに発見のあるピアニストだ。
フランチェスコ・トリスターノ ~バッハ「フランス組曲」を弾く~2013.12.3 王子ホール