『ほんとうのことをいってもいいの?』(2002年)パトリシア・C/マキサック文
ジゼル・ポター絵 ふくもとゆきこ訳 BL出版
今日の一冊はコチラ。秀作といわれているメッセージ性の高い絵本です。
でもね・・・メッセージ性の高い本って、子どもから敬遠される(笑)。大人の「こうあってほしい」という意図が見え隠れするから。こういうものに関し、子どもは敏感に察知します、そして嫌がります。この子どもの察知能力がすごくて感心しちゃう。
さて、この絵本のテーマは、正直に本当のことを言うのはいいこと?悪いこと?ということ。
初めてお母さんにうそをついて後悔したリビーは、その日から本当の事だけ言おうと誓いますが、本当のことを言えば言うほど、周りを傷つけてしまい、みなから嫌われるはめに…。
大人が読めばとてもいい絵本だと思います。いわゆる教訓めいた本やしつけ絵本とは違います。それでも!!!タイミングと子どもを選ぶ本かな~。
例えば、うちの次男(小3)はこのリビーみたい。正直な感想言っては、まわりを怒らせます。お母さん、おなか出てるね、とか(笑)。でね、こちらも伝えたくなるわけです。正直だったらいいってもんじゃあないのよ、って。相手が不愉快になる言い方はしないとかね。リビーのおかあさんはこう言います。
「おもいやりをもって ほんとうのことをいうのは、ただしいことなのよ」
これこれ!次男にも分かってもらいたい!でも、こちらの意図が見え隠れしたら受け取らないだろうな~、と思いつつ実験的に読んでみる。案の定嫌がりました。絵本は基本何でも好きなので、面白くないというのは珍しい。やっぱりね、という感じでした。
さらに、やってはいけないと言われてることを‟あえて”やってみました。
それは、「聞いててどう思った?」と質問すること。授業じゃないんだから、聞くのは野暮ですよね。でも、予想通りの反応かどうか知りたくてあえて。はいはい、分かりましたよっ!みたいなふてくされた予想通りの回答がきました(笑)。
誤解のないように、この絵本自体はいい絵本です。でも、うちの次男にはドンピシャすぎて嫌がられるわけです。絵本から学べというメッセージが強すぎて。人とタイミングを選びます。
そんなわけで、メッセージ性の高い絵本は、慎重になります。自分からだけでは手に取らないような本にも出会ってもらいたい。平和の本とかね。でも、それ以上に大切なのは、本とともにあるただただ楽しいという時間。
以前小学校の元校長先生のおすすめ絵本で、日野原重明先生の訳した『勇気』という絵本がありました。こちら↓
当時勇気を必要としていた長男に読んでみたら、まあ拒否られましたね。大人が読むメッセージ本。子どもは嫌がります。もちろん、これで「そうだったのか!」と救われる子もいるかもしれないけれど、差し出されるタイミングを選ぶ本です。
これを伝えたい!よりも、心に寄り添える絵本を選んでいきたいです。