もう三週間前の台風の前のことだが、大阪国立国際美術館にて「貴婦人と一角獣 展」を鑑賞した。
展の全体的な感想は非常に充実した時間を過ごせる展であったといえる。フランスの国家的財産ともいうべきタピスリーとその時代に焦点を絞った展示には4時間近くいたが、見れば見るほど何度も作品を見直したくなるのは否定しようがなかった。
第一、照明が良かった。フランスの国立クリュニー中世美術館では照明が暗く、感動はしたもののよく見えなかった思い出もあったので、今回の展ではくっきりと明るい目に、それもある程度近づいて見ることができた。修復の跡は時とタピスリーの保存に関わった人たちの研究やたくさんの労を推察させるものだった。見どころの婦人像、千花文様、動物の表現だけでなく、タピスリーの織り方の基本や透かし技法、陰影のつけ方の説明も丁寧だった。また個人的には、現地で見ることが叶わなかった《視覚》を日本で見れたことに、感慨深いものがあった。
六枚のタピスリーやそこに織られている人物、動物、一枚ごとの作品テーマやおおよその解釈についてはインターネット上でも詳しいサイトやブログが存在してるので私からは割愛する。タピスリーについては未だ分かっていないこともたくさんあるとはいえ、今回の展に行く前にジョルジュ・サンドが書いたタピスリーに関する文章を再読し、トレイシー・シュヴァリエ作『貴婦人と一角獣』(白水社)を読んで行ってのはよかったと思う。主に小説からの偏った見方だったかもしれないが、久しぶりに再会した友人とそのことも楽しくおしゃべりしながら見ることができた。ぜひまたこういう機会をもちたいと思った。
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