ダイアナ妃の交通事故死のニュースを受けたイギリス王室と首相を描いた事実に即したフィクション。公開された年の映画賞を総ナメにしたことでも有名な作品。
私にとってのダイアナ妃の交通事故死は、イギリスと日本とでは扱い方の温度差がかなりあるんだな、と当時は思っていた。また、日本のマスコミが流す妃の醜聞および賛美の記事は編集されたものだから、それらから得た妃のイメージしか持ち得なかった。
ただ、あの事故の報道のとき、知り合いだった大学の英語講師でその人はイギリス大好きな人なのだが、その人の第一声は「イギリス王室が彼女を殺ったのよ! アラブ人の血が混ざるのが嫌だったのよ」だったことが妙に印象に残っている。教職員が若造相手に発する言葉なのか?と一瞬疑ってしまったが、まぁこの世には、いわゆる密勅を世間に悟られずに実行に移す組織や部隊がいつの時代にも存在するゆえ、公式発表がどうあろうが陰謀論も決してなくなることはないということなのだろう。
さて映画だが、事故のめぐるあらゆる「事実」はどうあれ、なかなか興味深い内容となっている。個人的には王室の人々の言葉遣いをわざと民衆的なものにしたような印象を受け、それがかえって王室を美化しているような印象を受けたが、作品は単純に、若くして国の体制に改革をもたらそうという信念を持つ人、社会に出て家族を持ち地域と関わりさまざまなしきたりや文化に触れてから上に立つ人の苦悩が分かるようになった人に見てもらいたい映画だと思う。
この文を書いた後、作品について映画のメモ帳+αさんや、超映画批評さんの記事にも目を通させていただいた。
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