デカダンとラーニング!?
パソコンの勉強と、西洋絵画や廃墟趣味について思うこと。
 



列車は行ったばかりのようだ




fs(イタリア鉄道)でテルミニ駅へ向かう。チケットは↑のようなインフォメーションで買えたり、チケット自動販売機でも買うことができる。


列車が着たので左の車両に乗った…

ここに写っている車両に乗ったのだが、愚かしいことにどこ行き列車なのか未確認のままであった。駅の構内も人が少なかったし、夜なのでテルミニ駅行であっても利用客が少ないのかもと思っているうちに列車が発車した。
発車していくつか駅を通過し、旅行ガイド書の鉄道路線図を見開いて、ハッと思った。空港からのfsは、Termini行とOrte行があって、ひょっとすると私はOrte行に乗ってるのでは? 空港から出るfsはTermini行しかないと何の根拠から思い込んでいたのか?
私が座っている席から通路を挟んではす向かいに座り携帯電話を触っていた女性にガイドブックを見せ、下手なイタリア語で「この列車はテルミニ駅に行きますか?」と訊ねたら、「いえ。行きません」と返事が。
列車が減速し始めたので次の駅で引き返そうと荷物を担ぎ出すと、その女性は「いえ、引き返す必要はありません。オスティエンセで降りて、ピラミデで地下鉄に乗ればいいのです」と英語で教えてくれた。彼女は路線図のピラミデ駅を指差してくれ、「トランスファー、カンビアメント(イタリア語で乗り換え)」と丁寧に教えてくれる。そして、幸運なことに彼女もテルミニ駅の方面に用事があるのでテルミニ駅まで一緒に行きましょうとのことだった。
オスティエンセ駅で下車し、地下鉄B線のピラミデ駅は歩いて目の前というぐらいの距離だった。改札の手前にあるタバッキで乗車券の1回券を買えることも彼女が教えてくれた。英語で「とても簡単でしょ?」とにこやかに訊いてくれるので「はい、ありがとう」と返事し、プラットホームまで「Vengo dal Giappone.Sono qui in vacanza.(日本から来ました。休暇での旅です。)」などと一ヶ月程度にわか勉強したイタリア語を並べて話したが、少し難しい話になると「I'm going to visit the ruins(遺跡を訪ねるつもりです)」とすぐに分かりやすい英語になってしまうのであった。
地下鉄B線がホームに着き、車両の外装および車内のいたずら書きに、思わず「風変わりな列車ですね」と言ってしまったら、彼女は「このデザインはちょっと…」と苦笑した。


テルミニ駅に着いて。彼女はフィギュア・
スケートのカロリーナ・コストナー似だった

ピラミデからテルミニまでは駅でいえば4つ。しかし、あっと言う間に着いてしまう。
地下鉄を降り、地上階に行く間も周囲の客に流される形だったのであっと言う間であった。通路がいくつか分かれているところで、彼女は自分の目的の方向に行くとのことで、左手で私の右手を握りつつ私に「ブオン・ヴィアッジョ!(よい旅を!)」と声を掛けてくれた。聞き慣れぬイタリア語でもこの時はしっかりと聞き取れた。私は感激し「グラッツェ・ミッレ!…アッリヴェデルッチ!」と返事をした。ほかにもっといいお礼の言葉が出てこず、勉強してこなかった自分が歯がゆかった。彼女が別通路に曲がるまでの数秒ほど見送った。
到着したてだというのに確認もせず場当たりでfsに乗ったことは決して褒められたことではない。ただ、旅行初日の旅の不安がまだ抜けきらない状態の時に、現地の人に親切にされる体験はそう得られるものではない。幸先のいい旅の始まりであった。
宿はテルミニ駅のすぐ傍。宿への地図を出してその場所を警官に訊ねたらすぐに指差して教えてくれたが、宿の看板は夜には分かりづらい表示であった。

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