デカダンとラーニング!?
パソコンの勉強と、西洋絵画や廃墟趣味について思うこと。
 



ピーター・ヘスラー『北京の胡同』栗原泉訳(白水社)読了。

シェイクスピア作品の前に読み終えていたのだが感想を書くのが後になってしまった。E・オズノスの『ネオ・チャイナ』以来の中国に関する本当におもしろいルポだった。
まず著者が自然体で臨む姿勢を貫いていて、中国において彼は中国人になろうとはせず、外国人であることを自覚しているところに好感が持てた。けっして周囲に媚びたりしないが中国で暮らす術を学ぶ姿勢は貪欲で、いろいろなことに戸惑いながらも外国人として長年にわたり鋭い観察眼を失わず生活してきた人ならではの言葉で書かれた本であることがわかる。
外国を訪れた人は、その国の国民的気質を、「○○人ってこうである」と安直に言い放ちがちだが、私もその例に漏れない。そんな私は周囲から後ろ指をさされていても甘んじて受け入れるところがあるが、著者のような人の言葉から発せられた中国人評ははるかに強い説得力をもっていると感じた。
どの記事もとてもたのしく読めるが、平和部隊に参加した人間が現地でいろいろなことを学んだのにそういった人材こそ政治に参加しなくなってしまう記述や、万里の長城に憑かれた研究者と長城の実像、「奇石」、「車の町」、「中国のバルビゾン派」の記事はとりわけ目を惹く。世の中、見た目と現実とその裏側は、何も知らない人の想像力の斜め上をいく様相を呈しているものだが、著者もその点を見逃すことは無い。読者としては驚かされることも多いが、もし旅行で中国を訪れるならぜひとも事前に知っておきたい中国の現実が本のなかに豊かに描かれていると思った。

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