Penny Lane Music

福岡市中央区赤坂
ピアノ・ボーカル・ギターなど大人のためのポピュラー音楽教室

想い出の街/こどものいた街  井上孝治

2010-03-05 18:22:18 | PennyLane文庫
 久しぶりにこの2冊の写真集を手に取りました。
今日のレッスンにみえた方が、この井上氏の写真を見て
とても感動したとおっしゃったので・・・。

 1919年、店屋町に生まれた男の子は三歳の時、階段事故で
聴力と言葉を失ってしまいます。その少年に聾学校卒業のお祝いに
お父さんがプレゼントしたものは二眼レフカメラでした。

 20歳から始まったコンテストへの出品は数々の受賞へつながり
のちにコンテスト荒らしとアマチュアの世界では有名になります。
その作品はドラマチックで力強い「芸術作品」だったと。

 春日原駅前の商店街でご夫婦で写真屋さんを営む井上さんでしたが、
再開発のため65歳でお店を締めた後、彼の人生に大きな変化が訪れます。

 息子さんのご新居に持ち込まれた「古いネガの山」。
東京の建築家にまで頼んでこだわった新居には不要との判断でご家族が
捨ててしまいます。それを聞いた井上さんは血相変えて救出へ!!

 その時に救出されたネガがのちに、井上さん70歳の時、あの起用。
みなさん、覚えてらっしゃいますか岩田屋のポスター。
懐かしい、昭和の博多の街の風景を撮ったモノクロの写真たち。

 そのポスターの反響は一冊の写真集を生み出します。
それが1989年、70歳の夏。「想い出の街」

 コンテストの写真とはかけ離れた、普通の人々の普通の生活。
あちらこちらにこぼれる人々の肌のぬくもり、こどもの笑顔。
素朴なスナップはどれだけの人の心を優しく包んだことでしょう。

 それからの井上さんは大忙しです。パリのフェスティバルにまで!
でもわずか4年足らず。1993年74歳で眠りにつかれました。

 「あの“街の写真家”が帰ってきた」と続編が出版されたのは
亡くなられた後のこと、2001年の春。「こどものいた街」
上の写真はこちらの写真集の表紙です。
これ最高です。こどもたちがかわいくてかわいくてたまりません。
かわいすぎて美しすぎて涙が止まりません。

 二冊ともペニーレイン文庫にあります。
ご覧になったことのないみなさん、どうぞ開いてみてくださいね。

 買ってきた当初、本当に毎日開いていました。
美しい、とはこういうものをいうのだと、つくづく思います。

 追伸、
 彼に関する著書など数多く出ています。ご興味のある方はぜひネットで
検索してみてください。もっともっといろんなエピソードが出てきますよ(*^_^*)


最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
僕は美術館で見ました (けっちゃん)
2010-03-07 03:23:55
福岡にこんな写真家がいるなんて知らずに美術館での展示を見ました。
美術館やギャラリーってたいてい、「うーん、むむむ」って顔で見る場合が多いんですが、会場ではみんなニコニコしながら見てました。
作品が展示されると独特の空気がギャラリーにできるんですが、すごくあったかい空間ができてました。
写真集探してみます。
ぜひぜひ (のび太)
2010-03-10 01:18:19
けっちゃんさん、ようこそ。
コメントどうもありがとうございます。
ほんとにいい写真ですよー。

コメントを投稿