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WINS通信は小売業のマネジメントとIT活用のための情報室

小売業・IT活用・消費市場の今をウォッチング/WINS企画/東 秀夫wins.azuma@sunny.ocn.ne.jp

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2010年08月16日 11時54分08秒 | お知らせ
【2010年8月16日(月)】

『WINS通信』読者の皆さま、ご愛読ありがとうございます。

お問い合わせに対応するために、ブログタイトルにメールアドレスを表示しました。

メールアドレスは wins.azuma@sunny.ocn.ne.jp です。

自ら研さんを重ね、内容の濃い投稿に努めてまいります。

今後とも、よろしくお願い申し上げます。

WINS企画 東 秀夫

【今日の気づき】/新聞を読んで   第55回 何事も「現場起点で考える」ことが大事

2010年08月10日 06時10分07秒 | 今日の気づき
【2010年8月10日(火)】

◆読んだ新聞

 日本経済新聞 8月5日(木) 夕刊 1面

           8月6日(金) 朝刊 2面 社説
           8月6日(金) 朝刊 5面

     別記事 8月6日(金) 朝刊 35面


◆記事の見出し

8月5日 夕刊 1面
 《最低賃金15円上げ 審議会小委》《平均728円、中小経営圧迫も》

8月6日 朝刊 2面 社説
 《最低賃金上げは慎重を期せ》

8月6日 朝刊 5面
 《最低賃金 平均15円上げ》《小売りや流通 影響大きく》
 《デフレ下 経営圧迫懸念》《都道府県での反映も不透明》

 別記事 8月6日 朝刊 35面 
 《国連総長が長崎訪問》《「心揺り動かされた一日」》《きょう 原爆の日 広島入り》 


◆記事の内容

 ★労使と学識者で構成する中央最低賃金審議会(厚生労働相の諮問機関)の小委員会は5日午前、2010年度の最低賃金の引き上げ額の目安を全国平均で時給15円とすることを決めた。6日に開く審議会に結果を報告する。上げ幅は前年度の10円を上回り、初めて全都道府県で10円以上引き上げる。全国平均は時給728円に上がる見通しである。景気が持ち直していることを考慮し、賃金の底上げを優先する姿勢を明確にした。ただデフレが続く中での賃金引き上げは中小企業の経営を圧迫する恐れもある。厚生労働省によると、時給800円未満で働く人は2008年時点で255万人で、全労働者(従業員5人以上の企業)の8.8%を占める。業種別で最も多いのは「飲食料品小売業」の約51万人、次が「一般飲食店」の約23万5千人、「流通など事業サービス業」が約20万8千人である。

 ★最低賃金は地域ごとに額が違う。現在の全国平均は時給713円。現政権は2020年までに全国最低800円、平均1,000円に引き上げる目標を掲げている。今年度の改定では「政府目標をどう扱うか」「生活保護の支給額が最低賃金を上回る12都道府県の状況をどう解消するか」の2つが焦点だった。政府目標の達成は2020年度までの平均で名目3%、実質2%を超える成長を前提条件としている。労働側は早期の目標実現を主張し、経営側は成長率の実現が大前提だと、激しく対立した。4日から5日朝方まで続いた小委員会では、賃上げを望む労働側と業績への悪影響を避けたい経営者側の協議が決裂し、最終的には中立の立場の学識者が引き上げ幅の目安を示した。

 ★今後は審議会が示した目安をもとに、都道府県の審議会で協議が始まる。2009年度に10円以上の引き上げを実施したのは6都道府県。34県の上げ幅は1~3円、2県は引き上げを見送った。今回、全都道府県で10円以上上げられるかどうかは不透明である。

 ★〔別記事 8月6日 朝刊 35面〕来日中の潘基文(バン・キムン)国連事務総長は5日、長崎市にある浦上天主堂にある被爆マリア小聖堂で記者会見し、「心が揺り動かされた一日となった。平和のために不屈の精神を持つ被爆者の話を聞き、謙虚な気持ちと感謝の念を覚えた」と事務総長として初の長崎入りを振り返った。黒焦げの首から上だけとなった「被爆マリア像」の前に立ち、被爆の実相に触れたことについて「重く受け止めている。想像だにできないことだった」と述べた。その上で、核兵器廃絶に向け「決意が深まったことは確かだ」と力を込めた。


●今日の気づき

 ★5日夕刊で第一報を流し、6日朝刊で解説調の続報を載せ、同じく6日朝刊の社説で留意点を論じている。最低賃金は大きな問題であることを否定するものではないが、新聞の記事を追いかけている限りでは現場の切実感が伝わってこない。労働側、経営側双方の主張がぶつかり合う中で、政府の目標という政治的な要素が入ってくる。労使の中でも、製造業と小売業、大企業と中小企業、中小企業でも独自の経営基盤を固めているところと大企業の下請けで生産拠点の海外移転の影響を受けているところで事情は大きく異なる。さらに、地域的には時給水準の高い都道府県と低いところ、生活保護支給額との差額が問題になっているところなど、様々な事情が交錯している。全者が納得できる目安を引き出すのは至難の技である。そこで、最後は、中立の学識者に結論を委ねた格好だが、中立の立場とは、両者の利害の現場に軸足を置いていないということでもあろう。利害の現場に軸足を置いている労使の代表でも、すべての企業、すべての労働者の状況を代表することなどできないわけで、翌日の朝方まで議論した割には、机上の数字の調整だけで出てきた結論のように感じてならない。

 ★最終的には中央の審議会が示した目安をもとに、都道府県の審議会で協議し都道府県ごとの最低賃金が決まることになる。中央の審議会の結論が都道府県の最終結論ではない。とはいえ、目安がないと都道府県での議論の方向が定まらないということがある。その限りでは、徹夜の協議も必要なのだろうが、やはり、何か、結論の出方に現場起点の臨場感が伝わってこない。

 ★65年目を迎えた広島と長崎の「原爆の日」。6日は潘国連事務総長や核兵器保有国の米英仏の政府代表が広島市の平和記念式典に初めて参列し、新聞、テレビなどで大きく報道された。9日の長崎の平和祈念式典には英仏の代表は参列したが、潘事務総長と米代表は参列しなかった。しかし、潘事務総長は広島の式典前日の5日に長崎市を初訪問している。潘事務総長は被爆した両市を訪れたが、初訪問だけに、初めの訪問地の方が強い印象を与えたのではないかと思われる。長崎市の様子を伝える記事を見ると、長崎市の浦上天主堂にある被爆マリア小聖堂で記者会見し、「心が揺り動かされた一日となった。平和のために不屈の精神を持つ被爆者の話を聞き、謙虚な気持ちと感謝の念を覚えた」と。「被爆マリア像」の前に立ち、被爆の実相に触れたことについて「重く受け止めている。想像だにできないことだった」と述べている。核兵器廃絶に向け「決意が深まったことは確かだ」とも語っている。

 ★現職の国連事務総長として、初めて被爆地を訪れたことは評価するが、世界の核軍縮でリーダーシップを執る国連事務総長から「心が揺り動かされた」とか「想像だにできない」「決意が深まった」という言葉を記事で見て大変な驚きを覚えた。外交的な訪問地への敬意を含めた表現かもしれないが、もしも、被爆地の確かな認識を持たないで、政治的な駆け引きで核軍縮が話し合われていたとすれば、これまた驚きである。ニューヨークで議論するのではなく、毎年、広島や長崎で核兵器廃絶の話し合いが繰り返し行われてきたら、「核なき世界」という世界世論がもっと早く広がったのではないだろうか。核問題に限らず、問題解決では現場起点で現場で話し合うことが大事なのではないだろうか。最低賃金の記事を読みながら、同じ日の紙面で潘国連事務総長の長崎初訪問の記事を見て、現場起点の大切さを改めて感じた。

(東)


【お知らせ】『時々時々(じじときどき)』は2010年8月より「今日の気づき」に集約

2010年08月10日 01時44分59秒 | 時々時々(「今日の気づき」に統合)
【2010年8月10日(火)】2010年8月4日(水)の【お知らせ】でご説明させていただきましたように、『【随時コラム】時々時々(じじときどき)』は、日替コラム「今日の気づき」に集約し1本化していくことにしました。従来、「今日の気づき」は「新聞を読んで」とし、毎日の新聞記事から「気づき」を書いてきましたが、「今日の気づき」の中に、「新聞を読んで」、従来の「月曜コラム・店ウォッチング」「木曜コラム・電車の中から」「随時コラム・時々時々(じじときどき)」を包含していきます。すなわち、新聞、店、電車の中、時々時々に感じたことなど、多様な視点で「今日の気づき」として書いていくことにしました。これによって、視点の適宜性と自由度を高めながら、時代の「今」をウォッチングしていきます。したがいまして、投稿は毎日を原則に随時とし、どれかの視点からコラム「今日の気づき」を書いていきます。
多くの方々にご愛読いただきながら、しばらく投稿を休んでいたことをお詫びいたしますとともに、これからも、『WINS通信』のご愛読を、よろしくお願い申し上げます。

WINS企画 東 秀夫

【お知らせ】『万華鏡/電車の中から』は2010年8月より「今日の気づき」に集約

2010年08月10日 01時42分30秒 | 電車の中から(「今日の気づき」に統合)
【2010年8月10日(火)】2010年8月4日(水)の【お知らせ】でご説明させていただきましたように、荒井栄一が担当しておりました『【木曜コラム】万華鏡/電車の中から』は、日替コラム「今日の気づき」に集約し1本化していくことにしました。従来、「今日の気づき」は「新聞を読んで」とし、毎日の新聞記事から「気づき」を書いてきましたが、「今日の気づき」の中に、「新聞を読んで」、従来の「月曜コラム・店ウォッチング」「木曜コラム・電車の中から」「随時コラム・時々時々(じじときどき)」を包含していきます。すなわち、新聞、店、電車の中、時々時々に感じたことなど、多様な視点で「今日の気づき」として書いていくことにしました。これによって、視点の適宜性と自由度を高めながら、時代の「今」をウォッチングしていきます。したがいまして、投稿は毎日を原則に随時とし、どれかの視点からコラム「今日の気づき」を書いていきます。
多くの方々にご愛読いただきながら、しばらく投稿を休んでいたことをお詫びいたしますとともに、これからも、『WINS通信』のご愛読を、よろしくお願い申し上げます。

WINS企画 東 秀夫

 【お知らせ】『自由席/店ウォッチング』は2010年8月より「今日の気づき」に集約

2010年08月10日 01時39分14秒 | 店ウォッチング(「今日の気づき」に統合)
【2010年8月10日(火)】2010年8月4日(水)の【お知らせ】でご説明させていただきましたように、田中光一郎が担当しておりました『【月曜コラム】自由席/店ウォッチング』は、日替コラム「今日の気づき」に集約し1本化していくことにしました。従来、「今日の気づき」は「新聞を読んで」とし、毎日の新聞記事から「気づき」を書いてきましたが、「今日の気づき」の中に、「新聞を読んで」、従来の「月曜コラム・店ウォッチング」「木曜コラム・電車の中から」「随時コラム・時々時々(じじときどき)」を包含していきます。すなわち、新聞、店、電車の中、時々時々に感じたことなど、多様な視点で「今日の気づき」として書いていくことにしました。これによって、視点の適宜性と自由度を高めながら、時代の「今」をウォッチングしていきます。したがいまして、投稿は毎日を原則に随時とし、どれかの視点からコラム「今日の気づき」を書いていきます。
多くの方々にご愛読いただきながら、しばらく投稿を休んでいたことをお詫びいたしますとともに、これからも、『WINS通信』のご愛読を、よろしくお願い申し上げます。

WINS企画 東 秀夫

【今日の気づき】/新聞を読んで   第54回 携帯放送よ! 同じ轍を踏まないことに期待

2010年08月04日 22時27分33秒 | 今日の気づき
【2010年8月4日(水)】

◆読んだ新聞

 日本経済新聞 8月3日(火) 朝刊 10面

           8月4日(水) 朝刊 10面


◆記事の見出し

 8月3日 10面 携帯放送新時代 上
 
   《ドコモかKDDIか》《免許争奪「優劣つかず」》

 
 8月4日 10面 携帯放送新時代 下
 
   《有料会員、どう獲得》《コンテンツの充実カギ》


◆記事の内容

 ★2012年春に始まる携帯端末向け次世代放送の事業者選定が大詰めを迎えている。用意された「放送免許」は1枠である。NTTドコモとKDDIの争奪戦が続いている。総務省は2つの方式が併存すると投資効率が悪く普及を阻害すると、1枠の考えを変えない。8月半ばに決めたいと、期限は迫っている。


●今日の気づき

 ★見出しにある通り、両社は譲らず、いかに優位性をアピールできるか、しのぎを削っている。

 ★技術の進歩でどんどん便利さが増していく。技術の進歩があり限り仕方のないことである。便利になることを否定する考えはない。しかし、懸念はある。つい最近まで、電話は家庭内やオフィスの中、公衆電話など電話機のあるところでしかかけられなかった。しかし、携帯電話が普及すると、人がいる場所、人が移動しているところで電話がかけられるようになった。電車の中での通話が社会問題になった。自動車やバイクの運転中に携帯電話を操作すると道路交通法違反にもなる。警察庁は「交通の方法に関する教訓」を改正し自転車運転における携帯電話の使用を「危険な運転」として禁止した。「交通の方法に関する教訓」に法的拘束力はないが、各警察本部では「道路交通規則」を改定し、罰金などの規程を設けるところが増えている。携帯電話の前はヘッドホンやイヤホンで聞く携帯型ステレオの音が公共の場で騒がしいと社会問題化した。機械が人のいる場所で、人が移動している場所で使えるようになると、便利さは急上昇するが、人の自制力が問題になってくる。次はテレビ放送かと言いたくなる。自動車やバイク、自転車だけが危険ではない。歩きながら携帯ステレオを聞いたり携帯電話を操作している人の後ろを歩いたり自転車を走らせると、前の人の動きが読めなくぶつかりそうになることも珍しくない。次世代携帯放送のインフラを整備する何倍もの努力を個人の自由と自制力、公共のマナーの教育に費やしてほしい。若者だけではない。その若者はウォークマン世代を親に持つ年代でもある。

(東)


【今日の気づき】/新聞を読んで   第53回 POSの担い手ソリューション会社が焦点に

2010年08月04日 20時01分36秒 | 今日の気づき
【2010年8月4日(水)】

◆読んだ新聞

 日本経済新聞 8月4日(水) 朝刊 10面


◆記事の見出し

 《日本HP POS端末 国内参入》《パソコン部品利用、低価格》


◆記事の内容

★日本ヒューレット・パッカード(日本HP)は国内のPOS端末市場に参入する。PCベースのPOS端末2機種を小売店や飲食店、ホテル向けなどに8月5日から販売する。HPは2006年に北米でPOS端末事業に参入しており、日本での販売は今回が初めて。PC世界シェア1位の規模を生かし、安価なPOS端末を供給し、3年後に国内5位以内のシェア獲得を目指す。

★希望小売価格はディスプレイなしのモデルが10万2,900円から、タッチ機能付きディスプレイやカードリーダなどが付属するオールインワンモデルは18万9,000円からである。最小構成で1台10万円強の価格は「競合他社より3割ほど安い」(日本HP)という。ここ2~3年で安価なPCベースの端末が普及してきたことから、PC市場で強みを持つHPは市場参入の環境が整ったと判断した。海外でも同一機種を販売・サポートする点を武器に日本市場に攻め込む。


●今日の気づき

★日本のPOS市場で「パソコンPOS」が登場して約30年が経つ。マイクロソフトがOPOS技術協議会を発足させたのは1995年7月である。POS端末もWindows ベースの時代に入った。しかし、日本の小売業はアプリケーションソフトの独自性へのニーズが高く、パッケージソフトでもカスタマイズの要求が高かった。すなわち、業務の進め方をシステムに合わせるのではなく、現在の業務の進め方にシステムを手直しするという志向が強かったのである。ところが、昨今は、経済環境の厳しさから情報システム化投資を抑えるためにパッケージソフトへのニーズが高まっているという。わが国のPOSシステムにおける低価格のハードウェア市場は、これからが本番とも言える。

 ★パッケージソフトの活用と言えども、現場が使いにくいとか、スムーズな業務の進行にマイナスになるような要素があればカスタマイズで解消するのは当然である。POSシステムは普及の当初から「POSは道具である」「POSは経営のためのツールである。店舗運営のためのツールである」と言われ続けてきた。POSを入れたから良くなったという局面は様々とあろうが、さらに有用な道具として「使いこなす」高度な活用が厳しい時代を生き抜く鍵を握ることになる。それには、POSを活用するユーザー企業が自社のポジショニングと向かう方向を明確にし、いかなるPOS活用を望むのかを示し、ソリューションプロバイダはユーザー企業の要求に、いかに最適なハード、ソフト、ソリューションを提案し構築していくかがポイントとなる。すなわち、情報システムを提案される側と提案する側がユーザー企業の目標達成に向けてコラボレーションできるかどうかが重要になる。消費財やサービスを販売するプロと情報システムのプロとのコラボレーションである。ユーザー企業にとっては、ハード、ソフトの選択もさることながら、どのソリューションプロバイダとパートナーシップを組むかが大事となってくる。ソリューションプロバイダの重要性がますます高まる時代を迎えた。

★日本HPのニュースリリースによると、2008年6月10日、ドイツ、ベルリン‐ヒューレット・パッカードはPOS端末としてもバックオフィスのマネージ用ワークステーションとしても利用できる柔軟性を備えた「HP rp5700 Point-of-Sale System」を発表した。アジア太平洋地域における小売向け製品ラインを拡充するものでもある。価格、販売時期、販売の有無は各国の状況によって異なるが、アジア太平洋地域での店頭小売価格は699米ドルで、15インチタッチスクリーンLCDモニタ・キャッシュドロア・感熱式プリンタ・磁気ストライプリーダ付きは1,699米ドルである。日本HPは2010年の重点施策として国内未発売製品の国内市場投入をあげており、その中にPOS端末が含まれていることを明らかにしている。年間のPC出荷が6,000万台、1週間のプリンタ出荷が100万台、世界に出荷されるサーバの3分の1がHP製だという。今後の日本市場でのPOS展開が注目される。販売チャネルの動向からも目が離せない。

(東)


【今日の気づき】/新聞を読んで   第52回 技術の進歩と人間教育の乖離

2010年08月04日 06時47分13秒 | 今日の気づき
【2010年8月4日(水)】

◆読んだ新聞

日本経済新聞 8月3日(火) 夕刊 1面 15面


◆記事の見出し

1面《ドコモ・大日本印刷 提携》《電子書籍、年内にも参入》《各陣営の競争激化》

15面《大学の夏休み ちょっと短め》《中教審「授業期間内の試験禁止」》
  《「就活にに支障」「指導きめ細かく」》《学生・教員、反応は複雑》


◆記事の内容

【1面】
 ★NTTドコモと大日本印刷が提携し、電子書籍事業に参入する。年内にも雑誌、書籍、コミックなどのコンテンツを集め、電子書籍端末や高機能携帯電話(スマートフォン)に配信するサービスの開始を目指す。両社は配信から課金まで一貫して手がける事業会社の設立も検討する。

 ★電子書籍については、KDDIが凸版印刷などと共同出資会社の設立で合意した。ソフトバンクモバイルも事業進出に意欲を示している。ドコモの参入により携帯3社が出揃い、コンテンツ提供者を巻き込んだ各陣営の競争が激しくなりそうだ。


【15面】
 ★各地の大学で、今年の夏休みが1週間程度短くなる異変が起きている。中央教育審議会が授業時間数をきちんと確保するよう求める答申を出し、前期試験を授業の中で行えなくなったことの影響が大きい。文部科学省令が定める授業数をこなすため、祝日に授業を行う大学も増えている。教育内容の充実が狙いだが、学生も教員も反応は複雑だ。

 ★学生の評価は様々。「休みの日に公認会計士の勉強をする予定だったので迷惑。授業回数を増やしても意味がない」「大学で友人に会えるし、嫌じゃない」「企業の面接と試験が重なるようになった」「今年は休みの密度が濃くなるかも」。体育会所属の学生は「大会と試験が同じ日で、追試を受けなくては」等々。

 ★教授陣の賛否も両論に分かれる。「今の学生は手取り足取り、きめ細かい指導が必要。意味はあ
る」「大学の教育レベルに差があるのに、授業時間を揃えてもナンセンス」等々。武内清・上智大名誉教授(教育社会学)は「1単位15時間が徹底されることで、単位交換などに際しても共通性が高まるなど一定の効果はある」としつつ、「卒業論文のような自主的学習こそ大学教育の本来の姿。サークル活動などで人間関係や自主性を育てる時間も大切で、授業数の確保だけに目を奪われてはいけない」と。


●今日の気づき

 ★教授陣の意見の「今の学生は手取り足取り、きめ細かい指導が必要。意味はある」に改めて驚いた。そういう学生を入学させなければならないほど、大学のレベルが落ちているのかと。学生は大学にとって「お客さん」なのか。少子化の中で、そうした学生でも入学してくれなくては困るのか。進学塾で鍛え上げられた受験技術で入試では高得点を取っても、その実態は「手取り足取り、きめ細かい指導が必要」な困った学生なのか。そういう学生が次の時代を担っていくのだと考えると、恐ろしくなる。

 ★電子書籍が大きな市場になりそうである。携帯端末や携帯電話に慣れ親しんだ世代が市場のボリュームゾーンを形成していくことになる。便利さの中で、鍛えるべきことが鍛えられないまま社会に出ていく若者が心配である。技術はどんどん便利な社会を現実のものにしていく。それに反比例していくように、若者の人間としての成長が希薄になっていくように感じてならない。便利さの追求は人間の素晴らしい能力をそぎ落とす働きにもなっているのではないだろうか。

 ★本を買う時、書店に行って一番刺激を受けるのは、そこに並べられているたくさんの本や雑誌を目にした時である。本のタイトルを見ているだけでもいろんな情報が得られる。それは書店に出入し出した小学生の頃から今も変わらないことである。国語辞典を初めて買ってもらった時は、同じページに並んでいる、調べたい言葉に関連した言葉がたくさんあるのを見て驚き、言葉についての視野が広がったことを思い出す。広辞苑を初めて手にした時は、自分の名前に関連して「東」の付く言葉や熟語、ことわざを探した。よく出てくるのが「東男の京女」である。関連して、出身地である京都にちなんで「京」の付く言葉やことわざを調べた。「京男に伊勢女」というのがあった。文献に出てくる年代では「東男…」は江戸時代、「京男…」は室町時代である。千年の都に生まれた筆者にとっては「京男…」が「東男…」の先輩格であることに満足した覚えがある。

 ★電子書籍や電子辞書では、意識しないでも書店の中にいるだけで自然に得られる「時代を映し出した情報」、意識しないでもページをめくるだけで「言葉を通した新しい世界の発見」を得ることはできないのではないだろうか。電子書籍への志向が書店に足を向かわせるきっかけになれば良いのだが、電子書籍と書店が競合する中では書店が衰退していく懸念もある。電子辞書でも、その便利さを享受することがページをめくりながら見る辞書の良さを発見するきっかけになってくれれば良いのだが…。電子辞書で受験戦争を勝ち抜き電子書籍で読書する世代が増えていくことが心配になってくる。便利さの実現、追求では、そこに置き忘れていることへの対応を便利さ以上に強くしていかなければならないのではないだろうか。

(東)

【お知らせ】『WINS通信』を再開します

2010年08月04日 04時03分08秒 | お知らせ
【2010年8月4日(水)】 


『WINS通信』再開のお知らせ

 『WINS通信』は筆者の書きたいテーマに従って、「日替(毎日)」「月曜」「木曜」「随時」のコラムページを作り、「セルフレジ成功の100ヶ条」という毎日連載のページを設け、さらに「WINS情報局」「データ室」のページを用意するなど、盛りだくさんの構成としましたが、一人で書くには少し量が多くなり過ぎていました。「セルフレジ成功の100ヶ条」の見直しを機会に、各コラムの投稿も休みましたが、今後、構成および内容を変更して、投稿を再開していきます。
 大きな変更点は各コラムを日替コラム「今日の気づき」に集約し1本化していきます。従来、「今日の気づき」は「新聞を読んで」とし、毎日の新聞記事から「気づき」を書いてきましたが、「今日の気づき」の中に、「新聞を読んで」、従来の「月曜コラム・店ウォッチング」「木曜コラム・電車の中から」「随時コラム・時々時々(じじときどき)」を包含していきます。すなわち、新聞、店、電車の中、時々時々に感じたことなど、多様な視点で「今日の気づき」として書いていくことにしました。これによって、視点の適宜性と自由度を高めながら、時代の「今」をウォッチングしていきます。したがいまして、投稿は毎日を原則に随時とし、どれかの視点からコラム「今日の気づき」を書いていきます。また、「セルフレジ成功の100ヶ条」は内容を見直し一冊にまとめられるようにしていきたいと考えおり、『WINS通信』での公開は先の課題とします。「WINS情報局」「データ室」はまだ投稿原稿はありませんが、今後、投稿していきたいと考えています。
 多くの方々にご愛読いただきながら、しばらく投稿を休んでいたことをお詫びいたしますとともに、これからも、『WINS通信』のご愛読を、よろしくお願い申し上げます。
                                                                                 WINS企画 東 秀夫

【日替コラム】今日の気づき/新聞を読んで   第51回 立ち位置に徹する企業、迷う企業

2010年02月02日 04時01分22秒 | 今日の気づき
【2010年2月2日(火)】

◆読んだ新聞

 日本経済新聞 1月26日(火) 朝刊 3面


◆記事の見出し

 《外食売上高 6年ぶり減》《09年1.5%減、低価格化響く 店舗数も初の減少》


◆記事の内容

 ★日本フードサービス協会が25日発表した2009年の外食売上高(新店を含む全店ベース)は2008年比1.5%減となった。冷夏で客足が鈍った2003年以来6年ぶりの前年実績割れである。家庭で食事をする内食回帰の影響もある。低価格化が進み、客単価が1.7%減と4年ぶりに落ち込んだことが響いた。全体の客数は価格引き下げキャンペーンの効果で0.2%増えたが、客単価の落ち込みを補えなかった。

 ★業態別の売上高はファミリーレストランが4.7%減、パブ・居酒屋が5.8%減となるなど総じて苦戦した。めん類チェーン店が好調だったファストフードは2.5%増。また、店舗数は0.1%減。全店ベースの店舗数減は1994年の調査開始以来始めてである。ファミリーレストラン(2.6%減)、パブ・居酒屋(2.1%減)などが2年連続の減少。ファストフードとの競争が激化している喫茶も1.2%減と、初めて減少した。牛丼など値下げ競争が続いているが、集客につながらない企業が多く、春までは厳しい状況との声が多い。

 ★2009年に6年連続で全店売上高が増えたと見られる日本マクドナルドや王将フードサービスなどの好調企業もあり、市場が縮小する中で、優勝劣敗が進みそうである。


●今日の気づき

 ★日本マクドナルドの好調ぶりは、1月15日の第1弾を皮切りに3月末まで期間限定で順次発売する4種類の大型バーガーの話題が象徴的である。第1弾が「テキサスバーガー」、第2弾が「ニューヨークバーガー」、第3弾が「カリフォルニアバーガー」、第4弾が「ハワイアンバーガー」である。価格はいずれも400円~420円、すべて1/4ポンドビーフパティ(通常の約2.5倍)のボリュームである。「テキサスバーガー」は発売後4日間の販売数量が予想の2.2倍、413万個に達した。1月17日(日)は1日の全店売上高が28億1,180万円となり、創業以来、最高の1日全店売上高を記録した。それまでの最高は2009年3月に記録した26億4,000万円だった。このほど、3月末までの大型バーガーの販売計画を上方修正した。当初の計画より25%増の3,500万個の販売を目指す。

 ★仮に、ビーフパティの質を上げて、ボリュームを1.2倍~1.5倍にし、価格は同じように400円~420円に設定した場合、どれだけ売上を伸ばせただろうかと考えてみる。顧客はレストランのハンバーガーとファストフードのハンバーガーの違いを先入観的に認識しているのではないだろうか。そうだとすると、「顧客の認識」の領域に入り込んで、そこからファストフードのハンバーガーとしての新たな「魅力」を提示し、購買意欲を引っ張り出したことが勝因と考えられる。

 ★王将フードサービスも好調である。チェーン店でありながら、単独店の大衆中華料理店の要素をうまく融合させている。看板の餃子など、全国共通の基本メニュー以外のメニューは店長の裁量に任されている。皮や餡はセントラルキッチンで製造されるが、店内で餃子を包み、焼き立てを出すスタイルは1店舗だった創業時と変わっていない。創業当時の餃子は今より2回りくらい、他店より2倍あるいはそれ以上に大きかった。大きくて安いのが特徴であった。低価格路線を維持し、若干小さくなったとはいえ、一般的な他店より大きいことは変わらない。看板の餃子へのこだわり、味の追求が、顧客への訴求力を強くしている。オープンキッチンで顧客の前で調理をする、単独店の雰囲気は創業当時と変わらない。創業時は一人が2つの大きな中華鍋を操り、異なる2つの料理、八宝菜と天津飯などを同時に仕上げて顧客に出す、パフォーマンスのような中華鍋さばきが話題であった。今もそのスタイルは変わっていない。チェーン店でありながら、顧客に親密感を与える単独店の要素を守り続けているところに好調の要因があるのではないだろうか。

 ★日本マクドナルドも王将フードサービスも特別のことをしているようには感じない。あるべき自分の立ち位置を定め、それを外さないで、徹しようとしているところが共通するのではないだろうか。逆に言えば、不調な企業は、社会経済環境や顧客の外面的な変化に、自らの立ち位置に迷っているのではないだろうか。顧客の内面的な部分は、外的要因で揺れることはあっても、意外と変わっていないのかもしれない。的は揺れているように見えても、的が立っている位置は変わっていないのではないだろうか。

(東)