【2010年8月4日(水)】
◆読んだ新聞
日本経済新聞 8月4日(水) 朝刊 10面
◆記事の見出し
《日本HP POS端末 国内参入》《パソコン部品利用、低価格》
◆記事の内容
★日本ヒューレット・パッカード(日本HP)は国内のPOS端末市場に参入する。PCベースのPOS端末2機種を小売店や飲食店、ホテル向けなどに8月5日から販売する。HPは2006年に北米でPOS端末事業に参入しており、日本での販売は今回が初めて。PC世界シェア1位の規模を生かし、安価なPOS端末を供給し、3年後に国内5位以内のシェア獲得を目指す。
★希望小売価格はディスプレイなしのモデルが10万2,900円から、タッチ機能付きディスプレイやカードリーダなどが付属するオールインワンモデルは18万9,000円からである。最小構成で1台10万円強の価格は「競合他社より3割ほど安い」(日本HP)という。ここ2~3年で安価なPCベースの端末が普及してきたことから、PC市場で強みを持つHPは市場参入の環境が整ったと判断した。海外でも同一機種を販売・サポートする点を武器に日本市場に攻め込む。
●今日の気づき
★日本のPOS市場で「パソコンPOS」が登場して約30年が経つ。マイクロソフトがOPOS技術協議会を発足させたのは1995年7月である。POS端末もWindows ベースの時代に入った。しかし、日本の小売業はアプリケーションソフトの独自性へのニーズが高く、パッケージソフトでもカスタマイズの要求が高かった。すなわち、業務の進め方をシステムに合わせるのではなく、現在の業務の進め方にシステムを手直しするという志向が強かったのである。ところが、昨今は、経済環境の厳しさから情報システム化投資を抑えるためにパッケージソフトへのニーズが高まっているという。わが国のPOSシステムにおける低価格のハードウェア市場は、これからが本番とも言える。
★パッケージソフトの活用と言えども、現場が使いにくいとか、スムーズな業務の進行にマイナスになるような要素があればカスタマイズで解消するのは当然である。POSシステムは普及の当初から「POSは道具である」「POSは経営のためのツールである。店舗運営のためのツールである」と言われ続けてきた。POSを入れたから良くなったという局面は様々とあろうが、さらに有用な道具として「使いこなす」高度な活用が厳しい時代を生き抜く鍵を握ることになる。それには、POSを活用するユーザー企業が自社のポジショニングと向かう方向を明確にし、いかなるPOS活用を望むのかを示し、ソリューションプロバイダはユーザー企業の要求に、いかに最適なハード、ソフト、ソリューションを提案し構築していくかがポイントとなる。すなわち、情報システムを提案される側と提案する側がユーザー企業の目標達成に向けてコラボレーションできるかどうかが重要になる。消費財やサービスを販売するプロと情報システムのプロとのコラボレーションである。ユーザー企業にとっては、ハード、ソフトの選択もさることながら、どのソリューションプロバイダとパートナーシップを組むかが大事となってくる。ソリューションプロバイダの重要性がますます高まる時代を迎えた。
★日本HPのニュースリリースによると、2008年6月10日、ドイツ、ベルリン‐ヒューレット・パッカードはPOS端末としてもバックオフィスのマネージ用ワークステーションとしても利用できる柔軟性を備えた「HP rp5700 Point-of-Sale System」を発表した。アジア太平洋地域における小売向け製品ラインを拡充するものでもある。価格、販売時期、販売の有無は各国の状況によって異なるが、アジア太平洋地域での店頭小売価格は699米ドルで、15インチタッチスクリーンLCDモニタ・キャッシュドロア・感熱式プリンタ・磁気ストライプリーダ付きは1,699米ドルである。日本HPは2010年の重点施策として国内未発売製品の国内市場投入をあげており、その中にPOS端末が含まれていることを明らかにしている。年間のPC出荷が6,000万台、1週間のプリンタ出荷が100万台、世界に出荷されるサーバの3分の1がHP製だという。今後の日本市場でのPOS展開が注目される。販売チャネルの動向からも目が離せない。
(東)