フランスに揺られながら DANS LE HAMAC DE FRANCE

フランス的なものから呼び覚まされることを観察するブログ

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俳句選集 「何という暑さ」 "QUELLE CHALEUR !"

2006-07-26 22:22:51 | 俳句、詩

今日は一気に熱さが噴き出した。先日、仏版ブログへ PAULE 様からコメントが届いたが、その中に夏の本が紹介されていた。暑さを吹き飛ばそうと注文していたのだろうか。それがよりによって今日届いていた。

"QUELLE CHALEUR ! haïkus d'été" (Moundarren, 1990)

この本の作りは、まず俳句があり (訳者の Cheng Wing Fun さんが筆で書いている、少し異様に見える)、その下にフランス語訳、そして巻末に俳句の作者が出ている。150の夏の句が選ばれている。まず自分が感じるものに印をつけ、その後で作者を見るという読み方をしてみた。今日は次のような俳句が引っかかってきた。2-3日に分けて書き出してみたい。

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(1)
らふそくで
 たばこ吸けり
  時鳥

allumant ma pipe
 avec une boufie
  le coucou !

(2)
端居して
 妻子を避くる
  暑哉

dans la véranda
 fuyant femme et enfants
  quelle chaleur !

(3)
降りさうで
 晴れ行く空の
  熱哉

sur le point de pleuvoir
 le ciel s'éclaircit à nouveau
  quelle chaleur !

(4)
夏川を
 越す嬉しさよ
  手に草履

quel bonheur
 de traverser la rivière d'été
  les sandales à la main !

(5)
晩鐘に
 散残りたる
  あつさかな

avec la cloche du soir
 se disperse
  le reste de chaleur

(6)
いろいろの
 賣聲たえて
  蝉の聲

les cris de marchands
 cessent
  le chant des cigales

(7)
夏川や
 橋あれど馬
  水を行く

la rivière d'été
 malgré le pont
  le cheval traverse dans l'eau

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作者を調べてみると、
(1) 一茶 Issa (1763-1827)
(2) 蕪村 Buson (1715-1783)
(3) 花曉 Kagyo
(4) 蕪村 Buson (1715-1783)
(5) 千代女 Chiyo-jo
(6) 子規 Shiki (1866-1902)
(7) 子規 Shiki (1866-1902)

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4 コメント

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俳句 (冬月)
2006-07-28 07:37:03
■あまり知られていない俳人も取り上げられていますね。芭蕉がいないのがちょっと意外。夏の季語は四季の中で一番多く、その意味では、夏は俳句的季節なのかもしれません。



風鈴や風の話をひとしきり  冬月



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芭蕉 (paul-ailleurs)
2006-07-29 00:32:50
この選集には150の俳句がありましたが芭蕉は10句だけでした。残念ながら私の中には入ってきませんでした。ところで風鈴の句、なかなか印象深いものがありました。



Une clochette de vent

 j'entends un peu longtemps

  des histoires éoliennes



  (Tougetsu, traduit par paul-ailleurs)



「ひとしきり」を短く捉えるか、ある程度の長さと見るかによって変わってくると思いますが、拙いフランス語にしてみました。
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冬月 (Unknown)
2006-07-29 06:52:42
■仏語訳、感激しました。非常に新鮮な経験ですね。まるでフランスで長く生きてきた自分が別にいて、たまたま、その自分と出会えたような、そんな感動があります。
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haiku (paul-ailleurs)
2006-07-29 11:36:26
全くお恥ずかしい限りです。原作の香りが出ているとは思いませんが、フランコフォンの方にその香の一部でも伝わればうれしいと思っています。
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