フランスに揺られながら DANS LE HAMAC DE FRANCE

フランス的なものから呼び覚まされることを観察するブログ

J'OBSERVE DONC JE SUIS

芝居翻訳者の楽しみ LES JOIES POUR LE TRADUCTEUR DE LA PIECE

2007-06-05 20:50:59 | Weblog

昨日話題にしたシンポジウムに出かける。その車内で 「翻訳家の仕事」 (岩波新書) を読みながら。この本を読んでいると、人生の転機、あるいはなぜ今があるのか、今に至る切っ掛けになった出来事を皆さんが探していることに気付く。翻訳に関するところは余り目に入らず、人生の綾を見るような楽しさの方を感じていた。その背景には、ここに書かれているような出来事が最近自分にも起こっているのではないかという想いがあったためかもしれない。

その中にあった小田島雄志氏のエッセイを読んでいる時、数日前に触れたDVD翻訳のことを思い出していた。その日、自分の日本語を吉行和子さんが一生懸命に読んでくれているのを聞きながら、最後まで感じていたのは気恥ずかしさではないかと思っていた。それもあるだろうが、私の中に生れていたのはむしろ 「ぞくぞく感」 と言った方がより正確なのではないか。小田島氏の次の一節に行き当たった時、そういう思いに至ったのである。

「芝居翻訳者の楽しみは、特にぼくのように劇作家になりそこねたものの場合、劇作家の喜びを疑似体験できる、ということに尽きる。つまり、自分が訳したセリフを、俳優たちの肉声を通して聞くとき、そのことばがむくむくと立ち上がっていのちをもつことを実感できる喜びである」

劇作家の楽しみなど考えたこともなかったが、ほんの少しだが体験できたように感じていた。むしろそのことにゾクゾク来ていたのかもしれない。

(version française)

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