フランスに揺られながら DANS LE HAMAC DE FRANCE

フランス的なものから呼び覚まされることを観察するブログ

J'OBSERVE DONC JE SUIS

ISAMU NOGUCHI - UN ARTISTE NOMADE COMBATTANT

2005-08-24 21:52:52 | 自由人

先日のモエレ沼公園訪問時、2000年の春に読んだドウス昌代の「イサムノグチ - 宿命の越境者」()を思い出す。一気に読んだせいだろうか、ほとんどマークがついていない。その中から当時印象に残ったと思われるところを以下に。

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『人が月へ旅したいという思いにも似て、何としても他の領界へ飛び発ちたかった』
イサムは「大地を彫刻する」という思いつきに、『頭が燃えているような感じで、いろいろな大構想がどんどん出てきた』。

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タラは、イサムの天性の鋭い直感と、物事を見つめる観察力につねに驚かされた。イサムは内心の葛藤をたえず抱えていたが、切ないほどに心やさしく、思いやりにみちていた。彼は天与の才能とともに、物事を見極める鋭い観察力と、忍耐力をもちあわせた。どんなことでも当然なものとは受けとらず、いつもその背後にある意味を読み取ろうとした。

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『私についてしばしば指摘されることは、一つの様式が成功裡に成就してしまうと、すぐにそれを放棄するということだ。疑いもなく私には、様式とその様式から生じる成功に対する不信の念があるのだ。さらにもう一つの要因としては、ある自己反省の時期―このときには六年間―がすぎると、脱出の衝動が起きるのだ。』

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『ぼくは新しい仕事のたびにいつも、それを次なる仕事の稽古としてきた。仕事に導かれながら、ひとつずつ誤りを取り除き、いつか最後には偉大な創造に達しようとぼくは願ってきた』

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「イサムの性格は底知れなく複雑で、同時に子供みたいに純粋で、単純です。これ以上ないと思われるほどやさしいかと思うと、次の瞬間には、竜巻か瞬間湯沸かし器みたいにすぐ爆発する、手のつけられない癇癪もちです。でもイサムはアーティストとしての矜持の高さ、それに人間としての正直さで際立って輝いていた。」

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山本から、「イサム・ノグチ」と紹介されても、目の前の人物の風貌はあきらかに外国人のものであった。その外人は、和泉がそれまで見たことがないほど強い眼光で、射すくめるように和泉を見据えた。禿げあがっていても、六十歳を目前にした年齢とは想像もできなかったほど、「イサム・ノグチ」は全身からぎらぎらした活力をみなぎらせていた。

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芸術家としての信条を問われて

『意外性が大事だと思う。創作するときに起こる予期せぬハプニングだ。私にとって意外性のないものは芸術ではない。芸術とは自己の外部から刺激を受けてもたらされる変革であり、芸術家はその変革に形を与える道具にすぎない』

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「どんなに居心地よくても、ここに長居しては、ぼくはだめになる」
 イサムは、仕事以外に気をわずらわさずにすむ配慮に心を癒される反面、尊敬を込めて仕えられて少しでも気がゆるむことを極度に恐れた。無意識にも心をゆるませ、それと同時に顔を出す老いの影こそ、イサムが恐れたものであったのかもしれない。

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ISAMU NOGUCHI
The Noguchi Museum

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4 コメント

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TBさせていただきました (謎野)
2005-08-25 00:28:13
はじめまして。

ドウス昌代の評伝をぼくも読み、その直後にNYのノグチ・ミュージアムを訪ねました。

モエレにもぜひ行きたいものです。

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TBありがとうございます (paul-ailleurs)
2005-08-25 03:54:33
私も機会を見て、NYのミュージアムに足を運んでみたいと思います。ノグチには他人とは思えない何かがあり、興味が尽きません。



初めて歌のブログを読ませていただきました。最近よくテレビの短歌・俳句の番組を見るようになっており、不思議な感じがしています。また訪問させていただきます。

返信する
ありがとうございました (謎野)
2005-08-25 12:12:03
ぼくの拙いブログにわざわざお立ち寄りいただき、ありがとうございました。

NYでは晩年のノグチに遭遇されたこともあるとか。

フランス語とフランス文化に出会われた経緯から始まるブログを、大変興味深く拝見しました。

山端庸介に関する最近の連載は、ぼくもヒロシマ・ナガサキを詠ったこともあり、とくに感慨深く拝読しました。

幅広い関心と知識にもとづくブログにノグチを介して巡り合えたことに、感謝します。

今後ともよろしくお願いします。



paul-ailleursのailleursは、France以外にいる(au Japon)という意味でしょうか。

それとも、どこかにいてどこにもいないPaulという意味でしょうか。

錆びつきボロボロになった第2外語では、歯が立ちません。ははは。
返信する
丁寧に読んでいただき感謝します (paul-ailleurs)
2005-08-25 12:55:02
ailleurs について、意味付けをしていただきありがとうございます。それらすべてを含めたつもりです。それと私の中に「どこか違うところ」というテーマがあり、そういう気持ちも込められていたのかもしれません。



http://blog.goo.ne.jp/paul-ailleurs/e/5106e222f04a4205b49fbea7e86256b2



こちらこそよろしくお願いいたします。

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