フランスに揺られながら DANS LE HAMAC DE FRANCE

フランス的なものから呼び覚まされることを観察するブログ

J'OBSERVE DONC JE SUIS

ギュスターヴ・モロー展覧会 GUSTAVE MOREAU A TOKYO

2005-08-20 08:23:16 | 展覧会

7月はじめにパリでモロー美術館を訪れる機会があった(2 juillet 2005)。その時、日本でも展覧会があることを知る。この日曜日に渋谷 Bunkamura のギュスターヴ・モロー展に出かける。パリで見た時とどのような違いがあるのか、また 「アレクサンドロス大王の勝利」 を詳しく見てみようという想いもどこかに持ちながら。

展覧会場に入る前に、librairie に入る。このような専門店では普段見ないような配置がされているので、それまで意識されなかった興味をかき立てられることがある。まずモロー関連の本を実際に見てみた。いくつか気に入ったものがあったので、先日の « Errance...ecumes des jours » さんの推薦本と合わせて、ネット注文することにした。それから何気なくCDのセクションを眺めているうちに、John CageBrian Eno をそれぞれ数枚衝動買い。このうちの一枚、Eno の Apollo については昨日触れた(19 août 2005)。

今回残念ながら、「アレクサンドロス大王の勝利」 は来ていなかった。大きな絵はいくつかこちらに飛び込んでくるものがあったが、ひとつひとつの絵を見るとどうなのかなと思うものもあった。ギュスターヴ・モローという画家は、どういう世界を描こうとしていたのかという全体を捉えると個々の作品の意味がよりよくわかってくるという性格があるような気がしてきた。画集を詳しく眺め、その背景の物語を調べてからもう一度鑑賞に出かけてみたい。

展覧会場のお店では、Pieter Bruegel l'Ancien の画集が目に入る。ある意味では、「眼に見えるもの、触れることのできるものを信じない」というモローとは対極にある画家かもしれない。16世紀の庶民の生活を生々しく描いた画家のようだ。人々の生き様が時に真剣に、時にユーモアを交えながら絵の中に広がり、興味が尽きない。雪景色の中の当時の人々の生活も、懐かしさを呼び覚ます。この画家もこれからじっくり見てみたい一人となりそうだ。

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会場を出た後、近くのTカフェのベランダに座り、街行く人を観察。自分の根を切り離して束の間を楽しむ人、元よりとんでいる外国からの旅行者や短期滞在者、そして不思議なことに、ここの景色に溶け込むことのない地元の人など様々な人間が交錯。蒸し暑い夏の昼下がりを味わう。

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7 コメント

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Unknown (saya)
2005-08-19 22:55:59
こんばんは。

モローの完成油彩作品で有名なものはオルセーに所蔵されていて、モロー美術館にあるのはある意味での習作や未完成品、デッサンなどが多いので、paul-ailleursさんのような感想を持たれてもっともかもしれません。確かに今回の展覧会は、一枚で人を虜にするような大作はあまりなかったですね。

お薦めさせていただいた本を購入なされたとのこと。少し背景を知れば、違う楽しみ方もできるかもしれませんね。



私もブリューゲル、大好きなのです。

農民の日常を描いたものも良いですが、

http://www.restode.cfwb.be/francais/_ARTS/Breughel/06ANGES/index.asp

私はこれ↑とか「バベルの塔」のシリーズのような、ちょっと悪魔的な作品が好みです。

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圧倒されました (code_null)
2005-09-07 00:33:17
paul-ailleursさん、こんばんは。

この展覧会は物語や画家のイマジネーションがひしめき合っているという感じで圧倒されました。

パリのモロー美術館のエピソードを読ませていただきました。「こじんまり」したさぞ雰囲気のある場所なのでしょうね。内装はどんな感じなのでしょうか?

P.S.

Brian Eno私も大好きです。寝る前に瞑想しながら聴くことが多いです。
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Unknown (paul-ailleurs)
2005-09-08 00:12:24
モローの絵をじっくり見るのはこれからですが、彼の考え方(目に見えないものにこそ真実がある)には理解できるところがあります。来週には絵が入れ替わるとのことですので、再度チャレンジしてみたいと思います。



パリの美術館はどこも趣がありました。歴史のなせる技なのでしょう。モローについても当てはまり、まさに自分の家(日本的には相当に広い部屋ですが)で自分の作品に囲まれて生活するという感じでしょうか。機会があれば是非お勧めいたします。



ブライアン・イーノの音楽は、われわれは宇宙の中の小さな存在であることを教えてくれているようにも感じます。彼に行き着いたのは全くの偶然でした。そういう繋がりに気付くというのが楽しみなのかもしれません。

http://blog.goo.ne.jp/paul-ailleurs/e/b1272ab79fc4f79c4b36e5c4d3cfa8b7



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Unknown (Nord)
2005-09-15 01:09:55
こんばんは、はじめまして。

わたしも先月、行ってまいりました。



モローは「官能」なんて言葉もよく分かっていなかった高校生のころから好きで、投稿にも書かれているようにモロー美術館にも行きました(トイレが面白かった♪)。今回のBunkamuraの展示には「いかにもモロー」的な作品が少ないな~というのが率直な感想です。



日本にもモロー美術館とかマルモッタン美術館のような、個人宅で絵を楽しむ感じの美術館があるといいですね。

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TBとコメントありがとうございます (paul-ailleurs)
2005-09-15 09:03:01
モローとの出会いは、ほんの数ヶ月前ですので詳しいことはわからないのですが、やや物足りなかったというのが率直な印象です。今週あたりに絵が入れ替わる(どの程度かわかりませんが)という話ですので、また行ってみたいと思います。



>日本にもモロー美術館とかマルモッタン美術館の、、



先日アンソール展があった都庭園美術館はややそういう感じがしましたが、少ないのでしょうか。



またよろしくお願いいたします。

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モロー展にT/B (Unknown)
2005-09-20 12:35:49
T・Bして頂き有難うございます。

パリのモロー美術館に行かれたのですね。羨ましい限りです。矢張り現地に行って観ないと駄目なのでしょうね。何時いけることやら.......

これからもよろしくお願い致します。
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Unknown (paul-ailleurs)
2005-09-20 19:28:46
後半の展示内容がどの程度変わるのかわかりませんが、体調を整えて行ってみたいと思っていました。余り期待しないで行った方がよさそうですね。

パリの美術館は全体の雰囲気がよかったように記憶しています。

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