セグメントゲームズ

元ゲームプランナーという、しがない肩書きだけが取り柄のゲームブログ。生ラジオの告知が中心で、たまにテキスト対談を更新中!

PS3『rain(レイン)』 インプレッション

2013年10月04日 11時56分37秒 | 【旧】購入・レビュー話
あれだけ雨に打たれて、よく風邪ひかなかったな~と思う私は、ダメでしょうか?(笑)




rain(レイン)
対応ゲーム機 ―→ PS3(ダウンロード専用タイトル)
配信開始日 ―→ 2013/10/03
配信価格 ―→ 1,500円(税込)
ジャンル ―→ アクションアドベンチャー
プレイ人数 ―→ 1人
CERO ―→ A(全年齢対象)


※2014年6月5日より、パッケージ版が発売されました。(税別 2,200円)




■====== 簡単なご紹介 ======■

雨振る街を探索する、アクションアドベンチャーゲームです。
少年はある日、透明な少女と、それを追いかける透明な怪物を目撃します。後を追っていると、雨が降りしきる夜の街に迷い込み、自分もいつしか透明になっていました。
「雨に濡れている時だけ姿が見える」という特性を活かして、ここはどこなのか?自分がなぜ透明になったのか?真相を知るため、先へ先へと進んでいきます。


今作は、決められた道筋を進んでいきながら、道中でちょっとした謎解き要素やスニーキングアクション的なことをして難所を突破していきます。
少年ができる行動は、移動(ダッシュも可能)とジャンプ(多少の高さの壁なら登れます)です。また、特定の場所に近づいて「調べる」「開ける」といった文字が浮かび上がった時、○ボタンでその行動を行います。○ボタンで何かしらの行動できるポイントは、近づくと白く点滅しますよ。

道中には、少年を狙う様々な”透明な怪物”がいます。見つかって攻撃されるとゲームオーバー。直前からやり直しとなります。屋根に逃げ込んで姿を消せば追いかけてこなくなりますが、なかにはそれが通用しない相手もいるようです。怪物の習性を利用しましょう。
また、姿だけでなく”音”を利用することもあります。例えば、水たまり。わざと激しく足踏みして音を立てると、怪物がそこに寄ってきます。それを利用して、怪物が塞いでいた道を通っていくといった場面もあります。
ちなみに。同じ場所を長時間ウロウロしていたり、何度もゲームオーバーになったりすると、SELECTボタンでヒントが見れるようになります。

|== シナリオクリア後について ==|
シナリオクリアすると「記憶たち」と呼ばれる光が街中に出現するようになります。
2周目以降、それを発見して触れることで、少年少女の記憶をのぞくことができます。収集要素としてお楽しみ下さい。



■====== partygameの感想 ======■

=良い  =まあまあ or ちょっと気になる  ×=悪い

◆=== 参考データ ===◆

 プレイ内容 ―→ シナリオクリア&2周目も少しだけプレイ
 シナリオクリアまでにかかったプレイ時間の目安 ―→ ●○○○○
  ●○○○○ = 10時間未満
  ●●○○○ = 10~20時間
  ●●●○○ = 20~30時間
  ●●●●○ = 30~50時間
  ●●●●● = 50時間以上


○ ―→ 一貫した雰囲気作りが、儚(はかな)くて幻想的な空気を作り出しています。
雨振る街をひたすら先へ先へ。途中までは、何を目指していいかも分からず進んでいく。なんか、未知の世界というよりは、街の中で迷子になったような気分でした。それもそのはず、今作は「迷子」をテーマにした作品なので。
でも、ファンタジーな空間でないぶん、先が気になるっていう気持ちにはさせてくれました。

雨の音や、幻想的な曲。敵が近くにいる時の緊張感ある曲なんかも、雰囲気を一層盛りたてます。

○ ―→ ストーリーも、個人的にはなかなか魅力的でした。
少年と少女の「言葉なき交流」。でも、身振り手振りで何とか伝えようとする様が、良かったです。
徐々に真相が分かってくるあたりも良かったですし、最後はハッピーエンド。なんか、「映画」というよりは「おとぎ話」って感じるような、そんな親近感や暖かさを感じました。雨が降っているのに「暖かさを感じた」というのもヘンな言葉かもしれませんが、雨が降っている世界だからこそ、より感じられたのかもしれません。

また、ストーリーの流れをナレーション形式で説明してくれる文章も、ただ単に表示するのではなくフィールドの動きなどに沿って表示されることで、本当にそれこそ「おとぎ話」っぽい演出の良さを感じました。まさに読み進めている!みたいな感じです。

それと、文章もそうですが、イベントシーンもそこそこ用意されていたので、ストーリーはちゃんと理解できました。
『風ノ旅ビト』『DATURA(ダチュラ)』など、ここ最近プレイしたこのタイプの作品はメッセージ性がかなり少なく「ご想像にお任せします」というのが重視されていた一方、今作はあくまで「用意された物語をお楽しみ下さい」って感じでした。ここらへんが、日本と海外の志向の違いなのかもしれませんね。
ちなみに今作は、ソニー・コンピュータエンタテインメントのジャパンスタジオとアクワイアが共同制作しています。

○ ―→ ほどよい謎解き要素が、面白かったです。
そんなに多種多様でもないですし、難易度もそこまで高くはありませんが、「お~」と思える謎解きが色々ありまして。
なかには、ある程度のアクション要素が求められる場面もあるので、個人的には頭をひねるだけでないという点では良かったですが、アクション苦手な人は少しご注意を。まあ、失敗しても直前からやり直せるので。

△ ―→ やっぱり、このタイプのゲームはボリュームがそんなに多くないです。
何せ、ダウンロードしたその日にクリアしちゃったので。しかも、仕事が終わった後に。
「記憶たち」の解放など、2周目移行も楽しませる要素がありますし、この「記憶たち」はけっこう注意深く歩き回らないと見つからないので、わりと時間がかかるかもしれません。もちろん、チャプターを選択して物語の途中から始めることもできるので、これを活用しつつ探すことになるでしょう。

この要素があるだけありがたい気はしますが、もうちょっと何か欲しかったかな。例えば、少女側の視点で楽しめるとか。例えば、物語の一場面だけ切り取ってタイムアタック形式で楽しめるとか。

× ―→ 一本道です。
少しだけ正規ルートじゃない脇道があるくらいで、基本は一本道です。
せっかく「迷子」というテーマにしているのなら、もう少し迷路っぽくしても良かったのでは?と思ったわけです。もちろん、やり過ぎ注意ですけどね。
それこそ、味のある文章表示があるんですから、行き止まりでも「こちらは行き止まりのようだ」や「そこには、チカチカと点滅する寂しげな電灯があるだけだった」などの一文があれば、行き止まりであってもストレスを感じにくいような気がします。

× ―→ 距離感や位置関係の分かりづらい場面が、多かったです。
何せ透明な姿で、しかも夜の街なので、影が無いのです。しかも、カメラ視点は固定(ある程度移動するたびに切り替わる)です。なので、次に進む道がどこにあるか分かりづらかったり、段差を昇り降りする時に位置関係が分かりづらくて、たまに踏み外すこともありました。
カメラ視点がグリグリ操作できなくてもいいので、せめて、例えばL・Rボタンを押したら拡大してくれる位の要素があっても、良かったように思います。

× ―→ ナレーション以外の、文字が小さいです。
日本製のゲームなのに、なんで海外製のゲームみたいに文字が小さいんでしょうか?しかもこれが、文字の情報量が多いということならまだ分かるんですが、もう少し大きくしても全然表示できます。
海外製ゲームの文字が小さくなりがちな理由は、アルファベットであれば少ないドット数でも表現しやすいことと、日本語と比べて海外の言葉は文章の長さが違うからなのであって、今作で文字を小さく表示する意味はないハズです。



■====== まとめ ======■
●●●●●●○○○○ … 6点(10点満点)


オリジナリティ溢れる雰囲気を楽しむアドベンチャーで、いかにも日本製と思えるようなクセのない出来になっています。
一番のポイントは「おとぎ話を読み進めているような感じ」ですかね。おとぎ話を読み進めつつ、途中途中で謎解きやアクションを楽しめるといった流れだと思ってもらったら良いです。

それこそ根本的なプレイスタイルは、私が最近プレイしたXbox360『ブラザーズ ~2人の息子の物語~』にかなり近いです。
ただ、今作は一貫した雰囲気作りや演出による強いオリジナリティ、ファンタジー要素がそんなに強くない物語、そして一応、2周目以降も楽しめる要素が入っていますし。日本人の私は、今作のほうが楽しめたと思っています。
まあ、それでも1,500円という価格に見合っているか?というと…やっぱり何か、映画を見に行くような感覚で買って遊ぶのであって、ゲームを買って遊んだって感覚ではないな~と思ったわけです。こればっかりは、感覚の問題。大抵の人は、ゲーム機なんだからゲームを買う感覚になるのが当たり前でしょうから、こういうタイプの作品はこれからも、評価されにくいのかもしれませんね。

皆さんも、迷子になった少年少女の気分になって、新しい世界の「おとぎ話」を楽しんでみてはいかがでしょうか?

万人向け ← ○○○●○○○○○○ → 熟練者向け
手軽に ← ○○●○○○○○○○ → じっくり
思考タイプ ← ○○○●○○○○○○ → 感覚タイプ
 爽快感重視 ← ○○○○○○○○○● → 達成感重視 


関連記事:
Xbox360『ブラザーズ:2人の息子の物語』 インプレッション(2013/09/05)

その他のタイトルのインプレッション記事は、こちらからどうぞ
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