作家 小林真一のブログ パパゲーノの華麗な生活

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【 わが里に大雪降れり 】

2010-02-07 17:55:00 | 02 華麗な生活


万葉集の力を借りたのは、久方ぶりのこと
であった。

先週木曜日に、我が社の09年決算の仕事で
税理士が来た。税理士はボクの15歳下の弟
であり、淡路島に住んでいる。

15歳も年が離れていながら、高校で同じ先生に
国語古文を教わった。

山本正二といわれた先生は、高校の先生を
辞された後も、田舎の公民館で源氏物語の
講座を開かれたり、年に一度は歴史探訪の
バス旅行を行ったりで、文化活動に熱心に取り
組んでおられた。

97年9月末に、ボクは人工透析を受ける身と
なったのだが、その直前となる夏の時期に、
琵琶湖東岸の史跡探訪のバス旅行があり、
これが最後の旅と、ボクは大津の瀬田の唐橋
で一行に合流した。

その夜は余呉湖の畔に立つ国民宿舎で、
ボクは恩師と枕を並べて寝た。

翌朝早くに目覚められた先生と、余呉の湖を
一周する散歩に出かけ、文学よりも歴史が好きな
ボクはもっぱら、柴田勝家との決戦に臨んだ
羽柴秀吉の本陣となった余呉湖のこと、
そこから戦場に向かった七本槍の小姓連のこと
を主に語り合ったものだった。

ボクも高校時代に参加した、山本先生の吉野・
飛鳥の旅に、15歳下の弟も参加し、その旅に
ついて綴った文章が「三原文化」という冊子に
掲載されたことがある。

つまりは弟もまた、古文が好きな生徒であった。

その弟が、仕事を片付けて帰る際に、歌比べ
といえる和歌二首を早口で唱えて去った。

藤原夫人の作と、それへの誰かの返歌と聞いた。

それが気になって仕方が無い。

万葉集の中に、なんと天武天皇の作として
次の歌があった。

 わが里に 大雪降れり 大原の
    古りにし里に 降らまくは後

これに対する五百重姫の返歌が

 わが丘の おかみに乞いて 降らしめし
    雪のくだけし そこに散りけむ

五百重姫は藤原鎌足の娘とされる。

やっとスッキリした。

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【 日本の中流層が崩壊 】

2010-02-07 15:48:00 | 04 時事ニュース


資源に恵まれぬ国を、優れた人智を挙げて
優れた商品を製造し、それを高級品として
世界市場に提供し、貿易の利を稼ぐ国日本。

企業は従業員を大事にし、従業員は企業の
一翼を担う誇りを持って、世界に冠たる
貿易立国が成立した。

その時点で、日本は一億総中流意識の国
であった。幸福感に浸る日本中流層は
大いに消費を楽しみ、消費力が国内製造業を
潤していた。

世界の先進諸国が、付加価値税に重きをおき、
戦時中の資金集めの便法であった、
サラリーマンの給料天引きを、税金のみならず
社会保険から医療費にと拡大し、もらえる
はずの給料が、明細と手取り額との大差を
生じさせてきた。

いまや中流層の主力であった、サラリーマンや
OLにかつてのおおらかな消費傾向が消え、
先行き不透明な将来に備えた貯蓄志向が
高まっている。

この現象をもって、政府の無策のなせることと
断じることは間違いであろうか。
会社はゴーイングコンサーンと呼ばれ、
経営陣や従業員の顔ぶれが変わっても、
その組織は守られていた。

政府を構成する政党が、入れ替わろうと、
日本国の基本構造が崩れていいわけがない。

長年与党の座を占めた自民党に責任を
押し付けるのはた易いが、いまの政権与党、
民主党の主な顔ぶれを見渡すと、実権者
小沢をはじめ鳩山も亀井も、その他幹部にも、
元は自民党に属していた者が実に多い。

自ら求めて政権を担った以上、先の政権の責を
問うだけで、事を収めようとするのは見苦しい。

米中との外交の主役が、ダーティ政治家の
元締めとは、首相も外相も、国際的に認められて
いないのと同然である。

初のG7で、今回はさしたる重要案を討議した
わけでは無かったから、財務の素人、管直人も
ボロを出さずにすんだ。
本当は一方的な円高傾向に歯止めをかける程の
働きが望まれた。

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【 トヨタ自動車リコール 】

2010-02-07 15:39:00 | 04 時事ニュース


えらいことになったもんだ。
それを当事者がどこまで感じているのだろう。
感じていなかったから、のんびりとダボス会議に
出席していたのだろう。

アメリカに始まって、いまや世界中の市場に
広がりつつある、トヨタのアクセルとブレーキの
欠陥問題。

オバマ大統領にとっては神風に近いハナシ。
歓呼の声で大統領就任後、わずか一年で何も
新しい政策実行ができず、人気急降下の時に
国内産業テコ入れの絶好の理由ができたわけ。

堂々と国外企業にケチをつけ、往年のビッグスリー
に保護を厚くする政策が取れる。
デトロイトの雇用回復が見込め、大統領を称える
声も高まってくる。

ヨーロッパ市場もまた然り。
誇り高きイギリス・ドイツ・フランスのカーメーカーを
尻目に、日本車が走り回っている。悔しい。
黙って指をくわえていたら、トヨタが勝手にこけた。

欠陥の発見なら、どの国の大企業にもある。
問題は対応の遅れである。

徳川家光にも相当する豊田章男は、
生まれながらの社長として帝王教育を受けて
育った。
ボストンに留学して英会話力を付けた上に、
通産省に勤務して官僚の仲間もにも
事欠かぬ状況を作り、万全を期して
トヨタの社長に就任した。

章男社長の謝罪会見には、海外のマスコミが
押しかけ、リアルタイムで本国で映像を流す
ところまで現れた。
英語力も駆使し、詫びに詫びたが、同じこと
なら一週間その謝罪の言動が遅れた。

これが取り返しのつかない遅れでなければ
よいが、章男本人はもとより、大トヨタの
番頭どもの暢気さにはただ呆れる思いである。

留守中に番頭が行った釈明会見では、
おそるべき発言まで飛び出した。
プリウスのブレーキ問題について、それは
個人の感覚の問題と片付けようとしたのである。
この発言が欧米ルーザーの憤激を買った。

章男社長一週間遅れの理由が、ダボス行き
であった。かの地で毎年開催される賢人会議に
出席していたのだ。
ワイズマンの誇りが、そうさせたのであろう。

トヨタは今や、優れた品を製造する国、日本の
象徴である。
そうでなくても日本の製造業の政調が停滞
している中で、トヨタの問題はトヨタ一社の
業績だけでとどまることはない。

メイド・イン・ジャパン全体に及ぶ大問題である。

政治を知らぬ鳩山は、バラ撒き政策で
景気浮揚と本気で考えているかに見えるが、
日本経済が内需で回復するなんてことを、
民主党全体が思っていることが悲劇である。

日本経済は、いつの時代になっても、
加工貿易の形態から抜け出ることは
出来ないと知るべし

                          パパゲーノ

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