日本一“熱い街”熊谷の社長日記

組織論の立場から企業の“あるべき”と“やってはいけない”を考える企業アナリスト~大関暁夫の言いっぱなしダイアリー~

「70年代洋楽ロードの歩き方12」~グラム・ロック2

2010-05-30 | 洋楽
グラムロックを語る時、Tレックスとくれば普通は決まってデビッド・ボウイなのですが、ボウイはグラムの中でも傍流であるという私的解釈の下後回しにして、今回はその他の“グラムロック主流派”を取り上げてみます。

まずはスレイド(写真)。スレイドはその前身アンブローズ・スレイド時代から連なる初期は、どちらかと言えば正統派ハードロックグループであったのですが、彼らのメジャーでの売れ始めとTレックス登場によるグラムロック・センセイションの到来が時期的に一致し、これ幸いと言う感じでギンギラ衣装のグラムファッションに衣替えして大ブレイクします。その楽曲の多くは分かりやすいメロディラインと合唱できるサビが特徴的であり、アイドル的人気を博したグラムブームにこの点がかなりハマったという印象があります。

彼らのグラム期ピークの代表作はアルバム「スレイド?」と、Tレックスと同じくシングル中心の活動をしていたので「カモン!!」などのヒットナンバーを網羅した当時のベスト盤「スレイデスト」でしょう。「スレイデスト」は実に佳曲揃いです。彼らはいち早くグラムブームの終焉を察知し、「スレイデスト」で一区切りをつけるとその後はサウンド的にもソフト路線に転向し、Tレックスほどの急激な人気降下はかろうじて回避しました。80年代には「マイ・オー・マイ」「ラン・ラン・アウェイ」の大ヒットで復活も遂げ、長く英国を代表する国民的バンドとして君臨したのでした。74年唯一の来日公演は、これぞグラムロックを印象付けたブームピーク時の底抜けに明るく楽しいライブであったと記憶しています。

Tレックスもスレイドもそうですが、グラムロックはアルバムよりもシングル重視の傾向が強く、その流れの中でプロのソングライターチームによるプロジェクト的売り出しアーティストもみられました。ブームを曲作りで盛り上げたのは、ニッキー・チンとマイク・チャップマンのソングライト・コンビ“チン&チャップマン”。彼らの曲でいち早くグラムシーンに躍り出たのがスウィートであり、続いて女性ロッカーのスージー・クアトロ、マッド、スモーキーと言った面々でした。

スウィートはグラム全盛期には“チン&チャップマン”の「ブロック・バスター」「ヘルレイザー」などのヒットを放つ一方で、その後はオリジナル作への移行をはかり「フォックス・オン・ザ・ラン」などのヒットで“脱グラム”に成功。クアトロは皮ジャン姿で男性陣を奴隷の如く従えたスタイルで決めて、“サディスティク・ロックの女王”という謳い文句で登場。その後デビュー当時のインパクトは失われたものの、数少ない女性ロッカーとして珍重され、特に日本を中心に比較的長きにわたって安定した人気を獲得しました。マッドはどちらかと言うとロカビリースタイルを身上として登場、スモーキーはアイドル系グラムで売り出されましたが、いずれも日本での人気はかなり短命に終わったと記憶しています。

<70年代洋楽ロードの正しい歩き方~グラム・ロック2>
★日本の72~75年頃のグラムロック・ブームを追体験する作品★
①「スレイド?/スレイド」(間違いなく彼らの最高傑作。「グッバイ・ジェーン」「クレイジー・ママ」をフィーチャー)
②「スレイデスト/スレイド」(「カモン」「恋のバックホーム」等グラム全盛期のヒット曲をすべて網羅したベスト盤)
③「サディスティクロックの女王/スージー・クアトロ」(「キャン・ザ・キャン」「48クラッシュ」フィーチャーのデビュー作)
④「スウィート・ファニー・アダムス/スウィート」(グラム全盛期に“チン&チャップマン”のサポートによるアルバム)

<解説>
グラムロックを語る上で絶対に外せないバンドはスレイド。何をおいても②のベスト盤がブームのリアル体験には最適です。彼らがいかに優れた創作能力を持っていたかがよく分かります。ベスト盤の次に聞くべきは最高傑作アルバム①。オールタイムベストのCDも複数リーリースされていますが、20年の長きにわたる楽曲を集めたベスト盤はややグラム全盛時代の彼らのイメージが薄れてしまうので、まずは上記②、①で。
スージー・クアトロもベストCDが数種類リリースされていますが、やはりあの時代に戻って衝撃的だったデビュー作③を聞くのが一番でしょう。モノクロ基調のジャケットと「キャン・ザ・キャン」「48クラッシュ」の2大ヒットをAB各面のトップに配したアルバム作りは、Tレックスの「ザ・スライダー」に習った作り様と思われます。
スウィートも同じくシングル中心の活動でしたので、全時代的ベスト盤が数種類CDで出ていますが、現行のCDでもっともあの時代の追体験ができるのは、④「スウィート・ファニー・アダムス」です。アルバムとしてヒットはしていませんが、現行CDではアルバムリリース前後のヒットシングル「ブロック・バスター」「ヘルレイザー」「ロックンロールに恋狂い」がボーナストラック収録されており、まさしくピーク時追体験アルバムとなっています。ちなみに本アルバムから当時日本では、「ペパーミント・ツイスト」がシングルカットされました。

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