Out of RAGOL

ぜんぶ、ときどきぷそ。

2008-07-29 21:38:22 | Weblog
映画を見に行きたいけど一人で見に行くの嫌だ!!
と友達にゆっていたら
「一緒に映画を見に行こう。今すぐ」と電話がかかってきた
何の映画か聞いたら「崖の上のポニョ…」と恥ずかしそうに返って来た。
狙ってる女と話を合わせたかったらしい。

お断りだっ!一人で見に行ってしまえ。

アウトですこんばんはー
大体ポニョは見た目がきもすぎるんだよ。魚にすら見えないのに「魚の子」って。

スカイ・クロラをちょっと見てみたくなったけど、
ものすごく暗そうで救いがなさそうで
どうせ好き合ってる子達同士で殺しあって泣きぬれちゃったりする
話なんだろうなーと思ってカナシくなったので見ない。
あと真剣に俺と映画を見に行ってくれる人がホシイ。
今ならハムナプトラ3とかを一緒に見に行ってくれる人がホシイ。
ミステリーとかシリアスとかギャングものはあんまり興味がなくて
主にヒューマン系とファンタジーアドベンチャー系メインで
ときどきスプラッター、ホラー
とかそういうシュミの人一緒に映画を見に行かないかキャンペーン実施中

で、今日「海に行こう野郎4人で。」というメールがAから来ていて
そのすぐ後に「9月に福島に旅行に行こう」というメールが来て
両方に「おっけー☆」ってとりあえず返しておいたんだけど
この福島メールの差出人が誰だかわかんねえ。
登録されてなかったみたいで
メアドがぽーんと表示されているのだが
記号みたいな脈絡のないメアドなんで誰なんだかサッパリ見当もつかね。
「今参加確定がMと隊長とAとA2とA3と(以下略)7人で
 アウトとA(海に一緒に行くやつ)とCの返事待ち!」とあって
みんな知ってる名前なんで間違いメールではないんだろうがお前は一体誰だよみたいな。
この「隊長」が誰をさすのかわかれば大体わかるんだけどなー

まあ旅行当日になったら誰が差出人だったのかわかるだろう。
お楽しみってことで!

フォガット ん?

2008-07-24 00:36:50 | 映画の感想など
バイトのシフトが9連荘になってて
しかもまだまだ続くよ状態で
「人が若いと思って人使い荒いんだからッ☆」と思ってたら
店長が寄ってきて
「ごめん!アウトくんのシフトに休み入れるの忘れてた☆」

と月曜に言われました。ひどいよ店長。

アウトですこんばんはー。今日はおかげさまで休みでした

今暇を見つけては俺がちっこいころから撮ってたビデオを
DVDに焼きなおしています。すごく時間かかって面倒
新し物好きの親父のおかげでうちにあるDVDレコーダーが5年前のヤツなんだよね!
いつも思うんだけどなんで高い上に動作が不安定なうちに買っちゃうんだろう。
すごいふしぎ。
しかし今日は何をやってもうまくいかなくて
朝から4時間掛けて焼いたビデオが結局イッコだけチャプター焼けてなくて
もう一回HDDに撮り直したら今度は途中で入ってるCM部分消したつもりで
本編部分消しちゃってまた取り直さないといけなくなったりして。
アホすぎる。洗濯も終わった直後に目玉焼きの黄身を服とクッションカバーに
びらびらっとこぼしてもう一回やり直しとかね。
シャワー浴びたら水しかでないとかね。
買い物に行ったら店しまってるとかね。もうなんか笑ってしまった。
極め付けに地震です。やれやれ。
休みの日でよかった。仕事でこの調子だったらまずすぎる。
HDDに焼いてる間「フォーガットン」をみる
フライト・プランと同じ設定だったので似たような話なんだろーなぁー
と思ってたら3段階くらい安かった。
フライト・プラン+Xファイル÷3て感じ。フライト・プランもアレだったが。
なまじヒロイン役のジュリアン・ムーアが気合入った演技なのが痛々しい。
というか本編ディスクに「もう一つのエンディング」が入っていて
そっちもエンディングだけみたんだけど、
劇場公開版のほうだってうまくまとまったとは言いがたいのに
もう一つのほうなんてせっかく作ったからとはいえ
何もこんなにきちんと本編と同じ長さで入れるなよと思った。
メイキングの中でちょろっと違うところだけピックアップして
「こんなのもあったんですよアハハ」で終わらせておけばよかったのに。
ちうかよ、肝心のラスト部分が映画で2種類あるって。
かまいたちの夜じゃないんだからちゃんと最初から絞って作れよなー
なんかこう、あまりのどうでもよさに疲れる映画だった。
フライトプランのほうがまだ地に足がついていてマシ。

というか俺ってもしかして宇宙人モノが嫌いなだけなのかな?
「サイン」と「フォーガットゥン」が普遍的にはうんこじゃなかったらどうしよう。
俺は個人的にはうんこだと思う。

スターゲイト(映画版)とインディペンデンスデイは面白いと思ったのだが・・・
エイリアンもちゃんと4まで見たし。面白かったし。

あと漂流教室な。

本日のお猫様

2008-07-16 00:46:03 | Weblog
本日はバイトの社員さんの送別会で焼肉をたらふく食べました。
アウトですこんばんはー
明日もバイトです。

家に帰ったらお猫様の攻撃。
いつもは夕飯のときに俺がちょちょっと夕飯をお相伴してもらうのでしたが
本日父も不在で俺も焼肉を食いに行ってしまったので
お猫様に夕飯をお相伴させる人がいなかったのですね。
むろんドライフードが年がら年中食えるようにしてあるのですが
彼女はドライフードはオヤツか朝食と決めているらしく
今日も俺が焼肉から帰ってくるなり
「夕飯がないよ!なかったよ!」とすごい勢いでねだりんぐしてきたわけですが
俺が来る前は父と猫の二人暮らしで(うちは母親が単身赴任中なので)
猫だって結構夕飯をお相伴できない日があったはずで、
甘え癖が付いてしまったのだなあと思って俺がハンセイしたので
「今日はドライフード食って我慢しなさい」とゆったら
すたすたと外に出て行ってしまった。
ふてくされたのかなあと思ってほったらかしといたら
暫くしてまたすたすたと帰ってきてお猫様の席にゴキゲンで座りこみ
とても楽しそうにポリポリと何かを齧っている。
台所にお猫様のゴハン入れがあって
それにドライフードと水が常駐されていてたまに夕飯のはぎれとか
放り込んでおくので、オヤジがなんか入れといたのかなあと
ちょっと思ったけどそんなハズがないし
お猫様がやけに上機嫌でポリポリやっているので嫌な予感。
しかし前の猫はすごくこういうことが多くて
大体分解は外でやってくれて、家の中に持ってくるときは
ちゃんと手も足も首も繋がったままのきれいな状態だったのでよかったのだが
(外に放置のやつは分解してあることが多かったけどさ。遠慮していたのだろう)
今回のお猫様は何かを持ってきたのは俺の記憶が確かならば
今回が初めてなので少し腰が引けた。
この子は残念ながらあまり狩が得意じゃない(とろいので)(飼い主に似たんだ)から
かえるかなあと思ってみたら何か黒くて長い尾が。
トカゲ・・・べびかも・・・と思ってよくみてみると
お猫様の足の下にころりとしたボディが。
ねずみ様でした。お前のような猫がねずみを取れるだなんて・・・アウトびっくりだよ。
彼女はとても嬉しそうに頭部をくちゃくちゃと食べていた。

しかしやっぱりごっくんと飲み込むのは嫌だったようで
しばらくくっちゃくっちゃぽりんこぽりんこと噛んで
ぺっと吐き出すと満足して顔を洗い出したので
数年ぶりにねずみ様の亡骸を始末しちゃったくらいにして。
今回みたいにガム化して皮膚部分と肉部分と骨部分が
ミックスになった肉団子(生)を片付けたのは俺も生まれて初めてだ。
前の猫はよかったよな。分解するにしても
噛み潰したりしないで首と胴体をきれいにすぱっと分けて転がしておくだけとか
お腹の皮だけをどうやったのか標本みたいに裂いて開いて
内臓をご開帳するだけで放置とかで
一つまみするだけで終わったもん。やれやれ。
しかしこれも彼女の野生のなごりと思うと怒るに怒れなかったのであった。
お前もねずみが取れるのかい。そうかいそうかい。

家の中に持ってこなくていいよ。

あと今日は一緒に寝ないからね。

答え合わせ(2)

2008-07-15 00:39:03 | ハロウ・ストームの冒険 色烏飛行
P.Pとそのストックたちの部屋にはやはりロックがかかっていた。
ストライクは一応開けようと試みてみたもののやっぱり鍵穴がなかった。
レインが中にいるはずだと思ってドアを叩いてみたけれど、
扉に耳をくっつけてみても中からはP.Pの2063号だかそんなのに記憶を送る
ポンという機械音しか聞こえなかった。
レインは眠らされているのかもしれない。
しつこくノックしていると例によってP.Pの3次元映像が
軽い音と共に現れてあからさまな軽蔑のまなざしでチップとストライクを見下ろした。
[何をしているんですか?]
「そういう顔をするとDr.A.Aとそっくりだな」
[Dr.A.Aとは身体を共有しているため、
 そっくりというよりは一致していると言うほうが正確です]
「なんでもいいけど。なあ、中に誰かいるんだろ?」
[あなたと遺伝子的に同一であるストレイン氏と私の約300体のストックがおります]
「もう一人いるだろう?イデンシテキに誰とも一緒じゃないやつが?」
P.Pはきゅっと片方のまゆをあげて口元を下げ、
[どうしてわかったんですか]と言った。

でも扉を開けてはくれなかった。

答え合わせ

2008-07-13 23:54:19 | ハロウ・ストームの冒険 色烏飛行
望に満ちた研究者であるP.Pのおかげで
ハロウの左の手首はびっくりするくらい
何もなかったみたいにすぐに一見普通の腕に戻ってしまった。
よく目を凝らすとごく細くてまっすぐな白い線が4センチばかりあったけれど
P.Pはストライクの頬に張ったのと同じ白いテープをその傷跡の上に貼り付けてしまい、
その白い線すらももう2ヶ月もしたらよく見たってわからなくなると言った。
ハロウはP.Pから言われて一日に何回か手首や指を動かす練習を始めた。
一度ストライクがあまりにゆっくりとしたハロウの左の手の開閉を見て
その左の手をぐいと握りこんでみたら
その手は妙にぶらぶらとしていてふわふわとしていて、
おまけにP.Pにせっかく繋いだ神経がどうにかなったらどうすると怒られて
もう二度と触るまいと思った。
ハロウにどんな感じなのかと聞くと
ハロウは「別なものをくっつけたのでうまく動かないという感じです」と答えた。
「右手は無意識に動いているのに左の手は一生懸命考えると
 やっとのろのろ動き出すという感じでしょうか」
以前両方ともお願いしなくても動いていたなんて信じられない。とハロウは
本当に感心したみたいに続けた。
ハロウはP.Pと一緒に検査室で朝から昼過ぎまで過ごし、
夜になるとコンパートメントに戻ってきた。
ストライクとチップは特に脱走する気もない上にアルフが近々迎えに来ることが
わかっていたので、P.Pに声を掛けさえすれば研究所のドアを開けてもらえて
まだクソ寒い雪の降るだだっ広くて本当に研究所しかなくて
見渡す限り真っ白い悪夢の中みたいな雪原に出て散歩できるようになった。
曇りや雪の日は本当に悪夢の中の一場面みたいだったけど、
晴れた日はそんな白いだけの外でも気が晴れた。
ハロウもちょっとだけ外に一緒に出てくることもあった。
ハロウのコートはP.Pが切り裂いて処分してしまったので
P.Pがどこからか薄い茶色のダッフル・コートを持ってきて
ハロウに渡した。それを着てシルク・ハットを被って研究所の入り口の段差に腰掛けて
太陽の日差しが雪に反射するきらきらにちょっとしかめっつらになっているハロウは
あまりにださくて、悪夢の一部と言うよりは
朝起きてみて「なんでこんな夢を見たんだろう」と頭を抱えてしまうような
シュールな一場面みたいだった。
シルク・ハットと薄い茶色のダッフル・コートはあんまりだ。

ストライクとチップが二人でその日も外に出て思い思いに外出を満喫していると
チップが突然思い立ったように顔を上にあげ下にさげ、
いろんな高さの匂いをかぎだした。
チップは鼻をひくひくさせたまま何度もひげをしごいていた。
「どうしたんだ?」
チップはひとしきりストライクのことを無視して緑の目をぐりぐり動かしたり
鼻先をあちこちにずらしてくんくんを匂いをかいだりしてから話し出した。
「お前が柩をかっぱらってきて帰ってきた日あるじゃん」
「うん」
「ハロウがなんだかんだだったりしたし
 俺お前の匂いかお前の兄弟のにおいかと思って言いそびれたんだけどさ、
 やっぱりもっと他に誰かいるよ。あの日からさ」
「他の誰か?」
「うん。覚えがあるような匂いだよ。気配がずっとしてるんだ。
 あんたの兄弟だけじゃなくて、もっと他に生きてるものがいるよ」
「確かなのか?」
「少なくともあんたら人間よりはずっと確かだと思うね」

一滴の水(8)

2008-07-07 23:54:39 | ハロウ・ストームの冒険 色烏飛行
って何?とストライクはぐったりと寝ているハロウに聞いてみた。
チップは例によってふらっとどこかに消えてしまい、
P.PはP.Pのストックとレインが眠っている部屋に
レインの面倒を診に(データを取りに)行ってしまっていて、
ストライクは手持ち無沙汰でベッドに身じろぎもできない風に縛り付けられたハロウの
隣の椅子に腰を下ろした。
真昼間のはずだった。時間的には。ストライクは日差しが急にとても懐かしくなった。
「猫?」
ハロウは本当に眠ろうとしていたところだったらしく
まぶたに右手を当ててゆっくりと繰り返した。「猫?」
「チップさんのこと?」
「違うよ。あんたを運ぶときにあんたが言ったんだ。白い猫の話って」
「そんなことを言いましたか?」
「言ったと思うけどなあ。白い猫って。お城がどうのこうの」
「ああ・・・」

陶器の猫の置物の話がありましてね、とハロウは右手で目を覆ったまま話した。
「どうしてだかあの時思い出していたんですね。リリィにその話をした時のことを。
 リリィのお気に入りのお話の一つでした。
 そのお話ではベッドにもぐりこむと主人公は陶器の美しい白猫と一緒に
 猫の城に行って遊んだり冒険したりするんです。
 主人公が初めて猫のお城に招待された時に
 『乗り物が何もないよ』と言うと
 白い陶器の猫が『ベッドは最高の乗り物なんですよ』って言うんです
 『特に何も乗り物がない時なんかはね・・・』」
それを聞いてなぜだかストライクは少し悲しい気持ちになった。
「リリィちゃんがさ。はっきり言うけど、死んじゃったからあんたも死のうと思ったの?」
ハロウは棺おけの中の昼間の吸血鬼みたいにぴたりと静止して暫く黙っていた。
手が邪魔で表情がまるでわからなかったのでストライクはハロウが怒ってしまったんだと思った。
でもハロウは穏やかに口を開いた。
「違うんじゃないでしょうか。確かにそれは僕の・・・『痛いところ』の一つでした。
 リリィが死んでしまったこと自体は直接的な原因ではないと思います。
 ・・・どうなのかな。直接の原因と言えばそうなのかもしれない
 後を追おうとかそういうつもりはないんです。
 ただ、リリィと出会う前にも僕は死のうと思っていて、
 リリィが生きていたから死ぬのをやめていて、
 リリィが死んでしまったからもう僕も死んでしまっても構わないと思った
 という感じなのかな?」
「ハロウ、ずっと気になっていたんだけどこうなったら聞いてもいいか?」
「なんでしょうか」

「お前ロリコン?」

ハロウは目に手を当てたまま声を出さずに笑った。
「なんだか、そういう執着でもなかったんです。
 『とりあえず』という感じです。例えばね
 ひどい言い方をすれば、リリィじゃなくてもよかったんです
 本当にひどい言い方だけどね。例えば猫でもイヌでもよかった。
 ・・・それどころじゃないな。音楽を聞いたり本を読んだりするのと同じです
 『この曲が終わったらあれをしよう』とか『ここまで読んだら出かけよう』とか
 ・・・わかりますか?」

わかる、とストライクは正直に言った。そしてさらに正直に「でもわかりもしない」と言った。
「それはだってハロウ、あんまりじゃないか?
 仮にも人間のお前のファンの女の子を音楽とか本とかと一緒くらいにしか思わないのは
 ちょっとじゃないか?」
ハロウの口元はまだ少しだけ笑ったままだった。そしてそのちょっとだけ笑った口の形のままで
目を手で覆ったままでハロウが
「ほんとあんまりですよねえ」と他人事のように言った。

「だから僕は死んだほうがいい人間なんですよ。
 僕は自分がこんな風なのが本当に嫌なんです」

ストライクはほんとうに太陽の光が強烈に恋しくなった。
午後3時だった。こんな白い箱の中で蛍光灯の下でこんな話をしたくなかった。
ハロウは死んでしまっていたほうが幸せだったんだろうか?
「くっだらねえ」
ストライクがやっとそれだけ言って席を立ち、部屋の出口に足早に向かうと
ハロウの声が背中から聞こえた。それは独り言みたいだった。
「そうですよね」
振り返ってみればハロウは唯一自由になる右の手をだらんとベッドの外に放り出して
真っ直ぐ天井を向き、目を開けていた。
まるでハロウの顔の真上に天窓でもあるみたいに
青い空がちゃんと見えてるみたいにハロウの灰色の目がくっきりと見えた。
視線の先を追ってついストライクも天井を見上げたけれど、
やっぱりどう見ても真っ白い天井しかなかった。

「俺あんたに一回死ねよって言ったけどさ、本当に死なれると困るよ」
「言いましたっけ?」
「言わなかったっけ?」
「忘れてしまったけど」
ハロウはまだハロウにしか見えない空を眺めていた。
「でもどうもありがとう」

何がありがたいのかストライクにはさっぱりわからなかった。
「ま、そのベッドにどこかに連れて行ってもらえよ」
ストライクが言ってドアの取っ手に手を掛けると
ハロウは首をこちらに傾け、
灰色の目をストライクに向けて口の端をちょっとだけ持ち上げてみせた。

天竺へGO!おまけ

2008-07-06 21:28:03 | Et in Arcadia ego eram
あまりに長くて割愛したところを少し。
とは言うもののかなり忘れてしまったので箇条書きで。

・たぶんアグラからデリーに戻る途中に寄ったお土産屋のオモテのところに
 どう見ても10歳くらいのへび使いの男の子がいた。
 俺たちが通ったので笛を吹いてへびを出してくれた。
 へびは時計仕掛けのつくりものみたいに左右にきりきりと動いていた。
 へびすごいぜ。
 ああいう芸を仕込んだコブラさんはすごい長生きで
 100年くらい生きるのだそうな。だからきっとあのへびさんも
 使っていた少年より年上だったのであろうと推測される。
 あまりに本当にぜんまいで動いてるみたいだったのでびっくりした。
 へびを入れていると思われる入れ物はちょうど丸いクッキーの缶みたいなので
 あんなのに入れて歩いてるのかとちょっとビックリ。
 コブラさんは忍耐強いらしい。

・インドで大事にされているというウシさん。
 あまりに野良牛然としているのだが
 ガイドのマノージ氏によると
 ちゃんと飼い主がいて、朝飼い主の家を出て
 夜家に勝手に帰ってくるのだそうな。
 やっぱり飼い主のところに戻らないウシさんもいるので
 そういうのは政府で捕まえて預かっておくらしい。
 すると飼い主が取りに来るんだって。
 街でウシは何を食ってるんだろうと思ってたら
 なんかみんな適当に果物とか上げるし、
 朝一番最初に焼いたチャパティはウシさんにあげるものなのだそうな。
 ウシは神様のお使いで町でダラダラしているので
 働いてないのかと思ったら
 やっぱりメスの牛さんはお乳を搾るし
 オスの牛さんは力仕事するらしい。
 神様のお使いでも働いている。

・サルもハヌマーンなので追い出されたりしないでえさをもらっている。
 でもイヌは特に神様じゃないけど追い出されたりしないでえさをもらっている。
 でも猫は不吉なのでだれも世話してあげないので猫はほとんどいないんだそうだ。
 実際に俺たちが猫をインドで見ることはなかった。
 エジプトだとほとんど猫しか見なかったのに・・・
 ゾウは道端のブーゲンビリアをつまみ食いしていた。

・俺たちが行った時道を封鎖していたデモは政治家の公約違反に抗議するデモだったらしい。
 公共事業に雇用する人の人数の5%を最下層カーストから取ると言ったのに
 それを果たしてくれなかったので暴動が起きたのだそうだ。
 「インドの人たちはみんなおだやかですが、ある時は激しくなります」と
 マノージ氏は言っていた。
 ちなみにインドではガンジーさんのがんばりで表面的にはカーストはないということに
 なっているのだけど、
 ぜんぜんある。というか行ってみていて思ったのは
 つまり「自分と同じくらいのカーストの人たちと、他のカーストの人たちとは
 考え方や目線や世界が違うのでそのカーストというものがすでに環境の一つなんだろうな」
 ということだった。同じ環境にいる人とでないと話が合わないのだろう。
 でもそれは日本だって同じだけどね。
 例えばホームレスの人たちはホームレスの人たちで仲良くなるし、
 サラリーマンの人たちはやっぱり同じくらいの年収で似たような仕事の人と話が合うし、
 芸能人はそういうので固まってる。
 考え方やものの見方や暮らし方が違う人たちを
 きちんと区分けしていた時代が長ければ、あしたっからそれはナシでーすって言ったって
 無理だよな。士農工商が100年前になくなったはずの日本にも今もある。
 マノージ氏は「むずかしい問題です」と言っていた。

一滴の水(7)

2008-07-03 02:05:52 | ハロウ・ストームの冒険 色烏飛行
ップがP.Pを自分の前に座らせてアルフに電話を掛けていた。
やっぱり変な光景だなあと思いながらストライクはそれを
きしむ椅子に逆向きに腰掛けて
背もたれにひじをつきながら眺めていた。
「あと一週間?そんくらいしたら来てくれよ。ルーとスゥによろしく」

ハロウは少し顔色がよくなって
ぱちぱちとまばたきをしていた。
左の腕はがっちりと固定された上にひじから下が小さな水槽みたいなのに入れられて、
水槽の中の手首は傷口が全開になったまま薄黄色い液の中で
ぶよぶよとふやけていた。ストライクはなるべくそのあたりを見ないように目をそらした。
でもハロウ本人はそれを嫌がる様子でもなかった。自分でやったんだから
文句も言えないのかもしれない。
「ストレインさんは?」
ハロウが思いついたようにちょっとだけストライクのほうに顔を向けて言った。
「まだ眠っています」
P.Pが答えた。レインはP.Pがごちゃごちゃっと
とにかく健康ではないとストライクに告げて以来
たくさんのP.Pのストックがいる部屋でP.Pのたくさんのストックと一緒に眠っていた。
たまに起きているらしいがそういう時はたいていストライクたちが
コンパートメントに閉じ込められているときなので
あの「聖なる柩」を持ってきた日から一度も顔を合わせていないことになる。
どうもP.Pが双子の兄弟を合わせないことに決めているらしかった。
 今度会ったときにレインがクローンと入れ替わってたらやだな、と
ストライクはふと不安になった。
「傷は残らないと思いますよ。きれいな断面でしたし
 細胞も十分に増やしてありましたので無駄な時間がかかりませんでした。
 神経を現在培養していますがあと三日程度の治療で3ヶ月ほどのリハビリを受ければ
 ほぼ元通りに動かせるようになるでしょう」
P.Pはきりっとした14歳にしてはずいぶんと小生意気な顔で
一回漂白した後みたいな顔色のハロウに言った。
「すみません」
「そのうちやってみたいと思っていた培養ですからいい機会でした」
P.Pはとてもいきいきとして見えた。本当にこういうことが好きなんだろう。
「こういった自傷行為は通常反復性が見られますが
 いかがですか?可能性はありますか?」
ハロウはあまりにはきはきとそう言われて「くにゃ」と苦笑いをした。
「予定はありません、今のところ」
そして「みっともないなあ」とその表情のままで言った。
「ちゃんと死のうと思ったのに。すごく恥ずかしいです」
「でももうご予定はないんですよね?」
P.Pが少しむっとした顔で確認した。
「もっといろんなところを切っていただいても構わないのですが」

チップとストライクがその言いように思わず大笑いすると
ハロウもつられて右手を額に当て、歯を見せてにんまりと笑った。

一滴の水(6)

2008-07-01 23:18:32 | ハロウ・ストームの冒険 色烏飛行
P.Pはとても不機嫌そうに薄いぴったりとしたゴム手袋を
ぱちんと音を立てて外した。
「そろそろ目がさめると思います」
栗色の髪の毛は寝癖でくしゃくしゃに絡まっていて、
顔色も悪かった。
ストライクとチップは少しだけ眠ってまた検査室に様子を見に来ていた。
たぶんP.Pは眠っていないのだろうけど、
今度は二人を追い払わずに黙って部屋の中に入れてくれた。
「まったくあなたたちは・・・」
ストライクはきしきしと音を立てるさびた椅子に深く腰をかけて
蝋みたいな顔色のままのハロウをちらっと見た。
「あなたたちって。俺は今回はなんもしてねえって」
「俺なんかずっとなんもしてねえよ」
チップだけは眠そうな様子もなく、きらきらと光るわけのわからない道具に
ぺたっと手を当ててみたりしている。
「セラミックのメスが確かに一本紛失してはいたのですが・・・
 ストライクさんが持っていると思っていました。
 まさかハロウさんの手元にあるとは」
「俺もすっかり忘れてたよ」
P.Pはストライクに「本当に手癖が悪いですね」とうんざりした口調で言った。
研究所に閉じ込められて逃げ出そうとしたときに
ストライクがとっさに掠め取ったメスだった。
「大丈夫なのかな」
チップがハロウの顔を覗き込むとP.Pが突然きびきびとチップの腕を取り押さえた。
「左の腕を動かさないでくださいね。筋まで切断されているのを
 今パイプを固定して培養しているんですから」

チップは手を後ろで組んで口をへの字に曲げ、
じっとハロウを眺めた。
「どうしてハロウはこんなことをしたんだろう」
「おやじさんがご立派過ぎたんじゃねえ?」
ストライクがだるくなって机にあごを載せているのを
チップは横目でちらりと見た。
「そうじゃなくってさ。理由がどうのこうのじゃなくってね。
 俺たち獣人にはこんな風に自分から死のうとするやつなんかまずいないよ。
 どんなひどい目にあっても死ぬことは考えないな、たぶん。
 自殺した獣人の話なんか聞いたこともない」
「正確に言うと2654年に犬系獣人のマリアナ・コッテロが
 縊死しているのが発見されていますが。自殺と殺人と事故で調査され
 まだ決着していない事件です」
P.Pが口を挟んだがチップは鼻でそれを吹き飛ばした。
「死んじまったらおしまいじゃないか。どうして自分でそんなことをするんだろう」

「弱いから」

ハロウが死体みたいな顔色のままで
目をつぶったままでうめくように言った。
「弱くて、馬鹿で何もできないとね、やっぱり死んでしまうんです、チップさん。
 あなたは弱くても馬鹿でもニンゲンという生き物は生きていける、
 それってすごいことだねっておっしゃっていたそうですが・・・
 やっぱりね、そんな生き物は生きていけないんです。
 僕みたいなニンゲンは、生きていけるんじゃないんです。
 死んでないだけなんです」

「起きてたのか」
「少し前から」
ハロウの声はかすれていて、唇も真っ白だった。
P.Pは無言でハロウの右の手首に小さめの機械を当てて何かを測り、
軽く頷いてから一息に言った。
「あまり悲観的に考えると経過もよくありませんので
 やめてください。左腕を固定しますから動かないでください。
 現在かなりの貧血状態なので増血剤を打ちますが
 何か薬にアレルギー反応が出たことは?」

「P.Pの言い方にむかついたことは?」

ストライクがP.Pの問診についでに付け足すと、ハロウは少し笑って
「ありません」と言った。

一滴の水(5)

2008-07-01 23:09:49 | ハロウ・ストームの冒険 色烏飛行
につくかんかんとうるさい機械音が鳴り始めて暫くして
フロアにはすべての光が点った。あまりにまぶしくてしばらく何も見えないくらいだった。
そして露骨に寝起きの顔をしたP.Pがストレッチャーを連れて歩いてきた。
ストライクやチップが何か言う前にぱんとガラスのドアは開き、
鉄くさい匂いが忍び込んできた。
ストライクとチップがP.Pの入っていったハロウの部屋を覗き込むと
床は意外と白いままだった。
ハロウの黒いコートや服から血のにおいがした。
ハロウの顔はひどく青くて、それでもそのいでたちから
なんとなく吸血鬼が横たわって眠っているような不思議な気持ちがした。
P.Pがめんどくさそうにかがんでハロウのあごをぐいっと持ち上げ、
ハロウが顔をしかめるのを見てぷいと手を離し、
横に転がっていた白いメスで袖口からハロウの服を切り裂き、
景気よく赤く染まっているハロウの左の腕の肩とひじの間くらいのところに
細めのゴムのホースみたいなものを力任せに結びつけた。
あらわになったハロウの左の手首からはまだ血がぷくりぷくりと吹き出していて、
その隙間から何か白いものがきらっと光った。骨なのかもっと違うものなのかわからなかったけど、
ストライクはそれを見てちょっと体に力が入らなくなった。
「ストライクさん、チップさん、ストレッチャーに乗せてください」
P.Pは二人にそういいつけると自分だけすたすたと検査室の方へ歩いていってしまった。
仕方がないのでストライクとチップはなるべくハロウを動かさないように、
血を踏まないように、手につけないように(やっぱり気味が悪かった)気をつけて
ストレッチャーの硬い薄っぺらいマットの上にぐったりして
生気のない体を乗せてやった。
ストレッチャーはぜんぶわかってるという風に
ハロウの体を乗せて一人で廊下を滑っていってしまった。
ストライクとチップには何もわからなかったので
そのストレッチャーの後を追ってみたけど、
検査室の前でP.Pから追い返された。
「・・・ちょっと細かい作業になりますので・・・」
P.Pは一貫して顔をしかめていたし、白くてひ弱そうないつもの状態に加えて
青いくまが14歳のわりに病気みたいにくっきりしていたけど、
ほんとうに嫌がっているのかというとそんな風にも見えなかった。
ストライクが検査室のドアについた小さな窓から眺めていると
P.Pはまるで水を得た魚のようにすいすいと器具の間を飛び回り、
でかい機械から小さなガラスのケースを取り出し、
真剣な顔でハロウの手首を見つめていた。
P.Pはお医者のようなことをやるのが好きなんだなあ。
頭が妙に軽かった。でも思考が少しぶっ飛んでいるのがわかった。
俺も混乱しているのかもしれない。
チップは腕を組んで廊下の壁に寄りかかって大きなあくびを一つした。
何も考えていられなかった。ぼんやりとP.Pが飛び回っているのを見て
ドアに寄りかかったままうとうととした。
ストライクさん、どいてください」
P.Pの声にはっと体をどかすと
P.Pはずっしりと重そうなハロウの服を持って一人で出てきた。
「命に別状はありません。あの部屋で自殺しようとしても
 健康状態に急変があると警戒音が鳴るシステムなので無駄なんですけど
 ご説明していませんでしたね」
「自殺・・・」
P.Pは向こうから子犬みたいに走ってきた丸いポットのような白いもののなかに
ハロウの服をまとめて放り込んだ。
「左の手首に深い切創がみられました。骨まで達していて挫滅はなく、
 神経なども切断されています。事故でなければ失血死を試みたと考えるのが妥当でしょう」
「どうしていきなりこんなことになったんだろう」
P.Pはそんなこと知るかと言わんばかりに大きく一度頭を振った。
「輸血していますのであと2,3時間もしたらハロウさんも目が覚めると思います。
 直接聞いてください」
「何も言ってなかったのに。言ってたか。さっき。ハロウにしては珍しく
 長い話だったよな」
ストライクが床に丸まってしまったチップに話しかけると
チップは耳をぴんぴんと動かして「わかんねえ」と言った。

ハロウのことは
確かにちょっと投げやりなところがあるやつだなとは思ってたけど
それはぼんぼんだから物にこだわらないだけなんだろうと考えていた。

 お出しできるのはその財布全部です。もちろん黒猫さんにお渡しする分を
 引いてですが。あいにくそれ以上は持ち合わせがないので

 ストライクさん、どうもありがとうございました。
 あなたに出会えて僕は本当に幸運だったと思います

 僕は以前やり損なったことを今やってみただけなんです
 ぜんぜんあなたのためにやったのではないのです、ごめんなさい

出会ったときの青白くて切羽詰ったハロウの顔を思い出した。
そういえばハロウのほかの顔を見たことがないような気がする。
いつもハロウは世界の終わりみたいな顔をして黙っていた気がする。
いちばん最初の最初っから、こいつはもう死んでしまう気だったのかもしれないな
とストライクは小部屋に戻って浅く眠りながら思いついた。

 では想像してください

夢の中でハロウは青白い吸血鬼みたいな顔で言った。

 どうぞ想像してみてください。あなたたちが思うほど
 複雑なことでも面白いことでもありません


ハロウの右手にはあの銀色の箱があって、
左手は血で真っ赤に染まっている上に黒い受話器を持っていた。
手首からぷくりぷくりと血が盛り上がるのが見え、
ストライクはそれがハロウの命を削っていると思うともどかしくて仕方がなかった。