和食、鰍嘉（しゅうか）

手抜きのない「正当」な和食が食べたくなると、この鰍嘉（しゅうか）に行きます。一つ一つ、本当に丁寧な仕事がなされているここのお料理は、姿も美しくとても上品で、おいしいものばかり。それもそのはず、ここのご主人は、あの呂山人の星岡茶寮で修行し都内の有名料亭を経て、10年前に独立してこの店を開いたのです。出される料理全てから、ネタの良さ、腕の良さが分かります。刺身のネタが良いことは言うまでもなく、一緒についてくる針よりも細いツマを見ても、いかに包丁のキレが良いか分かります。お刺身は包丁が切れてケンがたっていないと、ネタの良さが生かせませんからね。お通しの先付けも、全て手作りで気が利いています。


料理の完成度からしたら値段は高くありません、実にリーズナブル。最近は、店構がおしゃれ、味もそこそこ、というようなところが増えているように感じます。でも、値段が高ければ、おいしくて当たり前。値段が高いのに、ごくフツ～の味だったりすると、なんだか詐欺にあったような気がして腹が立つこともしばしば。そこにいくと、この鰍嘉はコストパフォーマンスが高く、心から満足させてくれます。

鰍嘉（しゅうか）との出会いは、７年ほど前、豊島区千川に自宅とは別にアパートを借りて住んでいた頃まで遡ります。その頃勤務していた会社の仕事がメチャクチャ忙しくて自宅に帰れず、アパートには仮眠に帰るような生活でした。週末、千川駅の周りをフラフラ歩いていたときに偶然見つけたのがこの鰍嘉でした。お酒の飲めない私にも堪能できる美味しい料理とご主人のお人柄が気に入って、以来、たまに仕事が早めに終わった時はご飯を食べに寄るようになり、埼玉の自宅に戻った後も、たまに寄らせてもらっています。


夏はスッポン、冬はふぐ、と季節ごとの鍋も楽しみです。先日は、ふぅふぅ言って大汗をかきながらスッポン鍋をいただきました。身は見た目によらず淡白でコラーゲンたっぷり、クセもありません。長ネギは一旦焼いてから鍋に入れてあり甘味が増しています。おいしいダシのお汁で雑炊も作っていただきました。お腹いっぱいなのに、まだまだ食べたいと感じるおいしさでした。その前に行った時は岩牡蠣をいただきましたが、あれだけ大きくて味が濃厚なカキは初めてで、感動ものでした。

有楽町線千川駅近くと、地味な場所にありますが、少し前には雑誌のhanakoにも紹介されましたし、テレビの探偵ドラマの舞台にもしばら使われていたこともあります。（写真はhanakoに載った記事）