ミラクル・リナックスは、11月7日にAsianux2.0を同梱したLinuxサーバーOS「MIRACLE LINUX V4.0」の出荷を開始する。同OSに同梱されている「Asianux2.0」はカーネル2.6を採用しており、大規模システムやエンタープライズ用途での利用にターゲットを絞っているが、今回特にSMB(中堅中小企業)市場の開拓を狙いとして、1CPUのサーバー上での使用に限定した低価格(3万6000円)の新製品「MIRACLE LINUX One V4.0-Asianux Inside」(12月12日から出荷開始)も製品にラインアップしていることが注目される。
Asianuxは、日本、中国、韓国の3国が連携して開発したLinuxOSであり、各国政府も力を入れていることが単なるLinuxOS製品とは一味も二味も違うところとなっている。つまり、3国が協力し合ってWindowsやUNIXに対抗しうるOSを育てようとする、これまでのITの世界ではなかった新しい試みである。現在、各国間での標準化の取り組みは多いいが、Asianuxのように製品の共同開発までとは異例の取り組みといえる。
このようなことから、Asianuxの動向に各方面から注目されているわけであるが、見方は2つに分かれている。1つは「うまくいかないだろう」とする見方。オープンソースソフトウエア(OSS)のLinuxを推進するには民間の自由なパワーが何より必要であり、過去に第五世代コンピューターやΣ計画のように国家レベルのプロジェクトは、そのほとんどが失敗していることなどが根拠に挙げられている。
もう一方は「うまくいくだろう」という見方。3国とも、これからの国の発展はソフトウエア産業なくしてはあり得ないという点で一致している。ところが現実を見ると、IBMのメインフレームOS、HPやSUNのUNIX・OS、それにマイクロソフトのWindowsと、いずれも米国勢にガッチリOS分野の市場を押さえられ、日・中・韓の出番はない。ところが、OSSなかんずくLinuxの市場はまだ混沌としており、これら3国の今後の頑張り次第では市場をひっくり返すことだって夢ではない。これが成功の要因つながるという見方だ。いずれにしろ、ここ当分Asianuxの動向から目を離せないことだけは事実のようだ。 (ossdata)