乾燥した寒さと風 厳冬期大菩薩嶺

2011-01-30 23:49:38 | 山、登ってきました☆
■ 冬の大菩薩嶺へ
朝は素晴らしく晴れていたので、大菩薩嶺へ行きました。
遠くから見ると(夜叉神峠など)こちら方面は大菩薩嶺だけがいつも白く雪をかぶっているように見えます。 それがとても不思議で、どうなっているのか見てみたかったんですよね。
10時半に裂石の通行止めにつくと、すでに15台くらいの車で一杯でした。まだ10時半なのに降りてくる人とばかりすれ違うのはなぜ・・・?大菩薩嶺にある3つの山小屋はどれも冬はやっていないのですが・・・。

夏は上日川峠まで入れ、そこのロッジ長兵衛からだと山頂まであっという間なのですが、
冬は車で入れないので、裂石ー上日川峠まで歩くことになります。それがちょっとめんどくさい。

というわけでコースは大きく3つのパートに分かれます。③が本番。①②はウォームアップ

①裂石ー上日川峠     上り1.5h 下り45  自然遊歩道のような里山道
②上日川峠ー福ちゃん荘  0.5h  笹原と広葉樹林の気持ちのいい道
③福ちゃん荘から上 1h    唐松尾根、雷岩 稜線は風が強い 展望もある

■ 乾燥の小道

①は近くの里山とか、自然観察路のような道。だけかんばの林の中を通ります。ときどき、
道路と交差しながら、30分ごとに第一展望台、第二展望台とでてきます。でも展望は山頂付近のほうがいい。当然か。

今年は太平洋側は雪が少ないせいか、土煙でズボンの膝下が白くなるほどの乾燥地帯。
雪がないときのスパッツが、なぜ必要なのか分かりました(笑)。
私は車で着ているからいいけど、電車で来ているとき、帰りに泥埃のついたズボンでは少々はた迷惑ですよね。泥除けになる。この道は乾燥でパサパサで、泥というより運動場の埃のような細かな土が膝下について黒いズボンがうっすら茶色く。 カーキのズボンってこういう道にいいわけね。乾燥地帯ではカーキって汚れが目立たないわけか・・・納得。
落ち葉を踏みしめながら、”お肌がカサカサ”などというときの、日本語独特の擬音語は、もしかして、落ち葉の音から来ているのでは・・・などと考えます。
気温は0度くらい~ -2,3℃。 でも歩いていると暑い。

これは開始すぐの分岐(橋の上)の看板。熊も出るのかぁ。熊棚がないか目を凝らしましたが、らしきものはありませんでした。熊より山火事が怖そう。ところどころ、霜は降りていますが、本当に乾燥しています。だから指定場所以外では、キャンプ禁止なのかな?

『熊出没』の字体でいい味を出している看板・・・・熊ほんとにいるのかなぁ。

ロッジ長兵衛前の駐車場・・・雪もほとんどない。トイレは冬季封鎖中・・・ケチ。水は補給できるようになっていました。というか流しっぱなしにしないと凍るんだろうな。

ここまで標準コースタイムどおり。12時ごろ着。②の区間へ入ります。笹原の平坦な林の中の道です。隣に林道が走っているけど、舗装路を行くのがいやなので林の中をいくと 福ちゃん荘の裏にでます。

■ つんつるてんの凍結道 たのしくはない道

この区間は野鳥が結構いて、シジュウカラが楽しそうに鳴いていました。じっとしていたら草むらに入っているヤツが至近距離1mくらいに近づいてきて・・・きっと見えないと思っているんでしょうね・・・しっかり観察していると、気がついて大慌てで逃げていきました(^^) 今日は天気がイマイチで晴れ間も出るが曇り。自然観察にもイマイチです。
それにシジュウカラは実は裏山にもいるんですよね♪


福ちゃん荘前。 路面はコチンコチンの冷凍後の霜が圧縮されて氷になった状態なので、つるつるてん。ちっとも”楽しくありません”。 なんでもない平坦部で、すべって”シエ~”のポーズをしていたら、向こうから不意に下山者が来て、礼儀正しい性格なのか、目をそらしてくれました・・・(^^;) 余計恥ずかしい・・・。

ここのトイレは開いていました。助かった。女性だとトイレがないと困ります。
ここからぐるりと一周するわけですが、唐松尾根から行くべきところ、逆周りの富士見小屋から行きました・・・おなかがすいていたので、富士山をみながら食べようと・・・。この選択は道の歩きやすさからは不正解でした。唐松尾根から行って帰りにこの道のほうが歩きやすかったと思う・・・。わだちを歩いても歩きにくいし、真ん中あたりを歩いても歩きにくい、やなかんじ。見た目より楽しくない。

緩やかだけど、凍っているので、これなら夜叉神峠や北横岳のほうがよっぽど滑らず初心者向きです。

富士見小屋から半時計周りの道の半分はこんな。中途半端な雪で登山靴のグリップが効かず歩きにくい。かといって軽アイゼンをつけないと歩けないほどでもなく、めんどうさも手伝って迷っているうちにコースも短いので終わってしまう・・・。最初につけたらすこしはスピードアップしたかもしれない。使わないアイゼンを背負っているくらいなら最初からつけてもいいのか・・・?などとタイミングを思っているうちに終わる・・・(汗)。

富士山、その①

■ 廃屋

富士見平小屋からの富士山のアップ。この小屋も廃屋になっているよう。下にも廃屋の小屋があった。タダで誰かに貸したらいいのに。この辺は住んでみたい、という人が誰もいないのだろうか・・・?どこかの登山家や山好きがいそうなのにもったいない。

山小屋としては町からのアクセスはバツグンだと思うんだけどな。すぐ下に公共の温泉、大菩薩の湯もあるし。大菩薩嶺自体はアクセスも容易なハイキング向けの場所だけど、歴史のある、とても有名な場所だし、このゴーストタウンみたいになっている廃屋化はなんでなんだろうな、と思う。せめて無人の避難小屋くらいにしたら、泊まりたい人はいるんじゃないだろうか?布団なんかも窓から見える。もし山に夜までいて布団が見えたりしたら、これ以上むなしいことはないなと思った(笑)

大菩薩嶺は有名なことや、アクセスがいい、都心から近い、行動時間が短い割に景色が良い、富士山が見える、など色々あって、年中登山者が多い(だから一人でもこれる)のです。この日も10人くらいの登山者とすれ違いました。

ピッケル持参の人もいた。どこで使うんだろう? 古い本などを読むと、大菩薩嶺は”今でこそ容易に入れる場所になっているがかつては・・・”という場所なので、ここを入り口にした深い山があるのかもしれません。奥秩父はずっとつながっているわけですしね・・・。

しかしソレにしては彼は充実感のない、少々不服そうな顔をしていたので、実は私みたいに色々な山の本を読んいた若い人かもしれない。憧れてきたら、ハイキングの山でガッカリ、みたいな?
岳人の間で、俗人化を嘆く声が聞かれたのも、とっくの一昔前なんだろうな。俗人化どころかシャッター商店街より怖いゴーストタウン具合・・・ でも人はコンスタントに来ているのにね。



近くの沢。魚も住めまい、と思うほど、カチンコチン!これほどカチンコチンなのは初めてみました。気温は-8℃くらいになった。この辺りはまだ北西面で日陰。緩やかな傾斜だが歩きにくい道を歩いているので寒くはありません。ただ、この時点でおなかぺこぺこ(笑) もうすぐ1時だもんね。ヴァームとバナナを食べました。意外にバナナおいしかった。


山頂が見えてきた。大菩薩嶺らしい、笹原からのぞく大きい空。今日は曇り。ササって寒さに強いんですね!まだ青い。これじゃ鹿もくるはずだなぁ。



着いた。大菩薩峠。けど、もう今日はスタート自体が遅いからすぐ通過。ここから上は強風。さっきまで暑すぎて開けていたジャケットのポケットも閉じる。



脇のお地蔵さん。鹿が来るのでカップラーメンの汁などを捨てないで、とあった。鹿もラーメン風味はおいしいのだろうか・・・?

峠から南アルプス方面。

今日は入笠山でもいいな、と思っていたのだけれど、天気は西から変わるし、午後は曇りの予報だったので、こちらにしたのだが、正解だったかもしれない。南アルプス方面はすっかり雲の中っぽい。




カチコチの雪&岩&凄い風が強い。三つ頭のような突風ではなく、コンスタントに吹く強風。地形的に風が出やすいのだろうか・・・フリースの手袋の中も風が通っていくから、熱々だった手もあっという間にかじかんであんまり快適とは言えない。ポケットに手をいれて、耳当てを出して、鼻をウォーマーで覆う。ー10℃をさしているし、風は10mくらいはありそう・・・
おなかは減っていたはずなんだけど、それどころじゃない、風。

富士山その②

雪はほんのちっと。10センチくらい?



2000m地点。雷岩を越える手前で、アイゼンをつけている人たちとすれ違う。今日、アイゼンをつけている人は初めて。雷岩は、凍結も雪も50%くらいで、あちこち土が出ているし、(土や岩の上)vs(凍結した氷の上)では氷のほうが滑るし歩きにくいので、雷岩では逆にアイゼンが岩にあたって邪魔だったのではないかと思う・・・

ともかく強風・・・でもなんかうれしい。風がうれしいんだな。
富士山その③

すごく風は強い。ほんとこんな小さな山で凍傷なんてなっていたら笑い話にしかならないけど、濡れてからこの風なら凍ると思った。

えびの尻尾ができないのは、すごく乾燥しているからなんだろう・・・
賽の河原も強い風・・・これを味わいに今日はここへきたなー。ここに泊まったらどんな感じなんだろう?

悲しいときは泣けばいいっていうけれど、どんなときでも雨風に少しさらされてみたら、洗い落とされるものってあるんじゃないかと思う。


富士山 その④
ふもとのダムは凍っているのだろうか?

そんなこんなでも、通過はあっという間。もっと味わいたいけれど、もう午後だし、今日は一人で来ているので、ワガママは言えない。こんな荒涼とした景色を見たから満足。

こんな風に写真でみると、けっこう雪がある、と思うのだけど、実際は全然雪山らしくない。
積雪してすぐ凍っちゃったのねーという感じ。ただ寒く、ただ風が強い。 樹氷も今日はない。
冬に登る山として、”お得”度が高いかといえば、そうではないだろう・・・でも一人でも来れる山として、年中健在なのがいい。いくら一人で来れる山でも、冬になるとパッタリ、という山では一人で遊びに来ることができない。これは大菩薩嶺がひとえに有名だから、ということによる。

楽しい稜線歩きはあっという間に終わり。
最近みたHPでは、大菩薩嶺山頂は展望がないという少々愚痴っぽいものが多かったけれど、この分岐から奥(写真では右側の道)へ行くと確かに林の中で何も見えないし、暗い。たぶん、そこを山頂、と位置づけてしまうのは(いや山頂なんだけど) 唐松尾根から登るからだと思う・・・唐松尾根からだと、(樹林帯)→(岩場まで行かないが岩がちな急登)→(やっと開けたところ)という展開になり、ココで展望をみた後、さあと奥へいくことになる。すると展望はまったくないのでガッカリするだろう。
でも私のように逆周りなら、クライマックスは断然 雷岩。 この樹林の中の山頂は、オマケ。私は今回はパス。どうせ凍ってるし、何も見えないし・・・。展望は雷岩から南面へ降りる途中が絶対に良いので、大菩薩峠の茶屋まで行ってください。
まかりまちがってもココから、ピストン、などしないように。時間的にも変わりませんし。

で、反対周りの私は、唐松尾根からそそくさと下山。直下は少々急な歩きにくい岩ごろごろの道。そういえば前に来たときもココ嫌いだったな。
すっかり忘れていた。人間って不思議ですね、いやなことはすっかり忘れ、いいことしか覚えていない・・・。

唐松尾根もちゃんと雪が深ければもっと歩きやすいのに、土と雪、半分くらいの凍結で、つんつるてん。まったく歩きにくいったらありゃしない。私はバランス感覚悪いので、すぐこける。仕方ないのでストックを出しました。夏は避ける、とがった岩を飛び石感覚で伝うのが一番滑らないけど、どうしてもつんつるてんに足を置かざるを得ないときが数回。それも片足。
そのときはストックと2点を支持するわけだけど、一瞬、ストックと、かなり心もとない足場、という2点確保になる瞬間ができる。ストックに体重を預けるわけにもいかないし、不安な足場に体重の少なくとも半分を預けざるを得ない。そのとき、すべりそう、と思うとやっぱり滑る(笑)
こんなことを考えているから滑るんだろうな・・・と思いつつ、3回尻餅ついて、次回は反対周りにしようと思った。絶対行ってはいけないね!滑ったら一巻の終わりというような場所に、私みたいな人は(笑)。

バレエでも指摘されましたが、わたしは生まれつき後ろバランス。かかと側に重心が偏っている人とつま先側に偏っている人(前バランス)では、登山に有利なのは前だと思う。梅田でだって、みんなが滑らないとき私滑ってるしな(--;)
帰りは超早回しモードで下り、3時半には運転中。
おなかがぺこぺこだったんだけど、下りながら食べて楽しいような箇所はなかったし、さっきの緊張のせいか、空腹感はどこかにいってしまった。おなかがすいても結構動けるじゃん、という発見かな?(笑)

降りて車の中で、もってきた甘栗を開けたら、凍って栗同士が引っついていた。
ザックは背負っているから体温で結構暖かいと思っていたけど・・・甘栗の表面の水分くらいは凍らせるくらい寒かったのかぁ・・・と、ビックリ。冬は甘栗はあまりおいしくありません。

■ 寒さとウエア

ウエアは、ソフトシェルにウールのアンダー、ぜんぜん熱を保持する能力のない、海外でかってきたポリエステルの中間着でちょうど良かったんだけど・・・。これでも登りだと、胸ポケットに入れたカメラに体温で結露が・・・結露するほど汗をかいている?これは温かすぎるのかもしれないのですが・・・、風が強いときに一瞬で凍りそうだし、よくないと思うんだけど、これ以上薄着するのは無理だと思う。
一応、ダウンはもって行きましたが、ダウンより防風できる服が要りそうな山頂付近・・・
もっていくべきだったのは、ゴアのジャケットか?
でも下はのんびり道で歩くのは寒くない。寒いのは気温というより、風なんだな、ということを実感した日でした・・・
ソフトシェルは、一応の防風性はあり、裏が起毛なので、フリース+ゴアテックスを2枚で100点とすると、一枚で80点、というようなジャケットですが、大菩薩嶺の稜線の強風は80点ではなく100点が快適そうでした。 といっても歩く時間が短いのでトータルでいうと、2枚着て
調節するより、一瞬我慢して1枚が楽だと思いますが・・・フリースジャケットだと明らかに風を通すし、それにウインドブレーカーを重ねると、稜線以外のところで蒸れるので脱がなくてはいけなくなる。
ボトムスでモンベルのウールタイツを履いて行ったのは良かったです。結局上半身より下半身が温かいほうが満足感が高いのかも?

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