釜石の日々

岩手県釜石市に移り住んで16年8ヶ月が過ぎ、三陸沿岸部の自然の豊かさに感動する毎日。

中央銀行の罪

2017-06-20 19:11:13 | 経済
1991年12月にソ連が崩壊すると、米国の一人勝ちとなり、米国の巨大企業によるグローバル化が一気に加速した。巨大資本が世界中に富を求めるようになる。各国の割安の企業を買収し、経営効率を最優先し、人件費が標的となる。買収されない企業も同様の経営方針に切り替わって行った。企業のこうした行動は中間層を脱落させ、格差社会を拡大した。このため各国とも消費が減退し、実体経済は低迷する。これをカバーするために先進国は国債を発行して、政府債務を積み重ねて行った。その政府を支えるために中央銀行はこぞって金融緩和に走った。すなわち低金利と、国債の引き受けによる大量の紙幣を印刷した。この恩恵は富裕層にのみ流れ、株や債券、不動産のような資産バブルが発生する。特に顕著なバブルは米国で発生している。米国は70年代で製造業が後退し、以後、金融資本主義を生み出すことで、活路を開いた。しかし、単にお金がお金を生み出すギャンブルであり、加熱したギャンブルは2000年のITバブル崩壊や2008年のリーマンショックのようなバブル崩壊に至らざるを得ない。2000年代からの中央銀行による金融緩和は史上最大のバブルを生み出している。これ以上のバブルの拡大を恐れた米国の中央銀行であるFRBは他国に先駆けて、金融緩和から離脱した。低金利から徐々に金利を上げ、買い込んだ債券を売る方向に舵を切ろうとしている。一方、日本の中央銀行である日本銀行は未だに金融緩和からの離脱が出来ないでいる。金融緩和が長引けば、長引くほどバブルは拡大し、中央銀行のバランスシートは悪化する。しかし、政府にとっては発行する国債の金利が低く抑えられていることは好都合だ。巨額の借金を抱えた政府は借金の利払い費が少なくて済む。永遠に金融緩和が続いて欲しいはずだ。先進国の中央銀行によって行われて来た金融緩和によって生まれた空前のバブルはいつの日か弾ける。このバブル崩壊は日本では財政破綻や年金の崩壊に繋がるだろう。歴史始まって以来の世界恐慌になると予想する著名投資家たちがいる。賃金低下により消費が低迷し、実体経済は良くないにも関わらず、中央銀行による見せかけの株や債券の高騰は資本主義市場そのものを歪めてしまっている。本来、株や債券は企業の業績や国の財政状況が好ましい状態であって初めて評価されるものだ。その評価とは無関係に高騰することで、不良企業や不良政府を延命させている。
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