釜石の日々

岩手県釜石市に移り住んで16年8ヶ月が過ぎ、三陸沿岸部の自然の豊かさに感動する毎日。

神話と伝承

2017-04-07 19:15:54 | 歴史
イスラエル南部、エジプトに近いティムナ渓谷に「奴隷の丘」と呼ばれる巨大な台地がある。そこで2013年に紀元前10世紀のロバか他の家畜のものである排泄物が見つかった。この台地ではすでに紀元前10世紀を最盛期とする銅の大規模な採掘場が見出されている。紀元前10世紀は旧約聖書に登場するソロモン王の時代だ。古代イスラエル王国の王となったソロモンは強国エジプトに従い、エジプトのファラオの娘を娶ることで、戦いを避け、イスラエル王国を繁栄させた。その繁栄を旧約聖書はソロモンが神に助けられて得られたものと記述する。同じく旧約聖書に登場する「ノアの箱舟」は中東各地に残される大洪水の伝承が元となっている。特にバビロニア神話の洪水伝説がその源ではないか、と考えられている。洋の東西を問わず、各地の伝承はしばしば権威あるものの由来に盗用される。日本の各地に残るアラハバキ神も同じだ。荒神などとも言われる。天照を祀る伊勢神宮にさえ、内宮そばに荒祭宮があり、内宮が遷宮する最初の殿地にあたり、内宮本殿のような位置にある。表向きは天照の荒魂とされる。また、以前住んでいた愛知県には三神山があり、その中心となる本宮山には砥鹿神社が建っており、参州一宮の奥の院とされる。この神社の摂社には荒羽々気(あらはばき)神社がある。各地の神社に門神や摂社として祀られている神こそがそこの本来の神であった。学生時代に訪れたことのある武蔵国一宮、埼玉県大宮の氷川神社は江戸時代まで荒脛巾(あらはばき)神社と言われていた。しかし、神社の伝承では2400年前に出雲大社から勧請されたとする。古代東北の荒覇吐王国の荒覇吐神は王国の拡大とともに信仰を広めて行った。天照が対馬に漂着する以前から日本では広く荒覇吐信仰が行われていた。しかし、王国の衰退とともに荒覇吐神は新たなる神の門客神とされて行った。新たな支配者は地元に根付く信仰を完全には排除出来なかったのだ。むしろ、何らかの形で新たなる支配者に関連付けることで、支配を容易にしたのだ。神道の大祓の祝詞も新たな支配者となった天照たちの被支配者への掟の掟のようなものだ。神話や伝承には一部の真実が含まれている。まして、荒覇吐王国の伝承は語り部や語り部しか理解出来ない語印と呼ばれる記号を使って伝承されて来たもので、同じ伝承ではあっても、伝承途中での歪みは少ないと思われる。
近所の梅