釜石の日々

岩手県釜石市に移り住んで16年8ヶ月が過ぎ、三陸沿岸部の自然の豊かさに感動する毎日。

繰り返されて来た地球上の大陸移動

2017-02-09 19:19:41 | 科学
先月31日、科学誌「NATURE」に、インド洋とモーリシャス島の海底深くに「失われた大陸」マウリティアが隠れて存在することを示す証拠が発見されたとの論文が発表された。この失われた大陸はおよそ2億年前に存在した超大陸「ゴンドワナ大陸」の一部だとされる。南アフリカのウィットウォータースランド大学の研究チームによる。モーリシャスは火山の噴火で形成された島で、形成後900万年を経過した岩は存在しないが、島の岩石を調べると、30億年前の鉱物であるジルコンが見つかった。モーリシャス島の海底奥深くには、ゴンドワナ大陸から分離した、未発見の大陸の残骸がある可能性が出て来た。2億5000万年前、地球上に超大陸パンゲアが誕生した。地球にはこのパンゲアと言う超大陸のみが存在した。しかし、このパンゲアも2億年前に分裂を始め、2000万年をかけてローラシア大陸とゴンドワナ大陸に分裂した。ゴンドワナ大陸には現在のアフリカ大陸、南アメリカ大陸、南極大陸、インド亜大陸、オーストラリア大陸などが含まれる。世界で最初に大陸の移動を述べた人は、1576年に『地理学の宝庫』を著したフランドル生まれのアブラハム・オルテリウスAbraham Orteliusだとされる。彼は同書で、大西洋を挟んだアメリカ大陸とヨーロッパ・アフリカ大陸の両岸の形状の類似性に注目し、それは天変地変で横方向に引き離された結果だと述べている。1570年には世界初の近代的地図、『Theatrum Orbis Terrarum』を出版し、25年後には世界で初めて、その地図に日本地図が追加されている。北海道が抜けている以外は、概略をよく表している。1910年にドイツの気象学者アルフレート・ヴェーゲナーAlfred Lothar Wegenerは南アメリカ大陸の東海岸線とアフリカ大陸の西海岸線がよく似ていることに気付き、 1912年にドイツ地質学会で初めて大陸移動説を発表した。1915年に出した『大陸と海洋の起源』でも大陸移動説を主張したが、地質学者ではなかったためもあり、無視されてしまった。1950年代以後、大陸移動がマントルの対流によると言う仮説が主張されるようになり、1960年代後半からは、地球表面がプレートと呼ぶ固い岩盤で作られており、このプレートが対流するマントルに乗って、海溝に沈み込むことで、移動が行われていると言うプレートテクトニクスが提唱されるようになった。そして、1970年代半ば以降は、大陸・海洋プレートの移動の主な原動力は、マントル中に沈み込む海洋プレートの引っ張り力であるという説が有力視されて来た。しかし、2014年に日本の海洋研究開発機構(JAMSTEC)が、スーパーコンピューターを用いて、大陸がマントル対流で自由に変形しながら移動できる新しいシミュレーションモデルを開発し、2億年前から始まった超大陸パンゲアの分裂から現在までの大陸移動と、地球内部の物質の流れを再現することに成功した。その結果、大陸移動の主な原動力がプレート沈み込み帯の引っ張り力でなく、大陸直下のマントル対流であることが明らかになった。マントル内には熱対流がある。
ヒドリガモの雌雄