アタシが化粧をしないワケ

『泣くなっっ！』
…そんなコト云われても…
アタシが化粧してくれって頼んだ訳じゃない、
チアキがアタシに化粧をしたいっていったんジャン。
ヒトにお願いしておいて怒鳴るってのはどうかと思うよ。
歩いて10分そこらの、下落合の小料理屋に呑みに行くだけデショ、
化粧して出かけなきゃいけないトコ？
っていうか、アイラインってのは目をつぶったままじゃ引けないの？
アタシは小学校二年生の時、隣の席の男の子に
鉛筆で目の下を刺されて以来の先端恐怖症。
尖ったモノが大嫌い。
アァ、コワイ、
尖ったアイライナー（でいいのかな？）コワイ。
怒ってるチアキはモットコワイ…
『よし、出来た！』
腕組みをして私のカオの仕上がりを確認するチアキ。
『（化粧しても）変んないね。さ、行こう！』

アンダケ恐い思いして怒られてナニも変らないんだったら
もう化粧なんてするもんか、そう思った。
化粧しなきゃイケナイ時は、口紅とマスカラだけで誤魔化している。
チアキ、来週アタシも35だよ。
こんなコトならチアキにナチュラルメイクの仕方ならっとけばよかったな。
もう無理だけど。
きっとこの先、アタシが化粧を覚えるコトもきっとないね。
会いたいよ、会って朝まで呑みたいよ、チアキ。

photo; 一緒に行こうと誘われたけど都合で行けなかったThe Blues Brothersのライブを思い出して…