検屍が得意な同心・彦太郎が主役のサスペンス。
まさに、現代の検視官ですからね。
相棒はもちろん監察医、ではなくて、検屍と女が大好きな町医者・玄海。
結構、科学的な検視をするのだが、ひたすら、「下」のあたりの観察に終始している気もする。
死体の似顔絵を描きにくる、絵師のお月(若い娘)も、実は本職はエログロ・イラストレーターだったりする。
もちろん死体ばかり出てくる。
でもホラーではなくて、あくまでもサスペンス。
彦太郎が丹念に物証を追いかけていくうちに、一人の女の存在が気になりだす。
女は連続殺人事件の犯人なのか、そうでないのか?
最後まで、分からない犯人を彦太郎とともに追いかけるのは面白かった。
女に言い寄られても、身重の愛妻に操を立て続ける彦太郎の動向を追いかけていると、妻のお園は実在の人物なのか、神格化された創造上の女なのか、区別がつかなくなる。
ぎりぎりまで行っておいて、超寸前で思いとどまり、未練たらたらの彦太郎の様子は、浮気症の男よりも一層、情けないのだが・・・