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大塚勝利ブログ

議員活動をお知らせしていきます。

24年12月議会 働きづらさを抱える人への就労支援、障がい者の短時間雇用について

2024-12-10 09:18:17 | 議会通信
24年12月定例会代表質問で、「働きづらさを抱える人への就労支援について」、「障がい者の短時間雇用について」を現場で取り組む支援センターの所長からの声をもとに質問しました。
既存の就労支援センターでは対応が難しかった働きづらさを抱える人をどう支援するのか、引き続き、検討が必要です。
本日、西日本新聞に掲載されました。(考案 大塚)

次に、働きづらさを抱える人への就労支援として、日本財団の助成を活用して実施している「福岡県ワークダイバーシティモデル事業」についてお尋ねします。
県民の誰もが住み慣れた地域で働くことができる地域社会づくりに取り組むことは県の責務です。
県では、若者や、女性、中高年、高齢者、障がいのある方などを対象に年代別・対象別に就職支援センターを設置し、相談者一人ひとりの状況に寄り添った就労支援を実施しているところです。
しかしながら、近年、就労していない障がいのある人や、ひきこもり、がん患者、難病患者、刑余者、LGBTQ、生活困窮者など、働きづらさを抱える人が多様化しており、それぞれが抱える働きづらさの要因も複雑化する中で、生活困窮者自立支援制度などの既存の制度にもとづいて設置している自治体の相談窓口等では対応が難しい事例も見受けられると聞いています。
2018年に日本財団が行った調査によると、働きづらさを抱える人は全国で延べ1,500万人と想定され、このうち既に働いている人や、働きづらさの要因が重複している人を整理すると、実数は約600万人と推計されています。
これは国民の約20人に1人が働きづらさを抱えている計算となり、福岡県の生産年齢人口に当てはめた場合、働きづらさを抱えた、いわゆる就労困難者は約14万人いると見込まれることになります。
一方、人口減少や少子高齢化により、今後も生産年齢人口の減少が見込まれるなか、こうした就労困難者の就労支援を行うことは、労働力不足の解消につながるとともに、就労によって、支えられる側から社会を支える側に変わることは、当事者の自己肯定感につながり、地域での共生社会の実現を図る上で必要な要素とも言えます。
そうした課題を背景として、県は、日本財団が企画するワークダイバーシティプロジェクトに賛同し、令和4年度から、福岡県就労支援協同組合を事業の実施主体として、日本財団が8割・県が2割の助成のもと、社会実証モデルである「福岡県ワークダイバーシティモデル事業」に取り組んでいます。
このモデル事業は、本来、障害者手帳等をお持ちの方が利用する障害者総合支援法に基づく就労支援事業を行う「就労移行支援事業所」において、障害者手帳等をお持ちでない方でも、就労に向けた訓練等を受け、一般就労への移行まで支援するものであり、普段から障がい者と接することで、それぞれの特性を見極める能力が高い方が支援を行うことなどから、多様な働きづらさを抱える人の就労支援として非常に有意義な取組みの一つであり、実際に、20年間ひきこもり生活保護を受けていた50代の方が、支援を受ける中、一般就労に結びついた事例など、現在、モデル事業の実証結果などを踏まえ、日本財団の有識者会議である「ワークダイバーシティ政策実現会議」において、国の制度化に向けた提言案を検討中であると聞いています。
そこで知事にお尋ねします。
① まず、本県では、働きづらさを抱える人をどのようにモデル事業の支援につないできたのか、お伺いします。
② 次に、国の制度化の後押しともなる、本県におけるモデル事業の成果についてお伺いします。

障がい者の短時間雇用について

次に、障がい者の短時間雇用についてお尋ねします。
 令和4年9月議会の一般質問において、我が会派の大塚勝利議員が、障がい者の短時間雇用について、障がい者雇用率制度の算定対象に加える国の法改正の動きに触れ、知事は、この法改正の動きは、「就労機会の拡大に資する」との答弁をされています。
 令和4年12月に障害者総合支援法の一部改正法が公布され、障がい者法定雇用率制度の見直しについては、これまで週20時間以上働ける障がい者に限定されていましたが、令和6年4月から、週所定労働時間が10時間以上20時間未満の、いわゆる短時間雇用の、精神障がい者や重度の身体障がい者及び重度の知的障がい者について、障がい者雇用率の算定対象となっているところです。
そこで知事にお尋ねします。
令和6年4月から障がい者雇用率制度が見直され、障がい者の短時間雇用が障がい者法定雇用率の算定対象となっていますが、県ではどのような対応をされているのかお伺いします。

【知事答弁骨子】
問 働きづらさを抱える人をワークダイバーシティモデル事業の支援に繋げる
ための取組について
○ 県では、ニート、ひきこもり、難病患者等働きづらさを抱える人の働く場を
創出し、社会からの孤立や貧困といった課題の解決を図るため、「ワークダイバーシティモデル事業」による就労支援に取り組んでいる。
この事業の実施に当たっては、県だよりやLINE、✕などの各種広報媒体を活用
して広く周知するとともに、県や市の生活困窮者自立相談支援機関、ひきこもり
地域支援センター、ハローワークなど、日頃から県民の方々の相談に対応
している関係機関からこの事業の利用が効果的と見込まれる方を紹介いただく
ことで、支援に繋げてきたところである。

問 モデル事業の成果について
○ この事業では、普段から障がいのある方と接している就労移行支援事業所が、
利用者お一人おひとりの特性や体調等に合わせ、
・訓練メニューの提供や訓練日時の設定
・生活リズムの改善や対人スキル向上の支援
・適性に合った職場探し
など、そのノウハウを活かしたきめ細かな就労支援を行っている。
○ 事業を開始した令和4年9月から今年10月までにモデル事業による支援
を受けた方は73名であり、このうち、一般企業に就職した方が14名、就労系
障がい福祉サービス事業所に繋がった方が14名となっている。
また、継続して支援を受けている方が36名、自己都合により支援を終了し
た方が9名おられる。
○ これまで、既存の支援制度で対応が困難であった方を、このモデル事業により
受け入れ支援できたこと、就労移行支援事業所を活用した支援により、一般
企業への就職や障がい福祉サービス事業所に繋がったことは、このモデル事業
の大きな成果であると考えている。


問 障がい者の短時間雇用について
○ 県では、障がい者雇用率制度の見直しにより、週の労働時間が10時間以上
20時間未満の短時間雇用についても、雇用率の算定対象となったことを受け、
今年度から、障がい者雇用に精通した求人開拓員による、短時間求人の掘り起こしに取り組んでいる。
求人開拓員が県内企業を訪問し、業務内容を聞き取り、細分化し、切り出す
ことにより、今年10月までに207件、384人分の短時間求人を開拓して
いる。
○ また、外出困難な重度の障がいのある方の短時間就労の可能性を探るため、
分身ロボット「オリヒメ」を活用した就労実証に取り組んでいる。
今年9月から先月までは、JR九州のご協力のもと、JR吉塚駅のみどりの
窓口において実施し、今月20日には、私も現地での実証に参加を予定している
が、今月から来年2月まで、西鉄グループ会社のご協力のもと、マリンワー
ルド海の中道のレストランにおいて館内の案内業務の就労実証を実施する。
○ このような新たな取組にも積極的にチャレンジし、障がいのある方の働きた
いという希望を一人でも多く実現できるよう、引き続き、きめ細かに支援を行ってまいる。

(要望)
働きづらさを抱える人への就労支援について、知事に要望です。
 知事からモデル事業の成果について答弁いただきましたが、日本財団からの助成は令和7年3月末に終了すると聞いています。ある就労移行支援事務所の所長は、「同事業は大変に有効であり、継続すべきであるが、今後どうなるのか?」と懸念する声が寄せられています。現在、就労支援中の方もいます。来年4月以降の支援をどうするのか早急に検討するよう要望します。
 また、日本財団は3年間の実証を経て、国に対して制度化の提案をされるようですが、実際に制度化されるのかどうかわかりません。県として実証結果を検証され、何らかの形で働きづらさを抱える人への支援が継続できるよう強く要望し、公明党の代表質問を終わります。ご清聴、ありがとうございました。 


全国の自治体で初 プレコンセプションセンター開設

2024-08-12 09:10:34 | 議会通信
23年2月議会で提案したプレコンセプションセンターが開設、若いカップルの相談に応え、中長期的には、少子化対策として今後期待が高まります。
どのような意義があるのか、参考までに23年2月23日、23年2月代表質問(考案 大塚)を添付します。

次に、プレコンセプションケアという言葉を御存じでしょうか。コンセプションとは英語で受胎、つまり新しい命を授かる妊娠のことで、プレはその前、妊娠前のケアのことで、若い女性やカップルに対して、妊娠や出産に関する知識などを伝え、健康意識を高めてもらう取組です。妊娠、出産には様々なリスクがあります。例えば晩婚化が進む中、三十代後半以降の高年齢になるほど不妊や流産の割合は上昇するとされ、体の状態や病気、生活習慣も妊娠中の合併症や出生児に大きく影響を及ぼし、妊娠が判明してからでは対応が難しくなる場合も多いと言われています。あくまで妊娠を希望するかは個人の自由ですが、プレコンセプションケアにより早い段階から適切な知識を得て、健康で質の高い生活を送ることは、人生の選択肢を広げ、妊娠、出産時や次世代の子供のリスクを下げることにつながります。こうした重要性から二〇〇六年にアメリカのCDC(疾病対策センター)が、一二年にはWHO(世界保健機関)が推奨、日本では二一年二月に成育医療等基本方針で定義され、対策が始まっています。国立成育医療研究センターの荒田尚子診療部長は、日本は妊産婦や新生児の死亡率が諸外国に比べ低いが、晩婚化や肥満、痩せ型の増加、子宮頸がんの検診率の低迷など課題が多い。同ケアを母子保健だけでなく、教育や医療等幅広い分野で進めることが重要であると指摘しています。
 そこで質問します。知事にプレコンセプションケアについての認識を伺うとともに、若い世代の男女に対して、健康な生活習慣の維持、妊娠、出産に関する正しい知識や情報の普及を行うなど、プレコンセプションケアに福岡県としてどのように取り組まれるつもりか、お伺いいたします。

(知事答弁)次に、プレコンセプションケアについてでございます。男女を問わず、若い時期から将来の妊娠のための健康管理を促しますプレコンセプションケアに取り組むことは、安心、安全で健やかな妊娠、出産、産後につながりますことから、重要であると考えます。県では毎年、妊娠、出産に関する正しい知識を普及しますため、若者向けのリーフレットを作成し、県内全ての高校二年生に配付をいたしております。また、昨年三月にLINEアカウント、性とからだのヘルプブックふくおかを開設し、無理なダイエットが不妊の原因にもなることなど、若い時期から知っていただきたい情報を発信しますとともに、不安や悩みを抱える若者を円滑に相談につなぐ取組を実施いたしております。今後は、こうした取組を継続して実施するとともに、将来の妊娠のための健康管理を促し、より早い時期からの正しい知識の普及を図りますため、養護教諭等を対象としたプレコンセプションケアに係る研修を実施してまいります。


広がるフードバンク

2024-06-27 14:07:35 | 議会通信


本日の公明新聞に掲載されました。
引き続き、フードドライブ(家庭で余った食品の寄付をしてもらう)に取り組んで参ります。

6月定例会 一般質問

2024-06-15 22:27:05 | 議会通信

昨日、調査をもとに一般質問を行ないました。
1. 強度行動障がいのある方の支援について
2. 医療的ケア児者の支援について
3. 学校管理下で発生した子どもの事故について

公明党の大塚勝利です。通告に従い、はじめに、強度行動障がいのある方の支援について質問します。
自閉症や重度の知的障がいによって自傷他害行為等が高い頻度で起こる強度行動障がいのある方の支援について、令和4年12月議会代表質問で質しましたが、その後多くのご家族からご相談があり、支援の必要性の高さがうかがえます。
知事の答弁の中で「国において強度行動障がいのある方の支援に関する検討会を立ち上げ、全国的に把握するためのルールに関する検討が始まっているところ」とし「強度行動障がいのある方への支援には、支援者の高い専門性と、落ち着ける空間の確保などの環境面での配慮が必要」と答弁されました。

その後、国においても強度行動障がいにおいて、環境調整が状態の改善に有効であるとし、令和6年度報酬改定で施設入所や生活介護に加え、グループホームについても環境調整を取り入れた初期のアセスメントへの報酬上の評価が盛り込まれたところです。
こうした国の動きを受けて、支援者の高い専門性、環境面での配慮など、強度行動障がいの方への支援体制を充実させる必要があると考えます。

先般、私は、強度行動障がいの入所型施設「志摩学園」を視察しました。同施設には強度行動障がいの方が50名、障害区分は平均5.9と重い方を受け入れ、専門病院が満室で入院できない方や他の施設を断られた方を受け入れており、県内には同様の施設はありません。
個室の壁はけ破られ、二人で抱えていないとトイレの水を飲んだり、異物誤えんの恐れがある等、特別な対応をとらねばならず、入所者の生活介護を行う生活支援員は不足し、また医療機関との連携など多くの課題を伺いました。定員は常に満員で、待機者は約50名、問い合わせを入れればそれ以上で、どこにも行き場がない方が潜在しており、ご本人、ご家族、施設事業者への適切な支援が必要であることを痛感したところです。
他にも、支援員のノウハウが不足しているため、重度の強度行動障がいのある方が入所を断られるケースがあると聞いています。

そこで質問です。県内の強度行動障害のある方の人数や、施設の受入状況を把握されているのか。県は今後、強度行動障がいの方の受け入れが進むよう、どのように取り組まれるのか、知事の所見を求めます。

次に、医療的ケア児者の支援について質問します。
先日、福岡市博多区にある社会福祉法人あきの会「虹の家」を親の会の代表と視察しました。同法人は重症心身障がい者の親たちから短期入所の受け入れ先がないとの悲痛の訴えに応えるため、平成26年に療養介護事業所を開設。乳幼児から成人まで医療と福祉の一体的な提供により多くの重度者の地域生活を支えています。現在68床で、56床を長期入所、12床を医療型短期入所の単独病床とし、長期入所に空きがあれば短期で受け入れ、ショートだけで一日14~15床、ショート受入れは日本一です。
それでも昨今入所希望が多く、断らざるを得ない状況とお聞きしました。
福岡市だけでなく近郊からの利用者も多く、重症者の割合が3割、生活介護も区分5,6が中心と近年重症者が多くなっています。

本県ではこれまで、重症心身障がい児者の実態調査を実施し、その結果、母親の負担が大きく、ご家族が短期入所を希望しても受け入れ先がなかったことから、圏域ごとに医療機関に加え、老健施設を活用するなど受け入れ先を拡充してきたところです。
令和5年度医療資源調査結果によると、県内の医療機関で診療を受ける20歳未満の医療的ケア児数は1,307人と推測され、令和2年度の調査773人と比較し、算出方法が異なる為留意が必要ですが、医療的ケア児は増加傾向にある中、医療資源の整備が急がれます。
以下現場の声から3点質問します。

問1.昨今、施設、圏域によって短期入所を希望しても受け入れ先がない状況をお聞きしました。理由として、施設によってそもそも短期用のベッドが少ないこと、新規の受入れはリスクを伴うこと等が考えられますが、県として現状をどのように認識されているのか、受け入れが進むようどのように対応されるのか知事の見解を求めます。

問2.親の会から、NICUから在宅に移行後、病状が悪化した時の相談先や乳幼児の医ケア児を受け入れるところがないとの不安の声や、施設からも乳幼児受け入れの問い合わせが多いと伺いました。在宅移行後に受入や相談を受ける医療機関が不可欠です。
また、介護する家族の負担軽減レスパイトも必要です。本県では在宅移行後に受け入れる医療機関を確保するため、どのような取り組みがなされているのか伺います。また、一時的に預けることができる医療機関を確保するため、これまで取り組んできた医療型短期入所や小児慢性特定疾患児等レスパイト支援事業に加え、どのように取り組まれているのかお伺いします。

問3.次に、障がい者施設の一番の課題は、受入れを増やしたくても人手が足りないこと、福祉人材の確保です。昨今、社会福祉士など福祉系の分野で学んだ学生が他業種へ流出していることが課題となっており、それらの学生を福祉へ呼び込む取り組みが重要です。
福祉分野で学んだ学生の確保に向けて知事の見解を求めます。 

問4,この項の最後に、医療的ケア児の学校への送迎について教育長に伺います。令和3年9月医療的ケア児支援法の施行を踏まえ、北九州市では肢体不自由特別支援学校に通う医療的ケア児のうち、スクールバスの利用が困難な児童生徒を対象に希望された方へ、令和5年7月から看護師が同乗する福祉タクシーによる通学支援を週に数回実施し、家族の負担軽減にもつながっています。本県では、令和3年9月議会で教育長から、「適切な通学支援の在り方について研究を進めてまいりたい」との答弁がありました。
そこで質問です。研究の結果を踏まえ、通学バスの利用が困難な医療的ケア児の通学支援について教育長の見解を求めます。

次に、学校管理下で発生した子どもの事故について教育長に伺います。
学校管理下での事故に見舞金などを支払う日本スポーツ振興センターのデータベースでは、2013年から2022年の10年間に学校での重大事故で亡くなった子供は全国で538人、何らかの障害が残った子どもは3,745人に上っています。

NHKがデータをAIで解析したところ、①中学、高校での体育の授業での心臓系突然死、②窓からの転落事故、③ゴールポスト等の下敷きになっての事故、④低学年に見られるミニトマトや白玉だんごなど詰まらせた給食中の窒息死など、ある地域では数年に一度でも、全国で見れば毎年のように同じような事故が繰り返されており、教訓が十分に生かされていない実態が明らかになりました。

また、名古屋大学の内田良教授や子どもの安全研究グループの専門家の方は学校で起きている事故はコピペ事故のようなものとし、子供の事故は新しいものはなく、どこかで起きた事故の繰り返しであるとしています。同じような事故が繰り返し起きる理由は、一つは、学校の安全管理が専門家でなく教職員に委ねられており、再発防止には欠かせないはずの調査が十分に行われていないこと、もう一つは、自治体間の情報共有の難しさであると指摘しています。

こうした学校での重大事故をなくそうと文部科学省は2016年に「学校事故対応に関する指針」を策定し、重大な事故の際には学校が調査を実施し、必要に応じて調査委員会を立ち上げて詳細な調査を行い、国に結果を報告するよう求めていました。

しかしながら、新聞報道によると、日本スポーツ振興センターの災害共済給付制度により見舞金などが支払われた小中高校などでの死亡事故は、2016~2022年度の7年間に少なくとも全国で456件あったところ、同期間にあった文部科学省への報告は141件であり、約7割が未報告であったとのことです。こうしたことから、今年の2月に文部科学省は指針を改訂し、学校事故の報告の徹底を図ったところです。

そこで教育長へ質問です。
問1、まず、改訂前の旧指針では、どのような事故を文部科学省へ報告するようになっていたのでしょうか。併せて、指針が策定された平成28年度以降、旧指針に基づき県教育委員会へ報告された死亡事故は何件なのか、また県教育委員会へ報告された重篤な事故はどのようなものがあったのか、お伺いします。

問2、次に、学校で事故が起こった際には、教職員が躊躇なくAEDを使用する等、適切な心肺蘇生法を身に付けておくことや、子どもたちも将来対峙するかもしれない緊急時のために、心肺蘇生に関する基礎を中高生の段階から学んでおく必要があると考えます。そこで、公立学校の教職員を対象とした、AEDを用いた心肺蘇生法に関する講習会の開催状況と、公立学校の生徒における応急手当に関する学習内容について教育長にお伺いします。

問3、この項の最後に、今年の夏も全国的に気温が高いと予想されており、これからの時期、熱中症事故が大変心配されるところですが、NHKの報道によると、2005~2021年度の17年間で、全国で21人が部活動中に熱中症やその疑いにより死亡、また、屋外での授業中や登下校中等の学校管理下においても熱中症が発生しているとのことです。そこで、お伺いします。
公立学校において熱中症事故を防止するため、どのように取り組まれるのかお伺いします。また、改訂された指針の内容を踏まえ、学校での事故を減らすために、県教育委員会としてどのように取り組まれるのか、教育長にお伺いします。

以下、知事、教育長の答弁骨子です。
一-①
問  強度行動障がいのある方の状況及び今後の取組について

○  昨年度、県が実施した市町村への調査では、障がい福祉サービスを受けて いる人で奇声や自傷といった行動が高い頻度で起こる強度行動障がいのある方は、約3,300人おられ、そのうち約2,300人がグループホーム等に入所している。
○ 県では、グループホーム等が強度行動障がいのある方に対し、適切な支援 を行うことができるよう、今年度から「強度行動障がい支援コーディネータ ー」を福岡地域の発達障がい者支援センターに配置し、グループホーム等に 対して、
・ 行動障がいの原因分析の方法
・ 一人ひとりの特性に応じた支援
・ 落ち着いて生活できる環境の整え方
等に関し助言を行うこととしている。
○  また、これまでの座学による支援者養成研修に加え、新たに県内2か所の 施設において、グループホームの中核職員を対象とした実地研修を行うこととしている。
より効果的な研修とするため、実施に当たっては、障がい者施設、医療機 関、支援団体等で構成する協議会を立ち上げ、効果的な支援方法、支援員の専門性の向上、環境面の必要な配慮など、その内容について協議することとしている。
これらの取組によりまして、強度行動障がいのある方の受入れを進めてまいる。

二-①
問 医療型短期入所事業所の現状について
○  県内では、現在、37の医療機関等で医療型短期入所事業を実施しており、一昨年度の実績では、延べ約4, 300人が利用しているところである。
利用者が希望する地域で、必要な時にサービスを受けることができるよう、 受入れ施設を増やすことが望ましいと考える。
○  県としては、医療型短期入所事業への理解を進めるため、実施を検討して いる医療機関を個別に訪問し、事業の内容、サービスに係る報酬額、事業所 指定の手続き等について説明を行っているところである。
○ また、医療的ケア児者への対応に不安があるとの声を受け、医療機関等の 職員を対象に、医療的ケア児者とのコミュニケーションの取り方や保護者への支援方法、喀痰吸引・誤嚥ケアの技術等を習得する実践的な研修を行っている。
これらの取組により、実施事業所が増えるよう努めている。

二-②
問  在宅移行後に医療的ケア児を受け入れる医療機関の確保について
○  県では、NICU等からの在宅移行後に病状が悪化した医療的ケア児を受け入れるため、あらかじめ専用の病床を確保した医療機関を「小児等地域療育支援病院」として指定している。
昨年度、福岡地域の2つの医療機関で4床を確保し、今年度中に残る3地域でも5つの医療機関で10床を加えて、合計7医療機関・14床を確保することとしている。
○  一時的に預けることができる医療機関については、御家族の負担軽減を図るため、議員ご指摘の既存のレスパイト事業に加えて、昨年度から、既存事業の対象から外れている医療的ケア児を受け入れる病床を確保している。
昨年度、県内4地域の4医療機関で12床を確保し、今年度中に1医療機関を加えて、合計5医療機関 ・13床を確保することとしている。
○  これらの取組を通じて、引き続き、医療的ケア児の在宅移行後の受入れや、 御家族の負担軽減に取り組んでまいる。
二-③
問  福祉人材の確保について
○  少子高齢化や世帯構成の変化等により、福祉サービスヘのニーズはますます増大しており、福祉人材の確保は喫緊の課題である。
  このため「福岡県福祉人材センター」において、福祉分野の就職支援専門 員が行う無料の職業紹介や、就職面談会などを実施し、福祉人材の確保に取り組んできたところである。
○  今年度からは、福祉を学ぶ学生の他分野への流出を防ぐため、新卒採用に係る広報活動が解禁される3月に合わせて「福祉の就活フェスタ」を実施してまいる。より多くの学生に参加していただくため、福祉系の学科を持つ県内の大学等を訪問し、学生に直接周知することとしている。
○  就活フェスタでは、参加した法人による職場の魅力のPRとインターンの 受付、福祉人材センターの就職支援専門員による自分に合った職場を探すためのアドバイスなどを実施することで、学生の福祉分野への就職意欲の向上を図り、福祉人材を確保していくこととしている。

ニ-④
問  通学バスの利用が困難な医療的ケア児の通学支援について
(教育長答弁)
○ 昨年度、通学バスの利用が困難などの理由で保護者が送迎している医療的ケア児の数は110名となっている。県教育委員会において、通学支援に関する他県の取組状況を調査したところ、昨年度は、試行も含め15都府県で実施中であり、主な方法としては福祉タクシーに看護師を同乗させる形態で通学支援を実施している。
○ 実施している県の課題としては、費用面に加え、看護師や福祉タクシーな どの車両の確保が困難であること、当日の体調不良によるキャンセルが多く、キャンセル料などで予算の見込みが立たないこと、車中での体調急変時の対応などがある。
○ 今後、これらの多くの課題を踏まえ、医師、弁護士、保護者等で構成される医療的ケア体制整備事業運営協議会において、医療的ケア児の通学支援の在り方について研究してまいる。
三-①
問  改訂前の「学校事故対応に関する指針」における事故報告について
  (教育長答弁)

○  平成28年3月に策定された指針では、校内や登下校中に発生した児童生徒の死亡事故について、国まで報告することとされていた。
  また、死亡までは至らない長期の治療を要する重篤な事故については、国 への報告は求められていないが、県教育委員会までは報告することとされて いた。
○  この指針に基づき報告された死亡事故は、学校内の事故が4件、登下校中の事故が3件の合計7件である。
また、休み時間に児童同士が接触して骨折した事例や、運動中に靱帯を損傷した事例等が、長期の治療を要する重篤な事故として県教育委員会へ報告 されている。
○  なお、児童生徒の自殺や学校給食における食物アレルギー事故については、個別に指針が整備されていることから報告対象からは除かれており、改訂後の指針においても同様となっている。

三-②
問  AEDを用いた心肺蘇生法の講習等について (教育長答弁)

○  県教育委員会では、毎年、各学校の初任者や学校安全の担当者を対象に、 AEDを用いた心肺蘇生法に関する実技研修会を実施している。
併せて、各学校で行う校内研修においても、消防署等の協力の下、同様の 研修を実施している。
○  また、生徒に対しては、AED等を用いた心肺蘇生法について保健体育科 の学習指導要領に明記されており、各中学校 ・高校において実習などを通した指導を行っている。

三-③
問  熱中症を含む学校事故の防止に向けた取組について (教育長答弁)

○ 県教育委員会では、学校事故の防止に向け、毎年、学校安全の充実に関する通知を発出するほか、各種研修会での指導や、施設設備の安全点検などの実態調査等を実施している。
○ 特に熱中症については、市町村教育委員会及び学校等に対し、児童生徒の こまめな水分・塩分補給や、暑さ指数等を活用して必要な場合には躊躇する ことなく計画の変更・中断を行うことなど、適切な措置を講ずるよう通知し ている。
また、保健主事研修会等において、熱中症の起こる状況や症状と、これを 防止するための具体的な方策について指導を行っているところである。
○  今後、類似の事故を防止するためには、学校間・市町村間の事例の共有が 重要である。
新たな指針においては、この点に鑑み、国への報告対象に、意識不明など 死亡に至らない重大な事故が追加されたほか、県に報告された事案についてその原因・傾向、再発防止策等を取りまとめ、周知することとされた。
県教育委員会としては、本県の事案や国から提供される具体的な再発防止策などを各種研修会の場において積極的に周知するなど、学校事故の未然防止に一層取り組んでまいる。

代表質問から SNS特殊詐欺等について

2024-06-14 13:51:55 | 議会通信
代表質問で、警察問題を担当しました。

次に、警察本部長に質問します。
SNS型投資詐欺、ロマンス詐欺急増について、警察庁は、1-3月のSNS型投資詐欺、ロマンス詐欺の被害額が280億円に上り、前年同月比の4.5倍に急増したと発表しました。SNS型投資詐欺の被害件数は1,700件で約6倍、被害額は前年同期比の29億円から7.5倍の219億円、ロマンス詐欺も件数、被害額ともに前年同月比の2倍に増加と報じています。投資詐欺では、フェイスブックなど著名人などの画像を無断使用する広告から誘導し、成り済ましや信用させる手口など巧妙化し極めて深刻な状況です。あらゆる媒体を使い悪質な手口を県民に周知させ、注意喚起を促すなど対策を強化すべきです。全国では広域で犯罪を続ける詐欺グループを警察の総合力で摘発強化する「特殊詐欺連合捜査班」を、県警本部では組織犯罪捜査課を立ち上げましたが、一向に減る気配がありません。本県の詐欺被害の現状とその対策、撲滅へ向けての県警本部長の決意をお聞かせください。

八-①
問  SNS型投資許欺及びロマンス詐欺の対策等について (警察本部長答弁) 
○  これらの詐欺は、SNS等を通じて被害者と対面することなく、投資や
結婚に興味を抱かせながら関係を深めて信用させ、インターネットを利用した振込み等の方法により金銭をだまし取るものであり、昨年下半期から全国的 に急増している。
○  本県においても、本年4月末時点で、認知件数が210件、被害額は23億4千万円を超えるなど、全国と同様に極めて憂慮すべき状況にある。
○  対策の柱は、「予防と検挙」である。
○  予防については、何よりも被害に遭わないことが第一であることから、
・ 「絶対儲かる」や「元本保証」の表示がある投資話は許欺である
・ 著名人の名前や写真が使われたネット上の広告や、恋愛・結婚を匂わせてお金を要求するSNS上のやり取りは詐欺を疑う
 といった注意点を啓発することと併せて、
・ 不審なメッセージを遮断する携帯電話の設定変更の促進
・ 家族や周囲の人からの注意喚起
など、県民の皆様に向けた情報発信のほか、金融機関への働き掛けなど被害 に遭わないための諸対策を鋭意推進しているところである。

○  検挙については、今春に新設された組織犯罪捜査課を中心に、サイバー犯罪対策課、国際捜査課等と部門横断的な対策を推進している。
○  また、捜査対象が県内に止まらないため、各都道府県警察に設置された特 殊詐欺連合捜査班を活用して、全国警察が一体となった捜査を展開している ところである。
○  県警察としては、広く県民の皆様へ情報発信を行うほか、県や金融機関を はじめとする関係機関とも連携して、被害に遭わないための対策を強化する とともに、部門間や都道府県間の連携による効果を最大限に発揮して、これ ら詐欺に係る被害実態や犯行手口等を解明し、犯罪グループの検挙・壊減と その犯罪収益の剥奪に向け、予防と検挙の両面から、各種対策を強力に推進してまいる。



代表質問から 高校での特別支援教育について

2024-06-14 13:45:02 | 議会通信
今回代表質問で、教育については担当しました。

高校での特別支援教育
次に、高校での特別支援教育について伺います。小・中学校などで通級、特別支援学級の対象者数はこの10年間で約2.6倍の24,444人となっており、年々増加しています。
令和5年3月に公立中学校を卒業した生徒について、通級指導を受けていた生徒285名の主な進路先は、全日制公立高校75名、全日制私立高校138名、特別支援学校高等部1名となっています。
また、特別支援学級の生徒1,562名の主な進路先は、全日制公立高校203名、全日制私立高校398名、特別支援学校高等部408名となっております。
このように高校でも支援が必要な生徒が増加しており、その対策は急務です。以前は中学卒業後の障がいのある生徒の学びの場は、主として高校の通常学級又は特別支援学校高等部に限られていましたが、平成30年度に高校における通級指導が制度化されたところです。
1. そこで教育長にお尋ねします。現在、通級による指導がどのように行われているのか。支援を必要とする生徒に十分対応できているのか伺います。

2. 次に、高校では特別支援学級は制度化されていないが、中学校で特別支援学級に在籍していた生徒が県立高校に進学した場合、どのような支援を行っているのか。支援を必要とする生徒に十分対応できているのか、お伺いします。

3. 次に、私立高校での支援について知事にお伺いします。通級による指導を受けた令和5年3月中学卒業者で全日制の私立高校へ進んだ生徒は約48%を占め、特別支援学級卒業者では約25%で、本県では私立への進学も多くなっています。ちなみに特別支援学級で学んだ生徒で通信制高校を選択された生徒は375名で約24%となっています。
そこでまず、全日制の私立高校において、特別支援教育を必要とする生徒を受け入れている学校数と、その学校がどのような取り組みを行っているのかお答えください。また、本県は、全日制の私立高校において特別支援教育が進むようどのような支援を行っているのか、知事にお伺いします。

4. 今後も、障がいがあり支援が必要な子どもが高校で学ぶことが予想されます。障がいのある子どもとない子どもがともに学び、ともに育つインクルーシブ教育の推進のためには、支援が必要な子どもに対して、小中高と切れ目のない支援をすることが必要と考えますが、教育長のご所見をお伺いします。


問 県立高校における通級による指導について (教育長答弁)
○ 県立高校においては、平成30年度からひびき高校、博多青松高校、明善高校、嘉穂東高校を拠点校として実施し、さらに、昨年度から西田川高校、大牟田北高校においても、拠点校から教員を派遣するサテライト方式で実施している。
○ 通級指導は、原則として週に2時間程度、生徒1名につき教員1名で個別指導を実施している。
○ なお、昨年度、通級指導を受けた生徒は99名であり、専任教員14名、非常勤講師5名で指導にあたっている。
   また、担当教員に対しては研修会を実施し、専門性の向上を図っており、 通級指導が必要な生徒のニーズに対応できていると考えている。

七-②
問 県立高校における特別な支援を必要とする生徒への対応について (教育長 答弁)
○ 県立高校では、生徒個々に支援計画を作成し、生徒のニーズに応じた支援に
取り組んでおり、医療的ケアを行う看護職員、介助・学習支援を行う特別支援教育支援員の配置、通級による指導などを実施している。
○ また、校内体制としては、全校で特別支援教育コーディネーターを指名し校内委員会を設置している。
さらに、県教育委員会では高校における特別支援教育に関して、巡回相談 など医療、福祉、教育の専門家が指導・助言を行う仕組も導入している。
○ 今後もこのような取組の充実により、特別な支援が必要な生徒に対応して まいる。

七-③
問  全日制の私立高校における特別支援教育の状況について
○  特別支援教育を必要とする生徒の受け入れは、中等教育学校を含めた県内60校のうち26校で行われている。
○  これらの高校では、対象生徒の受け入れ体制として、全校的な支援方策を 検討・共有する校内委員会の設置、校内の教職員や校外の専門家との連絡調整を行う特別支援コーディネーターの配置を行っている。
○ 50名以上の生徒を受け入れている5校によると、
・ 長年、毎年多数の対象生徒を受け入れる中で、それぞれの教員が身に付けた経験による障がいの状態に応じた指導
・ 生徒の状況を共有し、きめ細かな指導を行うための複数担任制の実施
・ 関係教員による個別生徒毎の支援会議の開催
・ 障がいの状態による習熟度別や少人数の学級編成
 など、各学校の状況に応じて、それぞれ特色ある特別支援教育が行われている。




介護職の人材確保へ

2024-06-09 14:01:39 | 議会通信


3月県議会予算委員会で質疑を行なった案件について、厚生労働省の対応、介護人材の確保について、下野参議院議員とともに調査に伺いました。
引き続き、要望にお応えすべく取り組んで参ります。


強度行動障がい者支援について秋野参議院議員と視察調査

2024-05-15 14:13:19 | 議会通信


強度行動障がい者支援について、志摩学園に秋野参議院議員と視察調査に伺いました。
当事者、ご家族、支援者に寄り添うながら、本県で支援策がさらに広がるよう取り組んで参ります。

予算特別委員会 知事保留質疑「地方創生」について

2024-03-25 16:12:30 | 議会通信
3月19日、予算特別委員会 知事保留質疑で、「地方創生」について質問しました。(答弁はあくまで骨子です。)

わが国は少子高齢化が急速に進行する中、この数年間で少子化傾向を反転させる最後のチャンスととらえ少子化対策に取り組んでいます。本県においてもこれまでの取り組みに加え、出産・子育て安心基金を活用し、出産・子育て施策の充実強化に全力を上げているところです。一方、これまで社会増、社会減に着目し、東京、神奈川など1都3県の東京圏への過度の集中を是正し、地方において活力ある地 域社会を実現する地方創生に、国とともに本県でも総合計画と一体的に策定した 「地方創生総合戦略」に取り組まれてきました。

しかしながら、昨年12月、国立社会保障・人口問題研究所が公表した地域別将来推計人口調査では、2050年の総人口は2020年に比べ17%減少、東京都を除いた全ての道府県で減少し、11県では3割以上減少すると予測、東京一極集中 は、人口減に拍車をかけ、社会の持続性にとってもマイナスです。人口減少による 地域の衰退をどう食い止めるかが喫緊の課題です。

さらに、先の2款 総務費の質疑で答弁があったように、総務省の住民基本台帳人口移動報告によると、本県の人口は昨年、県全体で転入超過も、福岡市1市が突 出した転入超過、年代別では唯一20代が転出超過、かつ東京圏が最大の流出先 となっており、安閑としては、いられない状況と考えます。

Q1. まず、この東京圏への転出超過の状況について、どう見ておられるのか、知事の認識をお伺いします。

【 答弁 】

問 1  東京圏への転出超過の状況に対する知事の認識について

○   「令和5年住民基本台帳人口移動報告」によると、本県は昨年、全体では4, 387人の転入超過になっている。

○   しかし、全年代を通じて唯一、20代は3,085人の転出超過となっており、これを地域別にみると、九州各県との間では、3, 540人の転入超過である一方、東京都、神奈川県など1都3県の東京圏に対しては、6,394人の転出超過となっている。

○   国が実施した意識調査では、地方圏から東京圏へ移動した理由として、 20代前半では就職や進学との回答が多く、20代後半では転勤、転職など が多くなっている。
また、東京圏への移動の要因として、大企業が集中していることや、専門 的、技術的な職業、情報サービス業など、大学卒業者等の就職する割合が高 い仕事が多いことが考えられるとの分析がなされている。

○  こうした就職や転職等による、東京圏への転出超過を是正することは、人 口減少に歯止めをかけるうえで、重要な課題であると考えている。


知事が答弁されたように、若者世代が東京圏へ転入している理由は進学と就職です。東京圏は住居費も高く、通勤時間も突出して長く、低出生率が続いています。 一方、地方は通勤時間が短く、保育所の待機児童はゼロに近くなっています。
福岡県には働く場は数多くありますが、それにもかかわらず、東京圏を選択する若者は、 働く「質」を求めて、魅力的な仕事が集まる東京圏に流入するのではないでしょうか。先の総務省の報告をみても、本県の転入超過では突出している福岡市でさえ、20代の女性では、東京圏に対しては大幅な転出超過(1,415人)となっており、 これは全国の市町村で3位と大きな供給元になっています。こうした東京圏への若者世代、特に若い女性の流出は、わが国全体の出生率や人口動向に大きな影響を与えてきました。
若者が自分の能力を発揮できる雇用の場をつくること、就職、働き方の問題は、地方創生の課題の一つであると思います。
一方、先の委員会質疑でふくおかよかとこ移住相談センターを利用した移住者の状況は、30代の子育て世帯が約5割と割合が高いことから、子育て環境を充実することが、若者世代を呼び込む鍵ではないでしょうか。

Q2. そこで質問です。本県では地方創生に全庁挙げて取り組みを進めていま すが、特に女性も含めた若い世代に福岡県が選択される対策が重要であり、東京圏への流出に歯止めをかけることにもつながります。 地方創生に今後どのようにどう取り組まれるのか、知事のご所見をお伺いします。


問 2  若者世代の東京圏への流出に歯止めをかける地方創生の取組について

○  地方創生の実現には、若者が自分の生まれ育った地域で、また、進学等に より県外に転出した方も、夢と希望を持って、福岡県に戻り、職を得て、活躍できること、そして、これらの方々が結婚し、希望どおりの数のお子さんを持ち、地域で安心して生活ができること、こうしたことが何よりも重要である。

○  そのためには、各地域の経済と雇用を支える中小企業への支援をはじめ、 国内外からの企業誘致を戦略的に進めるための産業団地の造成や産業基盤となる基幹道路の整備、地域の基幹産業である農林水産業の振興、幅広い産業に波及効果の高い観光産業の振興などを進め、県内各地に魅力ある雇用の場を創出していくことが重要である。

○  また、子育て世代にあたる30代から40代は2,518人、これらの世代の子どもにあたる14歳以下では1,682人の転入超過となっている。
本県のふくおかよかとこ相談支援センターを活用した移住者についても、30代
が一番多くなっている。

○  こうした子育て世帯の移住の流れを確かなものとしていくためには、雇用 の場の確保と同時に、出会い、結婚、出産、子育て支援をはじめ、医療・福祉サービスや教育の充実、地域公共交通の維持・確保など、生活環境を向上させ、住みたいと思ってもらえるような街づくりを進める必要がある。

○  また、委員ご指摘の、若い世代の女性の転出に対処するためにも、これま で女性の働き手が少なかった、IT、 建設、地域公共交通、テクノロジー分野などにおいて、女性が活躍できる就業の場を広げるとともに、起業などに チャレンジする女性への支援を強化していく。そのことと同時に、女性が安 心して働き、活躍できるよう、多様で柔軟な働き方を推進し、仕事と生活が 両立できる環境を整備していく。


○   このような考えのもと、市町村ともしっかりと連携して、地方創生の実現 に向け全力で取り組んでまいる。


予算特別委員会 介護分野の委託訓練について質問

2024-03-25 16:10:12 | 議会通信
予算特別委員会で、介護分野の委託訓練について市民相談をもとに質問しました。(答弁はあくまで骨子です。)

介護関係職種の令和4年の有効求人倍率は、3.71となっており、全職種の1.16に比べ人手不足の状況です。介護事業者からも介護人材の確保は深刻との声を聞いています。介護職としてキャリア形成していくための重要な資格として「介護福祉士」があります。「介護福祉士」の受験資格を得るためには、3年以上の実務経験に加え介護職員実務者研修を修了していることが必要です。実務者研修は、国や県もより多くの方が受講できるよう取り組んでおり、受講時間数は450時間、受講期間は、約6か月で実施されています。今回はその中で、県が公共職業訓練として実施している介護分野の委託訓練について質問をします。

問1 まず、委託訓練とは何か説明願います。
(答)
1 県の公共職業訓練は、離職者や転職者、新規学卒者を対象に、県内7つの高等技術専門校で行う施設内訓練と、民間教育訓練機関などを活用して行う委託訓練があり、いずれの訓練も、受講に当たってはハローワークへの相談、申込が必要です。

2 このうち、委託訓練は、求職者の就業に対する適性や能力が様々であることや、雇用失業情勢の変動に応じて機動的・効果的に多様な職業訓練の受講機会を確保する必要があることから、国からの委託を受けて、県が民間教育訓練機関や団体等を活用し実施している職業訓練です。

問2 本県が行う委託訓練には、介護やIT分野など、求人が多く見込まれる分野において実施されていますが、プログラムやコース数、定員の設定はどのように行われているかご説明ください。また、昨年度の委託訓練全体のコース数、定員についてもご説明ください。
(答)
1 プログラムやコース数、定員の設定につきましては、地域のハローワークや企業・業界団体等へのヒアリングにより、求人ニーズを把握するとともに、求職者の応募・就職動向等を勘案しながら、国との協議のうえ設定しております。

2 また、昨年度の委託訓練のコース数は、全体で179コース、定員は4,104人となっています。

問3 介護分野の委託訓練について、直近3年間の受講者数の推移についてご説明ください。
(答)
1 介護分野の委託訓練における直近3年間の受講者数ですが、
  令和2年度は324人
  令和3年度は308人
  令和4年度は292人となっており、受講者数は減少傾向にあります。

問4 受講者数は減少傾向にあるとのことですが、なぜ減少しているのかお尋ねします。 
(答)
1 訓練の受講に当たっては、ハローワークへの相談、申込が必要ですが、雇用情勢の改善が進む中で、ハローワークへの就職相談や訓練に係る相談は、全体として減少傾向にありま す。
2 特に、介護分野については、待遇や勤務時間等の労働条件が希望に合わない、あるいは、すぐに就職したい等の理由により、訓練を希望する方が少なく、受講者も減少していると考えております。

受講者数の減少については、国の指定法人である「公益財団法人介護労働安定センター」が無料で実務者研修を実施していることも影響しているのではないでしょうか。
当該センターが令和5年度に実施した介護労働講習(実務者研修)は、本県での募集定員が44人で、研修期間は6月から11月の6か月間となっています。
多くの受講機会を提供することはよいと思いますが、このセンターが実施する研修も、委託訓練と同様にハローワークを通じて申し込む必要があります。
そこでお尋ねします。

問5 国と県の研修時期が重なることで、受講者が分散し受講者が減少していると聞いています。センターが実施する実務者研修と委託訓練の実務者研修との調整はなされているのでしょうか。
(答)
1 介護労働安定センターの実務者研修は、国の事業として、全都道府県において年1回実施されています。受講料無料で 離職者や転職者を対象としているため、委託訓練と同様、ハローワークへの申込が必要となっています。

2 委託訓練の実務者研修を実施するに当たり、今年度については、研修期間が一部重なった委託訓練で、受講者数が定員を下回ったことから、今後は、センターの実務者研修の実施時期を勘案しながら、訓練時期を計画してまいります。

 訓練期間が一部重なり、受講者が減少した事例もあったということでした。ぜひ、訓練時期が重ならないよう、また年間を通じて受講できるよう、訓練開始時期の検討をお願いしたいと思います。


問6 そのうえで、委託訓練の実務者研修も積極的に紹介してもらうよう、ハローワークに働きかけてはいかがでしょうか。


(答)
1 委託訓練では、求人情報の提供や就職相談などの就職支援も行っており、実務者研修修了者の昨年度の就職率は、93.2%となっております。

2 ハローワークに対しては、こうした高い就職実績を委託訓練の実務者研修の強みとして、積極的に求職者に紹介してもらうよう、引き続き働きかけてまいります。

 委託訓練では、応募者が、受託事業者の設定する最少受託可能人数を下回った場合には、訓練を中止することもできるとされています。委託費は受講者数に応じて算定されるとのことですが、実務者研修の受託事業者によると、受講決定後に辞退したり訓練途中でリタイアする人も多いため、結果的に受講者数が最少受託可能人数を下回り、実施経費が委託費で賄えず赤字になったことがあるそうです。
また、委託費の単価は国が定めているとのことですが、長年据え置かれており、実務者研修を実施するに当たっては、講師などの人件費の上昇や物価高騰など、事業者は大変厳しい状況にあります。
実務者研修を実施していた福岡市の事業者が1社撤退したとも聞いており、このままでは、介護分野の委託訓練を受託する事業者がいなくなるのではないかと大変危惧しています。

問7 介護分野に限らず結果的に最少受託可能人数を下回り実施経費が賄えないなど、こうした事業者の大変厳しい状況を県は把握されているのでしょうか。せめて最少受託可能人数分の委託費は事業者に保証すべきと考えます。また、委託費の単価についても見直す必要があると考えますが、県はどのように考えておられるのか伺います。
(答)
1 介護分野に限らず他の分野においても、委託訓練の受講中に就職が決まるなど、訓練の途中でやめる人があり、結果的に受講者数が最少受託可能人数を下回ったケースがあったことは承知しております。


2 また、委託費の上限単価については、10年以上据え置かれている状況であり、受託事業者へのヒアリングでも、物価等の上昇を踏まえた見直しを望む声がありました。

3 委託費等の諸条件は、国の委託訓練実施要領に定められており、県はこの要領に基づき実施する必要があることから、委託費の単価等については、国において検討されるものと考えております。

4 そのため、昨年9月に、厚生労働省に対し、本県の委託訓練の現状を説明したうえで、訓練開始後に最小受託可能人数を下回った場合の委託費の保証や、上限単価の見直し等について要望を行ったところです。

問8 公共職業訓練として実施している委託訓練において、実施経費を賄えないことは制度として如何なものか、と考えます。委託費単価の改定や最少受託可能人数
  分の委託費の保証について県としても検討すべきと考えますが、局長の見解をお聞かせください。
(答)
1 物価や人件費の上昇など社会経済が大きく変化している中、委託訓練の委託費の単価は長期間据え置かれたままとなっています。
 さらに、訓練の途中で就職等により訓練生が減少し最少受託可能人数を下回った場合について、訓練継続に必要な経費の保証はなされておりません。

2 委託訓練は、求職者の多様なニーズに応じた職業訓練を実施することにより、早期の就職を支援するものです。
  県は、国からの委託を受け、国の要領に基づき実施しているところであり、実施要領に定められた委託費の単価等の制度の見直しについては、国において検討されるべきものと考えております。

3 県としては、質の高い委託訓練を、求職者に安定的に継続して提供するためには、委託費の見直しと保証は重要であると考えております。
そのため、昨年9月に厚生労働省に対し要望を行ったところであり、引き続き、国に対し強く働きかけてまいります。
 
局長からも国に対し強く働きかけていくという答弁もいただきました。
 委託訓練は、国が雇用保険制度として実施している能力開発事業です。委託訓練の制度設計に当たっては、訓練の受講を希望する離職者や転職者の方がしっかりとスキルを身に付け就職に繋げていけるよう、受託事業者の安定した質の高い訓練が重要です。就業に向けた意欲のある人に、民間の力を活用して実施するものであり、くれぐれも受託事業者が訓練を継続することができないような状況とならないようしっかりと国に強く要望をしていただきたい。
これで質問を終わります。