温低の将棋でしょうか?

明鏡漏水。温帯低気圧ちゃんのとんちんかんブログです。小説書いてます。

続・温田変態ラボラトリー45

2009-02-27 21:16:56 | Weblog
麻衣子は本屋に来た。温田博士に言われた本を買いに来たのだ。

麻衣子 「めきら、めきら…あっこれね。うっ、何よこれ!」

めきらがエロ本だという事は知っていた麻衣子ではあったが、今、麻衣子の目の前にあるその本は、とても女性が手にとってレジに持って行けるような代物ではなかったのだ。

麻衣子 「うひゃー、困ったなあ~ こんなもん買ったら変態だと思われちゃうよ! でも買って帰らないと博士にリンチされちゃうし…」

麻衣子は辺りを見渡した。すると麻衣子の隣で『人妻生出しエロリポートSP』という書物に熱い視線を送る淋しそうな中年男子がいた。しかし、その男はいつまで経っても書物を見つめるだけで、それを手にしようとはしないのだ。

麻衣子 「あの、あなたはどうしてこの本を買わないの? 相当欲しそうなのに?」

男 「あんた、人妻かい? 」

麻衣子 「そうよ。籍は入れてないけどね」

男 「つまり内縁関係か。まあいいだろう。俺に声をかけてきたということは、逆ナンなんだろ? さあ、行こうか」

男は麻衣子の腕をつかみ、表に停めてあった車に押し込んだ。

麻衣子 『えっ、えっ、あたしは代わりに、めきらをレジに持って行ってもらいたかっただけなのに!』

男は車を走らせながら言った。

男 「夢はあきらめずに追いかけ続けていれば必ず叶うって言うだろ、あんなのは真っ赤な嘘さ。なあそうだろう、そうに違いない」

麻衣子 「んぐんぐっ!」

麻衣子は拉致された女を演じるために、自ら猿ぐつわをしていたので上手く喋れなかった。

男 「ふんっ、可愛い女め」

車は男の家に着いた。

薄い恋(5)

2009-02-25 21:38:15 | Weblog
 日比野が亜季の両親の前で言った。
 「娘さんを僕に下さい。きっと幸せにしてみせます!」
 「日比野さん…!」
 亜季は興奮して目を覚ました。
 「えっ、結婚は? ああ、夢か…ちぇっ」
 いっちょまえに結婚を意識し出した亜季。

 「おはよー、お父さん、お母さん」
 亜季がパジャマ姿のままダイニングキッチンに現れた。そして、大きなあくびをした。それを見た悦子は顔をしかめる。
 「年頃の女の子が、色気もなにもないのね!」
 それを聞いた亜季。
 「色気? そんなのお母さんに分かるの? 女の色気は男に訊かなきゃわからないんじゃないの?」
 「じゃあそうしましょうよ! お父さん、亜季に色気はありますか? ないでしょ!?」
 母娘の言い合いを見ていた父の健作がそっぽを向きながら言う。
 「んーっ、若くて綺麗な女は、どんな格好をしていても、どんな仕草をしていても、それなりに色っぽいもんだ。肝心なのは、年をとってきてからの女らしい振る舞いだな」
 「あたしは?」
 亜季が訊ねた。
 「境界線」
 亜季は境界線らしい。
 悦子は冷めた目をした。
 「玉虫色のご意見ね。流石はお父さんだわ。亜季、あなた境界線の女なんだから、境界線なりの自覚を持ちなさいよ」
 「わけわかんない!」
 亜季は呆れた。
 健作がおもむろに話し出した。
 「ところで亜季、お前最近、男と交際しているそうだな。どうだ、今度その人を家に連れて来てみないか」
 「そうね、お母さんも会いたいわ」
 亜季はちょっと緊張した。これは、今朝、自分が見た夢と一緒ではないか。両親に彼氏を会わせるということは、つまりは結婚へのステップに他ならないわけで。
 亜季がためらいながら答える。
 「う~ん、それはまだ無理かも…」
 悦子は不満そうだ。
 「あら、あなたが交際をしているくらいだから、当然、結婚を前提に真面目に付き合っているんでしょ? だったら親に会わせて、相手の評価を決めてもらうのが筋ってものじゃない。それとも、親にも会わせられないようなひどい男なの? あなた、遊ばれているだけなの!?」
 悦子の追及に、亜季はカチンときた。
 「わかったわよ、会わせればいいんでしょ! 今日、彼に都合を訊いてみるから覚悟しておいてよね!」
 「覚悟ってなんだ?」
 亜季の両親は不安になった。

 大変なことになってしまった。日比野とはデートを重ねて、確かに交際をしていると言える。しかし亜季には、この交際がどんな意味を持つのか、まだ確信と言えるだけのものが存在していなかったのだ。
 亜季は思案に暮れた。

 ところで季節は夏だ。昔、桜田淳子は『♪夏~は心のカギ~を~ あま~くするは~ 御用心!』と歌った。亜季の心のカギは、まだ閉じたままだ。何故ならば、亜季の心のカギを開けられるのは亜季自身ではないからだ。

 「うん、で、君はどうなんだい? 僕をご両親に会わせたいのかい?」
 亜季と日比野は電話をしている。
 「会ってくれてもいいけど、あたしたちって、親に相手を紹介するような仲ですか?」
 「というと?」
 「えっ!だって、まだしたこともないし…」
 「うげっ! 君の口からそんな大胆発言が飛び出すなんて想定外だな!」
 「大胆ですか? キスしたことがないっていう意味なんですけど」
 日比野のテンションが降下した。
 「あっ、キスね。そういえばそうだね。今度デートした時にしてみようか?」
 「う~ん、キスねー…。日比野さんは責任をとる自信がありますか?」
 「責任って…!」
 キスしたくらいで責任を追及するのかこの人は! と日比野は驚いた。しかし、そういう亜季の純情さが日比野にはとても新鮮に感じられ、亜季に対する思いが深まったのであった。

 日比野は、金曜日の夜に亜季の家を訪れることになった。そしてその夜は、今年一番の暑い夜になった。

新・夫婦の会話108

2009-02-23 09:03:04 | Weblog
女児妻 「いないいないばあー!」

真由 「きゃははははっ!」

側妻 「なにこれ、ほのぼのしちゃってるじゃん!」

夫 「してるねー。女児妻も子供を産むと、かつての刺々しさがなくなって、優しいお母さんの顔になってきたよ」

側妻 「ところで赤ちゃんって、今、何ヵ月?」

夫 「6ヵ月だな」

側妻 「妊娠前の女児妻が、6歳だから、16ヵ月経ってたら、女児妻って7歳になっちゃってるんじゃない?」

夫 「うん、展開上仕方ないから、女児妻を7歳に昇格させてやる」

女児妻 「わーい、あたしウルトラセブンイレブンになったんだー!」

真由 「じゃあ、あたしは6歳って事で」

側妻 「わっ、赤ん坊が喋った!」

夫 「母親が7歳で、娘が6歳か。ははっ、それもいいだろう!」

女児妻の娘、真由は6歳になった。7歳の女児妻と、6歳の真由。二人はまるで『モーニング娘。』に入った頃の加護ちゃんと辻ちゃんのようだった。

続・温田変態ラボラトリー44

2009-02-22 22:31:17 | Weblog
愛する娘に「嫌い」と宣言された麻衣子。麻衣子は美貴江に好かれるためにはどうしたらいいのかを考えた。

麻衣子 「風水なんか試してみようかしら」

麻衣子はドクターコパの本を買ってきて、風水の知識を身に付けた。

麻衣子 「玄関に黄色の物を置くとこうなるのね。トイレにはこれね。あ、家庭円満は…」

温田博士 「見苦しいぞ麻衣子君。君には親としての誇りがないのかね? そんな弱気な態度でいたら、益々美貴江になめられてしまうだけなんだぞ。それでいいのか?」

麻衣子 「いいの…だってあたし、お母さんなんだもん! 好かれたいんだもん!」

温田博士 「それが君の母性愛なんだな。じゃあ私はもう何も言いはしない。しかしこれだけは忘れるなよ! 今日発売の『めきら3月号』を買ってきてくれ!」

麻衣子 「エロ本ね…」

つづく。

日記090222

2009-02-22 20:40:23 | Weblog
午後7時30分、プレゼントを渡しました。小雨が降るスーパーの駐車場で会いました。二人は同い年。何故か敬語で会話するあいだがらです。こうやって、一歩ずつ関係を深めて行きます。

日記090221

2009-02-22 06:57:00 | Weblog
小説『薄い恋』で、出だしで長谷部亜季とした主人公の名前が、山倉にすり変わっていました。私のミスです。山倉で統一します。

さて、大沢あかねと劇団ひとりが結婚だそうな。

あのふたりが裸で絡み合っているところを想像すると変な気分です。

続・温田変態ラボラトリー43

2009-02-21 21:38:12 | Weblog
温田博士 「美貴江、こっちに来なさい」

麻衣子 「来なさい」

美貴江 「やだ! お父さんとお母さん気持ち悪い!」

温田博士 「どうしたんだ、美貴江らしくないなー。お父さんたちが嫌いになったのかい?」

麻衣子 「嫌いになったの?」

美貴江 「お父さんの事は嫌いになりました。お母さんは前から嫌いです!」

温田博士 「麻衣子君、君は随分な言われ方だね」

麻衣子 「お母さんが美貴江に嫌われていたのは薄々感じていたわ…。でもね、面と向かって言わなくてもいいじゃない! 仮にもあたしはあなたを産んだ母親よ。自分の実の娘に『嫌い』って言われちゃったら、あたし…。ううっ」

温田博士 「麻衣子君、君の気持ちは分かるが、私は何だかワクワクしてるぞ。母子の確執を生で見られるなんて珍しい事たからな」

麻衣子は泣き続けている。

美貴江 「泣けば済むと思っているんだわ、この女」

麻衣子の涙は止まらない。

つづく。

日記090219

2009-02-19 20:53:33 | Weblog
昨日は午前中に時間が出来たので、デパートにその時間を潰しに行きました。

売り場をうろうろしていると、雑貨屋が。

「あっ、バレンタインにチョコをくれたあの人の誕生日、今月だった」

しかし、私は貧乏人。『プレゼントはあげられないんだ、ごめん…』と以前に言ってある。

だけど雑貨屋になら、安くていい品があるかも?と思い、店内を見て回ったが、適当なのがない。

ふと、ハンカチなんかどうかなと思いつき、ハンカチ売り場に。

525円で、かなり素敵なハンカチがたくさんありました。

私はその中から、ピンクのやつを取りレジに行きました。

温帯 「人にあげるやつなんで、お願いします」

店員 「お誕生日ですか?」

温帯 「はい」

箱に入れられ、包装紙で丁寧に包まれていく525円のハンカチ。

袋に入れてもらって渡された『それ』をさげて歩く私は、とても満たされた、幸せな気持ちになっていました。

あんな気持ちは経験したことがありません。不思議です。私がああなるなんて。

私は彼女を、愛し始めました。

薄い恋(4)

2009-02-18 18:39:36 | Weblog
 日比野との、初めてのデートを終えて、亜季は帰宅した。デートというものを初めて体験した亜季ではあるが…。
 「あら、お帰りなさい。意外と早いご帰還ね? さては何にもなかったのね。お母さん、ちょっとガッカリだわ」
 亜季は口をとんがらせながら反論した。
 「初デートで、何かあるわけないでしょ! もう、お母さんったら下品なんだから!」
 亜季が怒っても、悦子はどこ吹く風だ。
 「そのうち、あなたもお下品ちゃんになるのよ、おほほ!」
 下品な母が、上品に笑った。

 湯船につかりながら、亜季は考えていた。
 「日比野さんが偽ラブレターを出した相手じゃないとしたら、一体、誰があたしのバッグに手紙を入れたのかな? 第一そんなことをして何か意味でもあるの?」
 亜季は非常に地味な女だ。でしゃばった行動もしないし、人に恨まれるような覚えもない。しかし、だからこそ逆にそんな女を嫌う人間もいるのかも知れない。
 「もしかして、あたし、誰かに嫌われてるのかな…」
 色んな妄想が頭を駆け巡り、亜季は気が遠くなった。そしてお尻が滑ってお湯の中に潜ってしまった。
 「あわわ! ゲボゲボッ! 死ぬかと思った!」
 人知れずドラマチックな亜季である。

 「おい日比野、山倉女史、どうだった?」
 日比野の同期、佐原。日比野は以前から、この佐原に恋の相談をしていたのだ。
 「うん、いい子だったよ。ちょっと変わったところがある子だけどね」
 佐原は笑った。
 「山倉女史が、変わった子なのは、みんなが知ってるよ。俺が訊きたいのは、女としてどうなのかってことさ。いい女だとか、次のデートでやれそうだとか、そういう話を聞かせてくれよ」
 「バカ言え! 俺がどういうつもりで彼女と交際し始めたと思ってやがるんだ。俺はな、すぐにさせるような尻軽女は嫌いなんだ。彼女とは、焦らず急がずじっくりと付き合っていくつもりだぞ。そんなやりたいだとか、そんなこと、ああ下らない!」
 佐原はさらに笑った。
 「わかったよ、日比野! お前の好きにしな。だけど、やったら一番に俺に教えてくれよな!」
 「佐原ー!」

 亜季と日比野は、その後、何度かのデートを重ねた。そして、その日も二人はいつものレストランにいた。
 「山倉先生って、ウサギみたいだね」
 日比野が、そう言ってみた。
 「えっ、そうですか? どんなとこが?」
 「ウサギって、可愛くて癒し系じゃない。だけど犬みたいにリアクションしないし、猫みたいに甘えても来ない」
 亜季はピンときていない。
 「はあ、それでなんであたしがウサギなんですか?」
 「いや、つまりね、君もそうでしょ? だからウサギみたいって思うんだ」
 亜季は少し憮然気味だ。
 「あたし、リアクションないですか? 甘えたりしませんか? そんな女と付き合って、日比野さんは楽しいんですか?」
 日比野は、ここぞチャンスとばかりに言った。
 「楽しいよ! 僕は、君と一緒にいられるだけで、楽しい気分になるんだ。それは君の持っている天性の才能さ。そして僕はその才能を受信するアンテナを持っているんだ」
 「ふーん、そうなんですかー…」
 理屈か屁理屈かは分からない。しかし、日比野の言葉には妙な説得力があり、亜季は自分がこの人に愛されているのかなと感じ始めたのだ。
 やや下を向き、照れくさそうな微笑を浮かべる亜季。そんな亜季を見て、日比野も笑みを浮かべた。
 

続・温田変態ラボラトリー42

2009-02-16 08:37:13 | Weblog
美貴江は悩んでいた。温田博士と、麻衣子のあいだに生まれた自分は、変な大人になってしまうのではないかと。

美貴江 「これは大変なことだ。二人に内緒で対策を考えなければ」

麻衣子 「どうしたの美貴江? 元気がないわね」

美貴江 「ううん、どうもしないよ。元気もあるよ。ただ…」

麻衣子 「ただ、ほど高い物はない! なんちゃって!」

美貴江 「ははは…」

美貴江は、愛想笑いをして行ってしまった。

麻衣子 「きっと生理で機嫌が悪いのね…」

美貴江は赤ちゃんだ。生理はまだない。

自分の部屋で物思いにひたる美貴江のところに、麻衣子がきた。

麻衣子 「はい、ナプキン! 使い方わかる?」

そう言って、麻衣子は美貴江に、自分の買い置きのナプキンを渡した。

美貴江 「ありがとう。これマスク? あたし風邪ひきじゃないけど使うよ」

麻衣子 「それは…。まあいいわ、好きに使いなさい」

美貴江は、ナプキンに紐を通して口にあてがった。

そこに温田博士がやってきた。

温田博士 「おっ! おおーっ!! 美貴江のその口、セクシーYOU~!」

麻衣子 「博士、美貴江のことは放っておきましょう。ナプキンを口に着ける女の子なんて、変人に決まってるわ。この子、いったい誰に似たのかしら? 情けないわ」

温田博士 「そういえばそうだな。前から美貴江の奇行は目立つものな。これは対策を立てねばならないな」

美貴江は、ワナワナと震えていた。

つづく。