温低の将棋でしょうか?

明鏡漏水。温帯低気圧ちゃんのとんちんかんブログです。小説書いてます。

焦燥の先(四)

2008-01-31 22:59:38 | Weblog
第四話 エステティシャン

 「うん、じゃあいつもの店で待ってる」
 貴美子は携帯を切った。学生時代の友達である彩香と、会う約束をしていたのだ。
 貴美子と彩香は同学年。誕生日が早い分、貴美子のほうが一つ年齢のカウントが進んでいる。
 彩香の家から待ち合わせの店までは、小一時間かかるから、それまでの時間潰しに、貴美子はエステを受けることにした。
 『リラクゼーションスペース ボバ』。貴美子の行きつけの店だが、何故ボバという名前なのかは、貴美子の知るところではなかった。
 この店の店員の女の子は、みな小柄で可愛く、女の貴美子であっても、なんだか「萌え~」な気分になれたのだ。
 「いらっしゃいませ! いつもご利用ありがとうございます!」。貴美子、お気に入りのエステティシャン、美紗希が明るく挨拶をした。
貴美子は全裸になった。脱いだ衣服は、美紗希が丁寧にたたんでカゴに入れる。貴美子はこの時いつも、風俗店に来た男になったような気分だった。
 台の上にうつ伏せになると、美紗希が小さく柔らかい手で貴美子の肩から腕、背中からわき腹、尻から脚を丁寧に撫でてくれる。
 美紗希の指先が骨盤の右上の、ウエストとの境目をなぞる度に、貴美子の全身にゾクッとした快感が走るのだった。
 貴美子は仁志とのSEXよりも、この瞬間のほうが好きだったりする。
 「美紗希ちゃんの彼氏は幸せね。いつもこんないい思いをしているんだもの」
 美紗希が哀しげに言った。
 「彼氏はいないの…」
 「えー! そんなに可愛いのになんでー!?」
 「なんでだと思いますか?」
 「う~ん…。レズだから!! キャハハハッ!」
 貴美子はふざけて言ってみた。
 美紗希はしばらく黙っていたが、意を決したかのように、、「好きです!」と貴美子に告白した。

焦燥の先(三)

2008-01-31 07:40:02 | Weblog
第三話 母と彼

貴美子の母、摂子は、貴美子を十八歳で産んだ。つまりまだ四十三歳の若さなのだ。貴美子の父は長く海外に単身赴任していて、家には年に一度くらいしか帰って来ない。

摂子は、家に男の人がいるのが楽しいらしく、仁志が遊びに来ると、いつも丁重にもてなした。

「仁志さん、コーヒー飲む? あ、お紅茶がいいのよね。お父さんから送ってきたフランスのお菓子があるの。食べてね」

仁志も、貴美子の母は若くて綺麗で自分に優しいので、ある意味、貴美子よりも母に会うことのほうが楽しみで、貴美子の家に来ることが多かった。

「相変わらず仲がいいのね」
貴美子が皮肉っぽく言った。

「あら、ヤキモチ妬いてるの?」
「まさかー! いくら仁志がスケベでも、四十路のオバサンなんて相手にしませんよーだ!」

貴美子は、そうは言ったが、内心 少し不安を感じていた。

それは、、

いつだったか、仁志が遊びに来た時、貴美子の部屋でSEXをしていたら、ドアの隙間から摂子が覗いているのに気が付いた事があるからだ。

その夜、トイレに起きた貴美子は、摂子の寝る部屋の前を通る時に、摂子の悶える声を聞いた。

男日照りの摂子が、自慰行為をしているのが容易にうかがえた。

しかし、いくら摂子が、男に餓えていたとて、娘の彼氏に手を出すなどは、『十年遅い?わ』、と、貴美子は、若い自分に自信を持っていた。

「お母さん、あたし出掛けてくるわ」
「あら、どこへ行くの?」
「どこだっていいでしょ。二十歳こえた娘にそんなこと訊かないで!」

貴美子は、仁志を置いて、一人で遊びに出掛けて行った。

角苦・婦慢の、ぶらりあの世旅 (最終回)

2008-01-28 19:09:55 | Weblog
最終回 天国

アイヤー! 天国への階段を上って行った角苦さんと婦慢教授。二人は屋上に着いたアルヨ。

角田 「屋上やんけ」

婦慢教授 「屋上だね」

角田 「天国はどこや?」

婦慢教授 「どこでせうね?」

そこには、低く垂れ込めた雲しかなかったアル。

角田 「これのどこが天国やねん!」

婦慢教授 「歩有無…。案外現実はこんなもんかも知れませぬ」

角田 「そんで、わしらここで何したらええねん」

婦慢教授 「さすがの愚の脳ミソを持ってしても判断つきかねるでせう」

角田  「絶望やな」

角苦さんと婦慢教授は、そのままそこで三年間も立っていたアルヨ。

角田 「せんせはん」

婦慢教授 「なにかね?」

角田 「わしのこと、好きか?」

婦慢教授 「歩歩歩。なんだねいきなり」

角田 「ここには、わしとせんせはんしかおらへん。わしなんやそんな環境に慣れてしもたわ」

婦慢教授 「愚もだよ」

角田 「せんせはん!!」

婦慢教授 「角田君!!」

ヒシッ!

二人は、きつく抱き締め合い、熱い口づけを交わしたアル。

その瞬間、空から一筋の光がさして、二人を包み込んだアル。


閻魔大王 「角田、婦慢、目を覚ませ」

角田 「はっ! ここは!?」

婦慢教授 「なんと! 閻魔大王の裁判所ではないですか!」

閻魔大王 「はっはっはっ! お前たちは、まだ死ぬべきではない。あっちの世界で続きの人生をやるがよい!」

ぎゅるる~ん!

角苦さんと婦慢教授は、生き返り、大江戸大学の応接室に戻されたアルヨ。

婦慢教授 「おおっ! なんということだ! 生き返ってしまったではないですか!?」

角田 「ほんまや! 良かったな、せんせはん!」

角田 「ところで、わしの会社の再建資金、用立ててくれはりますな?」

婦慢教授 「はあっ? なんで愚が君なんかのために!?」

角田は、胸から拳銃を取り出し…


懲りない二人アル!!


おしまい!

焦燥の先(二)

2008-01-28 14:19:43 | Weblog
第二話 ねえ?

大雪に阻まれ、パート面接の機会を奪われた貴美子。すぐに、次なる職場探しをする気にはならなかった。

貴美子は、有名私大を卒業し、OLとして勤めていた時期もあったが、会社勤めに虚しさを感じ、家庭教師やイベントコンパニオンを経て、現在の専業無職(すなわちニート)という身分に収まったのだ。

仁志は、そんなだらしない貴美子のことを、何気に可愛く感じていた。

数日後、仁志のアパートで。

「あたしどうなるんだろうね?」
「どうって、仕事がかい?」
「それもあるけど、、」
「他に何かあるの?」
「別に仕事だけが人生じゃないわ」
「はっきり言えよ!」

「結婚するの!? しないの!?」
「まあいつかは誰かとするだろうね」

『誰かとって、それなによ…』

貴美子は、落胆した。

早く専業主婦になりたいのに、たのみの仁志がこんな調子では、どうにもならない。

貴美子は、気分転換にコーヒーでも飲むことにした。

「仁志は、コーヒー、いらないんだよね?」
「ああ、オレは紅茶にしてくれ」

「どうしていつも紅茶なの? 何故コーヒーは飲まないの?」
「それはこっちが訊きたいよ。何故君を含め、大方の誰もが、何か飲む時はコーヒーなんだい!?」
「だってそれが常識じゃない! コーヒーブレイクっていう言葉を聞いた事があるでしょ? でも紅茶ブレイクなんて聞いたことないわ!」
「ティーブレイクは?」
「あ…。」

貴美子は、一本とられたなと思った。

更に、仁志は言う、「日本人はコーヒー教に洗脳されてるのさ。例えばオレが基準の世の中なら、コーヒーは、ごくマイナーな飲み物だし、喫茶店でコーヒーを置いている店なんかまず無いし、自動販売機にだってコーヒーは無いんだよ! あるのは、紅茶と、レモンティーと、ミルクティーと、アップルティーが主体で、他にはお茶の類いだけさ。炭酸だって、オレは飲めないから、自販機には入ってないんだ!」
「あんた、コーヒーになんか嫌な思い出でもあるの?」

「……」

「ねえ?」

「今度それを訊いたら、お前をレイプしてやるからな!」
「いまさらあんたにされてもねぇ」

仁志と貴美子は、付き合って3年。週に一回のペースでSEXしてたとして150回以上はしている計算になる。

仁志の好きな体位は、正常位。好きなプレイは目隠し&緊縛。貴美子の好きな体位は、バック。好きなプレイは、放尿だった。

二人は、SEX的にはすでに倦怠期をむかえており、新しい刺激を求め、スワッピングパーティーに出ようかと考えているが、貴美子の方がまだ踏ん切れないでいる。

そんなこんなで、貴美子のボヤけた一日が終わった。

味噌汁

2008-01-26 22:54:58 | Weblog
久しぶりに味噌汁というやつを作って飲んだ。

細切り大根と油揚げ、ネギが具のやつだ。

かつてはよく味噌汁を作った。

味噌は、決まって安物の、どこのメーカーのものだか分からないものだった。

そういう味噌を使っていたのは、もちろん値段が安いからだ。

味噌売り場で、味噌を買う時、つい安い味噌を買う習慣があった。

しかし、今日は違う。

タケヤ味噌だ。

あの有名な、あの森光子が宣伝してる、タケヤ味噌なのだ。

そしてタケヤ味噌で作った味噌汁は、期待以上に美味かった。

ああ、今まで味噌くらいでケチるんじゃなかった!

一回買ったら、かなり何回も作れるのに。

角苦・婦慢の、ぶらりあの世旅 (7)

2008-01-26 22:30:50 | Weblog
第7回 天国への階段

アイヤー! 逃げ出した婦慢教授を追いかけた角苦さん。婦慢教授は、蝶のようにヒラヒラと華麗に人混みをすり抜けたアルヨ。二人は上の階の階段のところに来たアル。

婦慢教授 「はあっ、はあっ、愚は疲れたよ。追いかけっこはやめにしよう」

角田 「はあっ、はあっ、そやな、っちゅう事で、せんせはん捕まえたーっ! (笑)」

婦慢教授 「あ~っ! それはズルいでせう~!」

二人 「わっはっはーっ!!」

二人は、恋人同士のようアル。

角田 「これ見てみい!!」

婦慢教授 「んっ、なになに…『コレより上の階、天国』とありますね」

角田 「天国やっ! 天国は、ジャスコにあったんや!!」

婦慢教授 「歩有無。歩有無。これは、地球外惑星発見以上の大発見でせう!」

角田 「早速、上ってみよやないか!」

婦慢教授 「待ち玉江。これは何かの罠かも知れないよ」

角田 「そんなもん気にしててどうすんねん。行ってみたらわかるこっちゃ。さあ! 行くで!」

今度は、角田が先に行き、婦慢教授がその後を追いかけたアル。

二人は、次の階に着いたアルヨ。

角田 「またなんか書いてあるで」

婦慢教授 「え~と…『天国行きの方は、IDカードを提示して下さい』とありますね」

角田 「そんなもん、持ってるわけないやろがっ! わしらの事、なめとるで!」

婦慢教授 「これこれ、そこの受付のおなごはん、IDカードが無くては、天国へは行けないのでせうか?」

受付嬢 「いいえ、あなた方は、婦慢教授と角田さんですね。閻魔大王から、二人が来たら通すようにと言われております」

角田 「凄いやんけ! わしら天国へ顔パスやっ!!」

二人は、そこからさらに階段を上って行ったアルヨ。これが世に言う『天国への階段』だったアルヨ!


つづく…

角苦・婦慢の、ぶらりあの世旅 (6)

2008-01-25 18:00:52 | Weblog
第6回 再会

あの世旅も板についた角苦さんと婦慢教授、二人はジャスコ地獄店で買い物をすることにしたアルヨ。

角田 「まさか地獄にジャスコがあるとはなー(笑)」

婦慢 「まさか地獄にジャスコがあるとはねー(笑)」

息ピッタリアル。

角田は、オシッコをしにトイレに行ったアルヨ。

角田 「ふーっ、小便するの、久しぶりやな。おっ出よる、出よる。ようけ出るわ」

男 「ああっ! わあっ! うひゃーっ!」

角田 「なんや、なんや! お前、小便溢しまくりやんけ!」

男 「すみません。そういう風に育てられたので、つい溢してしまうんです」

角田 「意味わからへんがな…。どんな親やねん」

婦慢 「こんな親だ」

男 「あっ、親父!」

角田 「なぬっ!?」

婦慢教授 「鱈生、お前、死んでたのか」

鱈生 「自殺したんだ。親父こそどうして死んだの?」

婦慢教授 「そこにいるヤクザに殺されたんだよ」

角田 「誰がヤクザやねん!」

婦慢教授 「偉大な父を持ちながら、期待に応えられず、浪人、精神病のあげくに自殺とはなあ。私は悲しいよ」

角田 「ちょっと待て! あんた普段は自分の事を『愚』って呼んどるのに、なんで息子相手やと『私』やねん!?」

婦慢教授 「歩歩歩。愚のような高級な人間が、自分の事を愚と、へりくだって言う事で、謙遜転じて尊敬の感情を生みやすいのと、愚以外の人間は愚である自分より下なんだよという事を暗に示唆しているのだよ。しかし、身内相手にそんな回りくどい事はしない」

角田 「あんたホンマにめんどくさい人間やな」

鱈生 「わかっていただけますか!?」

角田 「わかる、わかる。こんな父親持ったら、そら自殺もしとうなるわな」

婦慢教授は、2対1の議論を極端に嫌う傾向にあったアルヨ。

婦慢教授 「愚は買い物が忙しいのでね、これで失敬するよ。鱈生、元気でな!」

角田 「おい、こら、待て! 勝手に行くな!」

角田は、逃げる婦慢教授の後を追いかけて、上の階へ行ったアルヨ。


つづく…

癒しアイテム

2008-01-25 08:55:17 | Weblog
今朝、また仕事帰りにスーパーへ行った。

トイレットペーパーが残りわずかなのだ。

私の好みのやつは、少し硬めの、シングルタイプのやつだ。

トイレットペーパーが、きれかけると、とても不安になる。

鼻をかんだり、そこいらへんを拭いたり、尻拭き用にだけでなく、トイレットペーパーの用途は多彩だ。

それが、残り一個ともなると、追い詰められた気持ちがする。

もし、完全に無くなってしまえば、自分はどうなるんだろう?

手で尻を拭くか、いちいち風呂場で洗うか、最悪、拭かずにいるか。

そのような不安をいち早く解決するには、新しいトイレットペーパーを補充するに限る。

店には、いつも私が買うやつが、一パックだけ残っていた。

もちろん買った。

家には、豊富な量のトイレットペーパーが、スタンバイされた。

私は、それを見ては、ほくそ笑んでいる。

焦燥の先

2008-01-24 22:57:52 | Weblog
第一話 四面楚歌

 貴美子は25歳の専業無職。しかし、いつまでも働かないというわけにもいかない。
 明日、スーパーのレジのパートの面接に行こうと思っている。もしくは交際中の仁志が「結婚しよう!」とでも言ってくれれば、すぐに専業主婦に収まるつもりだ。
 「四面楚歌って知ってる?」と貴美子は訊いた。
 「ああ、周りが敵ばかりで、にっちもさっちもいかない事だろう?」
 「そうじゃなくて、言葉の由来を訊いてるの!」
 仁志はしばし考えて答えた。
 「そういえば、わからないな」
 「昔の中国に楚っていう国があって、項羽っていう人が漢の軍に囲まれた時にね、漢の軍が楚の歌を歌ったから、楚の民が漢に下ったと思って悲しんだのが由来なんだって」
 「ふーん、俺はまた、紙面素化っていう事で売れない雑誌かなんかが、経費を削らざるを得なくなっちゃうことかと思ったよ」
 「明日、パートの面接に行くんだけど、晴れると思う?」
 「たぶん」

翌朝、貴美子が起床しカーテンの隙間から覗いて見ると、外は一面の大雪だった。テレビのニュースでは、交通機関のマヒを伝えていた。
 貴美子の住むところから面接を受けに行く予定のスーパーまでは、電車でふた駅。その電車が動かないとなると、車の無い貴美子は歩いて行くしかないわけだが、この雪では、歩けば片道三時間はかかってしまう。帰りは疲れていてもっとかかるだろう。
 貴美子は面接の日を変更してもらえるよう、スーパーに電話をしたのだが、何度かけても話し中で出てくれない。
 貴美子の労働意欲が、ポキッと音をたてて折れた。 「四面楚歌だわ…」
 『明日は明日の風が吹く』
 貴美子は自分の座右の銘に従って、もう一度、床についた。

コーヒー

2008-01-24 21:27:33 | Weblog
私はコーヒーを飲まない。

嫌いなわけではない。

出されれば甘んじて飲む。

私の同僚たちは、コーヒーが好きで、何かにつけて飲んでいる。

時たま、私におごってくれる。

買ってきて渡してくれるのだ。

人の好意なので、ありがとうと言う。

しかし、本当は嬉しくはない。

どうせなら、紅茶かお茶がいい。

一番いいのは、代金をそのままくれる事だ。

私が何故コーヒーを飲まないのかといえば、ただ単に好きでないから。

「コーヒー飲む?」と、よく訊かれるが、あらかじめ訊かれた時は、「いい」と答える。

だって、いらないんだもん。